舟渡国際法律事務所

「経営・管理への変更を手伝う」というブローカーの誘い 虚偽申請事件で刑事責任はどう分かれるか

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「経営・管理への変更を手伝う」というブローカーの誘い 虚偽申請事件で刑事責任はどう分かれるか

「経営・管理への変更を手伝う」というブローカーの誘い 虚偽申請事件で刑事責任はどう分かれるか

2026/08/31

在留期限が近づいた留学生に、SNSや微信のグループで「経営・管理への変更を手伝う」「書類はこちらで全部そろえる」と声をかける人がいます。言われるまま署名した書類が、数年後に虚偽申請の証拠として押収されることがあります。この記事は、報道された約80人分・4500万円規模のブローカー事件を手がかりに、虚偽の在留資格変更申請でどのような刑事責任が生じるのか、そして書類を作った人・窓口に出した人・名義になった人で責任がどう分かれるのかを整理します。ご本人だけでなく、突然連絡が取れなくなったご家族が読むことも想定しています。

報じられたのはどのような事件か

旅日僑網(東京online酱)が2023年6月29日に報じたところによると、中国籍のブローカー2人と日本人1人が、出入国管理及び難民認定法(入管法)違反の疑いで摘発されました。SNSなどで「在留資格の変更を手伝える」と宣伝し、在留期限が迫った中国人留学生に虚偽の書類を提出させて「経営・管理」への変更許可を取得させたとされ、約80人分について虚偽の書類で在留資格を取得させ、報酬は4500万円以上に上るとみられると報じられました。当事務所は氏名・店舗名・番地を書きません。また、これらは疑いで摘発されたと報じられたものであり、起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。

「約80人分・4500万円」という規模が捜査に与える影響

重要なのは金額の大きさそのものではなく、この規模が捜査のかたちを決めてしまうことです。一人分の申請で完結する事件なら、捜査は申請書一通の真偽に集中します。ところが数十人分が積み上がっている事件では、押収されたパソコン、微信の履歴、入金記録から関与者が次々に浮かび、捜査は「誰が誰に何を渡したか」の全体像の解明へ向かいます。

その結果、身柄の拘束が長引きやすくなります。逮捕後、司法警察員は48時間以内に検察官へ送致し、検察官は24時間以内かつ逮捕から72時間以内に勾留を請求します。勾留は原則10日、やむを得ない事由があればさらに10日まで延長され、合計20日です。しかし人数分の申請が別々の事実として立てられる事件では、この20日が一度で終わらず、別の申請を理由とした再逮捕が繰り返されることがあります。起訴前の保釈という制度はありませんから、起訴されるまでは釈放を求める手段が限られます。ご家族としては、最初の接見の段階から「この事件はどこまで広がりうるのか」を弁護人と共有しておくことが現実的な備えになります。

書類を作った人、窓口に出した人、名義になった人

この類型の刑事責任は、行為の外形よりも役割で分かれます。まず、虚偽の事業計画書や賃貸借契約書、出資金の入金記録を用意した人がいます。次に、それを申請書に組み立てて窓口に出した人がいます。そして、その申請の名義人となって署名した本人がいます。同じ一件の申請でも、この三者の責任は同じではありません。

分かれ目になるのは、第一に、書類が虚偽であることをどこまで認識していたかです。第二に、報酬を受け取っていたか、その額はいくらか、反復していたかです。第三に、途中で降りた事実があるかです。ここで注意していただきたいのは、「日本の法律を知らなかった」という説明が、それだけでは責任を免れる理由にならないことです。刑法38条3項は、法律を知らなかったとしても罪を犯す意思がなかったとすることはできないと定めています。ただし同項は、情状により刑を減軽することができるとも定めており、経緯や従属的な立場は量刑の場面で正面から主張すべき事情になります。

刑事責任とは別に走る在留資格の取消し

刑事手続と並行して、入管の側では在留資格の取消しが検討されます。入管法22条の4は、偽りその他不正の手段によって上陸許可等を受けた場合(第1号)、虚偽の申請等をした場合(第2号・第3号)などを取消事由として定めています。刑事事件が不起訴になっても、取消しは行政処分として別に判断されます。

出入国在留管理庁の統計によれば、令和7年の在留資格取消件数は1,446件で過去最高となりました。事由別では第6号(住居地の届出義務違反等)が999件で69.1%を占め、第5号が350件、第2号が48件、第3号が39件、第1号が3件です。虚偽申請そのものを理由とする取消しは件数としては多くありませんが、これは「起きない」という意味ではなく、一件ごとに事実関係を詰めて判断されているという意味です。

誘いに乗ってしまった後、今日できること

第一に、記録を消さないでください。微信のやり取り、送金や現金の授受の記録、渡された書類の写真は、後になって「自分が何を知らされていなかったか」を示す唯一の資料になります。消してしまうと、証拠隠滅を疑われるだけでなく、防御の材料まで失います。

第二に、申請書の控えを取り寄せ、自分の名前でどのような内容が提出されたのかを確認してください。第三に、在留カードと旅券の所在をご家族が把握しておいてください。身柄が拘束されると本人は自分で動けません。第四に、通訳の付いた弁護人にできるだけ早く相談してください。取調べでどこまで話すかは、事案の広がりを踏まえて決めるべき事柄であり、その場の判断で答えを積み重ねると後戻りが難しくなります。勤務先や学校への説明の時期も、処分の見通しが立ってから相談して決めるほうが、結果として傷が浅く済むことが多いと感じています。

中文版:“帮你换成经营管理签证”的中介 虚假申请案件中刑事责任如何划分

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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