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行政書士が関与したとされる虚偽の更新申請、約350人分の事案をどう読むか

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行政書士が関与したとされる虚偽の更新申請、約350人分の事案をどう読むか

行政書士が関与したとされる虚偽の更新申請、約350人分の事案をどう読むか

2026/08/31

在留期間の更新を専門家に依頼したところ、実際とは違う勤務先が書かれていた。そうした虚偽の更新申請が、約5年間で350人分に及んだとされる事案が報じられています。この記事は、更新手続を業者や資格者に依頼している方、依頼を受ける側の実務に関わっている方、そしてご家族に向けて書いています。代理人が関与した虚偽申請は、なぜ単独の虚偽より重く評価されるのか。報酬の規模は、どのように組織性の評価につながるのか。順に説明します。

報じられている事案

2024年5月16日、会社役員の男性(62)と行政書士の男性(76)が、入管法違反(虚偽申請)の疑いで摘発されたと報じられました。報道によれば、2022年、都内の飲食店で働く30代の中国人女性について、栃木県内の総菜加工会社で勤務していると虚偽の申請をして在留資格を更新したとされ、2023年までの約5年間で、中国人ら約350人分の虚偽更新を行い、1億円以上を受領していたとみられるとされます。会社役員は認め、行政書士は否認していると報じられました。この報道の配信元の媒体名は当事務所では確認できていません。摘発の段階の報道であり、起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。

代理人が関与すると、なぜ評価が重くなるのか

在留期間の更新申請は、本来は申請人本人が行う手続です。実務では、一定の資格を持つ者が申請の取次ぎを行う仕組みがあり、入管はこの仕組みを前提に大量の申請を処理しています。つまり、取次ぎをする者が正確な書類を作るという信頼が、審査体制そのものを支えています。その信頼を利用して虚偽を持ち込んだと評価される場合、影響は一件にとどまりません。同じ者が扱った他の申請にも疑いが及び、審査全体の負担が増します。加えて、資格者であれば、その資格に基づく行政上の処分も別途問題になります。刑事の処分だけを見て見通しを立てると、後から資格の問題が残ります。

約5年間で1億円以上という報酬規模の意味

報酬の規模は、二つの意味を持ちます。第1に、組織性と常習性の評価です。反復継続して業として行われていたという評価は、量刑を押し上げる方向に働きます。単発の依頼に応じたのか、それとも継続的な収入源としていたのかは、処分の重さを大きく分けます。第2に、収益の扱いです。犯罪によって得た収益は、没収・追徴の対象となり得ます。ここでも重要なのは、報じられた総額がそのまま認定されるわけではないという点です。正規の報酬部分、経費、共同で受け取っていた場合の分配、対象期間の区切り。これらを丁寧に切り分ける作業が、実際の負担額を左右します。会計帳簿、通帳、依頼者ごとの契約書と請求書を、早い段階でそろえる必要があります。

350人分という規模と、実際に立件される範囲

報道される人数と、起訴事実として認定される人数は、通常一致しません。捜査機関は、証拠がそろった一部の申請を起訴事実として選び、残りは背景事情として扱うのが一般的です。したがって弁護活動では、まず起訴事実の特定を厳密に求めることが出発点になります。どの申請の、どの記載が、どのように事実と異なるのか。これを一件ごとに詰めていくと、実態としては勤務先の変更届が遅れただけの案件や、依頼者本人が説明した内容をそのまま書いた案件が混じっていることがあります。数の大きさに引きずられず、一件ずつ性質を分けることが、量刑にも没収・追徴にも効きます。

争点はどこに生じるか

報道では、一方が認め、一方が否認しているとされます。この構図は実務でよく現れます。争点になるのは、第1に、虚偽であることの認識です。依頼者から聞き取った内容をそのまま記載した場合と、実態と違うことを知りながら記載した場合とでは、評価がまったく違います。第2に、誰が主導したかです。会社側が用意した資料に基づいて書類を作成したのか、資格者の側が手口を提案したのか。第3に、共犯者の供述の信用性です。認めている側の供述が唯一の証拠となる部分については、供述の変遷、利害関係、取調べの経過を精査する必要があります。否認事件では身柄拘束が長引きやすく、勾留に対する準抗告や接見禁止の一部解除を早期に検討します。

依頼した外国人本人には、何が及ぶのか

ここが、この事案でご相談が最も多い部分です。虚偽の申請によって在留資格の更新を受けたと評価されれば、本人にも在留資格の取消し(入管法22条の4第2号・第3号)が及び得ます。業者が摘発されると、その業者が扱った申請が洗い直されるため、本人の側にも連絡が来ます。刑事責任が問われるかどうかは、本人が虚偽を知っていたかによりますが、取消しは刑事とは別に判断されます。手続を頼んだだけだったという説明がどこまで通るのかは、次の記事で詳しく扱います。心当たりのある方は、入管から連絡が来る前に、自分の申請書類に何が書かれていたのかを確認しておいてください。

中文版:行政书士参与的虚假更新,涉及约350人份的案件如何解读

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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