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大麻2.85グラムでも、輸入なら刑は重い。那覇空港の告発事案から

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大麻2.85グラムでも、輸入なら刑は重い。那覇空港の告発事案から

大麻2.85グラムでも、輸入なら刑は重い。那覇空港の告発事案から

2026/08/31

「少ししか持っていなかったのに、なぜこんなに重いのか」。空港で薬物を発見された事案で、ご家族から必ず出る質問です。薬物の刑は量だけで決まるものではなく、所持なのか、輸入なのかという行為の形で大きく変わります。そして在留資格の側から見ると、量も刑の重さも関係がなくなる場面があります。この記事では、那覇空港で告発された事案を素材に、少量でも重く扱われる仕組みと、在留に及ぶ影響を整理します。

報道された事案の概要

沖縄タイムスの令和7年12月11日の報道および沖縄地区税関の発表によれば、タイから台湾を経由して那覇空港に入国した際、衣類のポケット内に麻薬である大麻2.85グラムと、テトラヒドロカンナビノールを含有する黄褐色の液状物10.73グラムを隠して持ち込もうとしたとして、いずれも住居不定の台湾籍の28歳の男性と中国籍の23歳の女子学生が、関税法違反(輸入してはならない貨物の輸入未遂)で那覇地検に告発されました。告発は捜査の端緒であり、起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。

なぜ「輸入」だと重くなるのか

日本の薬物法制は、国内での単純所持よりも、国境を越えて薬物を持ち込む行為をはるかに重く扱います。国内に薬物が流入する入口を塞ぐことに刑罰の重点が置かれているためです。同じ数グラムであっても、街頭での所持と、空港での持込みとでは、適用される罪も法定刑の枠組みも異なります。加えて、税関で発見された場合には、関税法が定める輸入してはならない貨物を輸入しようとした罪として告発され、同じ行為について薬物法令の違反も問題になり得ます。ここでは条文番号までは触れませんが、少量だから軽微であるという前提は成り立たない、という理解が出発点になります。

令和6年12月の改正で、大麻は「麻薬」になった

令和6年12月12日に施行された改正により、大麻取締法は大麻草の栽培の規制に関する法律へ改称され、大麻は麻薬及び向精神薬取締法上の麻薬として扱われることになりました。同時に使用罪が新設され(麻薬及び向精神薬取締法66条の2、7年以下の拘禁刑)、単純所持の法定刑も5年以下から7年以下に引き上げられています。沖縄地区税関の発表が「麻薬である大麻」と表記しているのは、この改正を反映したものです。改正前の行為については当時の法令が適用されますので、時期の確認が必要です。

在留への影響は、量でも刑の重さでも変わらない

ここが最も重要な点です。出入国管理及び難民認定法(入管法)24条4号チは、覚醒剤取締法、麻薬及び向精神薬取締法、大麻草の栽培の規制に関する法律などの違反で有罪となった外国人を退去強制事由としており、刑の軽重を問いません。罰金でも、全部執行猶予でも該当します。在留資格が別表第一か別表第二かも問わず、永住者も例外ではありません。さらに、薬物に関する上陸拒否事由には年限の定めがなく、いったん該当すると、その後の再入国は上陸特別許可によるほかありません。短期滞在の観光客であっても同じです。2.85グラムという数字の小ささと、この帰結の重さの落差が、薬物事件の最大の特徴です。

だからこそ、起訴前の段階が決定的になる

退去強制事由が有罪判決を前提とする以上、不起訴で終わればこの入口には入りません。捜査段階でどのような主張をし、どのような資料を出すかが、その後の人生を分けます。具体的には、故意の有無(中身を認識していたか)、所持や支配の有無(他人の荷物ではないか)、営利目的の有無といった点が争点になります。空港での事案では、荷物の梱包状況、搭乗前後の行動、同行者との関係、通信記録が客観的な材料になります。取調べでは、記憶にないことを認めないでください。通訳を介した供述は、後から表現の食い違いを正すのが難しくなります。

ご家族が最初にすべきこと

第1に、本人がどこに拘束されているかを確認し、弁護人の接見を手配してください。接見禁止が付いていても、弁護人との接見は制限されません。第2に、旅券と在留カードの所在を確認してください。学生であれば、在籍している学校の学期日程と、休学の手続の有無を調べておきます。第3に、住居がない状態で身柄が問題になっている場合は、滞在先と身元引受人の候補を早く固めてください。第4に、本人の希望があれば、領事機関への通報が行われます。これは領事関係に関するウィーン条約に基づくもので、家族への連絡経路にもなり得ます。

中文版:即使只有2.85克大麻,只要是走私进口刑罚就重

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

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この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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