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求刑どおりの執行猶予判決に、あえて控訴しないという判断

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求刑どおりの執行猶予判決に、あえて控訴しないという判断

求刑どおりの執行猶予判決に、あえて控訴しないという判断

2026/08/31

判決の言渡しが終わると、ご本人もご家族も「控訴すべきか」で必ず迷われます。とくに求刑と同じ刑が言い渡されたときは、納得できないという気持ちが強く残ります。報道された指定薬物の事案でも、求刑と同じ拘禁刑2年6月・執行猶予4年の判決に対し、弁護人は控訴しない方針と報じられました。この記事では、控訴を選ぶ利益とリスク、判決を早く確定させることの実務的な意味、そして確定後に始まる入管手続の準備について整理します。

報道された事案で何が起きたか

読売新聞、FNN、大分朝日放送などの報道によれば、インドから指定薬物エトミデートの粉末約100グラムを輸入したとして医薬品医療機器等法違反に問われた関東地方在住の20歳代の中国籍の男性について、大分地裁は令和7年12月19日と令和8年1月9日に、それぞれ拘禁刑2年6月・執行猶予4年を言い渡したと報じられています。求刑と同じ内容でした。裁判所は、薬物の注文など不可欠な役割を果たしたと指摘したとされます。弁護人は控訴しない方針と報じられました。

「求刑どおり」は敗けを意味するのか

求刑と同じ刑が言い渡されると、弁護活動が実らなかったように見えます。しかし、検察官が執行猶予付きの求刑をした段階で、実刑を回避する方向の判断はすでに固まっていたとも読めます。控訴を検討するときに考えるべきは、判決の言葉に納得できるかではなく、控訴審で現実に何が変わり得るかです。刑が執行猶予付きである場合、上訴によって得られる実利は限られます。他方で、判決の理由中の評価に不服があっても、それだけを理由に上訴で争うことは容易ではありません。

控訴しないことで得られるもの

第1に、判決が確定するまでの時間が短くなります。確定しなければ、罪名も刑も法的には未確定であり、入管に対して「執行猶予が付き、退去強制事由には当たらない」と説明する資料が揃いません。第2に、在留期間の更新申請との関係です。更新の審査では、刑事処分がどう終わったかが最も重要な情報になります。審査の途中で刑事手続が係属中のままだと、判断が保留され、結論が遅れることがあります。第3に、生活の再建です。就労資格の方であれば、勤務先に対して手続が終了したと説明できるかどうかが、雇用継続の可否を分けることがあります。

控訴した場合のリスクをどう見るか

控訴審は、原則として第一審の記録に基づく事後審であり、新しい主張や証拠を自由に出せる場ではありません。控訴審の審理には数か月から1年近い時間がかかり、その間、生活も在留手続も宙づりになります。さらに、被告人だけが控訴した場合には第一審の刑より重い刑を言い渡すことはできませんが、それは刑の重さについての話にとどまり、審理の過程で新たな不利な事情が明らかになる可能性まで消えるわけではありません。控訴の当否は、こうした時間と不確実性を、得られる可能性のある利益と比べて判断することになります。

確定した後に、すぐ始めること

確定したら、まず判決書の謄本と確定を示す書面を取得してください。次に、在留カードの有効期限と在留期間の満了日を確認します。更新申請は満了の3か月前から可能です。就労資格の方は、勤務先に在職証明と業務内容の説明書を用意してもらいます。留学の資格であれば、在籍が続いていることの証明が要ります。住居を移した場合は、住居地の届出を忘れないでください。届出義務違反は在留資格取消しの最多の類型で、出入国在留管理庁の統計では令和7年の取消し1,446件のうち999件がこれに当たります。

ご家族が判断するときの材料

控訴するかどうかは、判決の翌日から数えて14日以内に決めなければなりません。短い期間ですが、弁護人から、①第一審で何が争われ何が認定されたか、②控訴審で覆せる見込みのある部分はどこか、③控訴した場合の見込み期間、④その間の在留手続への影響、の四点を必ず聞いてください。感情ではなく、この四点の比較で決めるのが、結果として生活の再建に最も近い道であることが多いと感じています。

中文版:面对与求刑相同的缓刑判决,为何选择不上诉

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舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

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この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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