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裁判員裁判で否認を貫くとき、通訳と証人尋問をどう準備するか

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裁判員裁判で否認を貫くとき、通訳と証人尋問をどう準備するか

裁判員裁判で否認を貫くとき、通訳と証人尋問をどう準備するか

2026/08/31

裁判員裁判は、法律家ではない市民が事実を認定します。連日開廷で審理が進み、法廷での言葉の印象が、書面よりも強く残ります。中国語話者の被告人が否認を維持する事件では、通訳を介した言葉が、その印象のすべてを決めることになります。この記事では、否認事件で通訳と証人尋問をどう準備するかを、弁護人の側の実際の作業に即して説明します。ご家族にも協力していただける場面が多くあります。

法廷通訳の現状を数字で見る

法務省の令和7年版犯罪白書によれば、令和6年に被告人に通訳を要した通常第一審の終局人員は4,649人で、前年比20.7%の増加でした。通訳の言語は41言語に及びます。最も多いのはベトナム語で1,794人(38.6%)、中国語は726人(15.6%)で第2位です。中国語が最も多いと述べられることがありますが、これは誤りで、ベトナム語が中国語の約2.5倍です。中国語の法廷通訳は数の上では確保しやすい部類に入りますが、薬物や金融に関する専門用語を正確に訳せる方となると、地域によっては限られます。

通訳人を複数配置するという発想

裁判員裁判では、審理が連日にわたり、一人の通訳人が集中を保ち続けるのは容易ではありません。実務では、複数の通訳人を交代で配置することが行われます。弁護人としては、公判前の段階で、通訳人の人数と交代の方法について裁判所に意見を述べることになります。また、法廷での通訳人と、弁護人が接見や打合せで使う通訳人は別に確保するのが望ましいと考えています。打合せの内容が公判の通訳に影響しないようにするためであり、弁護方針を安心して話せる場を確保するためでもあります。

事前の用語打合せが結果を分ける

薬物事件では、日常語では区別されない言葉が、法的にはまったく違う意味を持ちます。荷物を「預かった」のか「受け取った」のか、「頼まれた」のか「指示された」のか、報酬を「もらった」のか「約束された」のか。中国語から日本語に訳す過程で、この区別が失われると、故意や役割の認定に直結します。弁護人は、公判前に、事件に出てくる用語の一覧を作り、通訳人と対応関係を確認します。方言や地域差にも注意が必要です。同じ中国語でも、出身地によって語感が異なる語があります。

被告人質問で表現の齟齬を防ぐ

被告人質問では、短く、一文一義で答えることが原則です。長い答えは通訳の途中で区切られ、論理の順序が入れ替わることがあります。また、中国語では文脈で主語を省くことが多く、日本語に訳したときに「誰が」の部分が補われて、意図しない断定になることがあります。準備の段階で、想定される質問に対して短い答えを組み立て、通訳を介して実際に声に出して確認しておくことが有効です。分からない質問には「質問の意味が分かりません」と答えてよいことも、あらかじめ伝えておきます。

証人尋問の準備

否認事件では、捜査官や共犯者が証人として出廷することがあります。反対尋問は、一問一答を積み重ねて矛盾を示す技術ですが、通訳が入ると、テンポが半分になり、矛盾の印象が薄れます。そこで、質問の数を絞り、核心に届く一群の質問だけを残します。証人の供述調書と法廷での証言の食い違いを示すときは、どの部分を引用するかを事前に特定し、通訳人にも該当箇所を渡しておきます。報道された事案では、国際郵便を用いた覚醒剤の輸入について、被告人が中身の認識を否認し、新潟地裁の裁判員裁判で審理されたとされています。こうした事件では、検察官が示す間接事実の一つひとつに、証人尋問で別の説明を与えていく作業が中心になります。

ご家族が協力できること

第1に、本人の出身地と使用する方言、日本語の理解の程度を、正確に弁護人に伝えてください。通訳人の選定に影響します。第2に、本人の学歴や職歴、日本での生活歴を時系列で整理してください。被告人質問の背景説明に使います。第3に、法廷に来られる場合は、傍聴の際の注意点を弁護人に確認してください。裁判員に与える印象は、法廷にいる家族の様子からも生まれます。第4に、判決後の生活の受け皿を用意してください。薬物事件では、有罪となれば刑の軽重を問わず入管法24条4号チにより退去強制事由に該当しますので、刑事の結論と同時に、在留の見通しを立てておく必要があります。

中文版:在裁判员审判中坚持否认时,如何准备翻译与证人询问

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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