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執行猶予4年の判決でも、日本での在留が続く可能性が残るのはなぜか

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執行猶予4年の判決でも、日本での在留が続く可能性が残るのはなぜか

執行猶予4年の判決でも、日本での在留が続く可能性が残るのはなぜか

2026/08/31

刑事裁判で執行猶予がついたと聞いても、外国籍の方とそのご家族の不安は消えません。「刑務所に行かないのは分かった。では在留カードはどうなるのか」という問いに、法廷は答えてくれないからです。この記事では、報道された指定薬物事件の執行猶予判決を手がかりに、全部執行猶予が退去強制事由からどのように除外されるのか、そして除外されてもなお別に審査されるものが何かを、順を追って説明します。読み終えたときに、次の在留期間更新までに何を積み上げるべきかが具体的に見えるように書きます。

結論から。全部執行猶予は1年超実刑の退去強制事由から外れる

入管法24条4号リは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としています。ただし同号には但書があり、刑の全部の執行を猶予された場合は除かれます。一部執行猶予の場合も、実際に服する部分が1年以下であれば同じく除かれます。つまり「拘禁刑2年6月」という数字だけを見て1年を超えていると判断するのは誤りで、主文に執行猶予が付いているかどうかが分かれ目になります。ここを取り違えて、判決の直後に帰国の航空券を取ってしまう方が実際にいらっしゃいます。

報じられた事案では、どう当てはまるか

読売新聞、FNN、大分朝日放送などの報道によれば、インドから指定薬物エトミデートの粉末約100グラムを輸入したとして医薬品医療機器等法違反に問われた20歳代の中国籍の男性について、大分地裁は令和7年12月19日と令和8年1月9日に、それぞれ拘禁刑2年6月・執行猶予4年(求刑と同じ)を言い渡したと報じられています。この判決は全部執行猶予ですから、4号リには当たりません。さらに、医薬品医療機器等法は薬物の退去強制事由(24条4号チ)が列挙する法律にも含まれていません。二つの入口のいずれにも入らない、というのがこの事案の法的な位置です。

「退去強制事由に当たらない」と「在留が続く」は別の話

退去強制の手続に乗らないというのは、いわば最悪の結果を回避したという意味にすぎません。在留資格は期間が来れば更新の申請が必要で、その審査では、在留状況・素行・独立生計・雇用の実体などが総合的に見られます。有罪判決を受けたことは、この審査で不利な事情として考慮されます。出入国在留管理庁が公表している在留資格の変更・在留期間の更新許可のガイドラインでも、素行が善良であることが考慮要素とされています。執行猶予期間中であること自体を理由に、更新が短期間に切り替わることもあります。

在留資格の取消しという、もう一つの経路

もう一つ見落とされやすいのが在留資格の取消しです。就労資格の方が身柄拘束と公判で長く職場を離れ、そのまま退職となった場合、在留資格に応じた活動を継続して3か月以上行っていないことが取消事由(入管法22条の4第5号)になり得ます。また、住居地の届出義務違反も取消事由であり、出入国在留管理庁の統計では、令和7年の在留資格取消し1,446件のうち999件(69.1%)がこの類型でした。身柄拘束中に住まいを引き払ったのに届出をしていない、というのは実際によくある落とし穴です。

執行猶予期間中に積み上げるべきもの

更新申請の際に何も提出しなければ、審査する側の手元には判決の情報しか残りません。ですから、猶予期間中に材料を作っておく必要があります。具体的には、勤務先が事情を知ったうえで雇用を継続していることを示す在職証明や上司の陳述書、住民税・所得税・国民健康保険料の納付証明、家族の在留状況と生計の実態、再発防止のために受けた相談や研修の記録、保護観察が付いた場合はその履行状況です。反省文は一度書いて終わりにせず、日付を入れて継続的に残してください。刑事弁護の段階からこれらを見据えて資料を集めておくと、更新申請の段階で慌てずに済みます。

ご家族が今日からできること

まず、判決書の謄本と、確定を証明する書面を取得してください。次に、在留期間の満了日を家族全員分カレンダーに書き入れてください。更新申請は満了の3か月前から可能です。そして、勤務先や学校に説明する時期と内容を弁護人と決めてください。刑事の弁護人と入管手続を担当する者が別々だと、刑事で集めた資料が入管に引き継がれないことがあります。同じ窓口で連続して扱えるかどうかを、依頼の段階で確認されることをお勧めします。

中文版:为何缓刑4年的判决之后,仍留有继续在日本在留的可能

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

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この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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