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香港特別行政区の旅券で来日しても、入管実務では中国籍として扱われます

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香港特別行政区の旅券で来日しても、入管実務では中国籍として扱われます

香港特別行政区の旅券で来日しても、入管実務では中国籍として扱われます

2026/09/01

香港特別行政区旅券をお持ちの方から、「自分は中国本土の人間ではないので、退去強制になっても中国へ送られることはないのではないか」というご質問をいただくことがあります。この点は、刑事事件になった後の見通しを大きく左右します。この記事では、関西国際空港で公表された麻薬の密輸未遂事案を素材に、旅券の種類と国籍の扱い、退去強制先の指定、領事機関への通報という三つの実務問題を整理します。

関西国際空港で公表された事例

大阪税関が令和7年(2025年)6月3日に公表した事例では、カナダから関西国際空港に到着した中国(香港特別行政区)の旅客1名について、スーツケース内から麻薬であるMDMA塩酸塩と認められる紫色の結晶が合計14,129.4グラム発見され、関税法違反の疑いで大阪地方検察庁に告発されたとされています(大阪税関公表資料)。告発の段階であり、起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。ここで注目していただきたいのは、公表資料の記載自体が「中国(香港特別行政区)」となっている点です。

旅券の種類と、入管統計上の国籍の分け方

日本の在留外国人統計や出入国管理統計では、香港特別行政区旅券の保持者は中国に含めて集計されます。台湾は別に掲げられていますが、香港は別掲されていません。警察庁の犯罪統計でも、国籍等別の区分において台湾は中国と区別される一方、香港はそのような扱いになっていません。したがって、「香港の旅券だから中国籍ではない」という説明は、日本の入管実務では通りません。これは差別的な取扱いという意味ではなく、国籍法上の国籍と、旅券を発給する当局の区別が一致しない場合の、統計と手続上の整理の問題です。

退去強制先の指定という実務問題

退去強制の手続では、送還先が決まらなければ執行できません。国籍国が受入れを認めるか、旅券が有効か、渡航文書が発給されるかによって、手続の進み方が変わります。香港特別行政区旅券をお持ちの方の場合、旅券の有効期限が切れていたり、居住実態が香港にない場合に、渡航文書の発給まで時間がかかることがあります。その間、収容が長期化する事態が起こり得ます。令和5年改正入管法により導入された監理措置は、こうした場面で収容によらない処遇を求める根拠になります。監理人となる親族や知人がいるかどうかが、この段階で現実的な意味を持ちます。

領事機関への通報も、旅券の種類で異なる

逮捕・勾留された外国人は、領事関係に関するウィーン条約36条1項により、本人が要請すれば領事機関へ通報されます。香港特別行政区旅券の保持者の場合、どの在外公館が対応するのかという点で、実務上の確認が必要になることがあります。ここも、本人の要請があって初めて動く仕組みです。弁護人は、通報を希望するかどうかを本人に確認したうえ、ご家族との連絡経路を別途確保します。

麻薬の密輸で問題になる法的な骨格

MDMAは麻薬及び向精神薬取締法上の麻薬に当たり、これを輸入する行為は同法違反となるほか、輸入してはならない貨物の輸入として関税法違反にもなります。営利の目的が認められるかどうかで法定刑の重さが変わるため、報酬の有無、依頼者との関係、渡航費用の負担者、渡航日程の不自然さが、公判での中心的な検討対象になります。量が多い事案では、量そのものから営利目的が推認される構造になりやすく、弁護側はその推認を支える事情を一つずつ検討します。

在留への影響と、ご家族が最初に確認すること

麻薬に関する罪で有罪となれば、入管法24条4号チの退去強制事由に該当します。刑が罰金でも執行猶予でも同じであり、在留資格の種類も問いません。さらに入管法5条1項5号により、上陸拒否には年限の定めがありません。ご家族にお願いしたいのは、旅券の種類と有効期限、香港・本土いずれに住民登録があるか、日本国内に親族や身元を引き受けられる方がいるかを、早い段階で書き出しておくことです。これは刑事の情状にも、その後の監理措置や在留特別許可の検討にも、そのまま使う情報になります。

中文版:即使持香港特别行政区护照,入管实务上仍按中国籍处理

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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