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登録支援機関が特定技能の申請書類を偽ったとされる事案の構造

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登録支援機関が特定技能の申請書類を偽ったとされる事案の構造

登録支援機関が特定技能の申請書類を偽ったとされる事案の構造

2026/08/31

特定技能の在留資格をめぐり、登録支援機関である人材派遣会社が、実際とは違う雇用先を書いた書類で申請を行ったとされる事案が報じられています。この記事は、こうした申請に関与してしまった会社の方、名義を貸す形になった受入れ企業の方、そして申請人となった本人とご家族に向けて書いています。この類型は、単発の虚偽ではなく、制度の仕組みそのものを利用した反復型として扱われるため、評価が重くなります。どこが重さの理由なのかを説明します。

報じられている事案

2026年1月23日ごろ、中国籍の人材派遣会社経営者の男性(45)と同社社員の男性(30)、清掃員の40代の男性2人が、雇用先を偽って特定技能1号の在留資格を取得したとして、入管法違反(虚偽申請)の疑いで逮捕されたと報じられました。派遣会社は出入国在留管理庁の認定を受けた登録支援機関であり、都内の清掃会社から得た雇用書類が悪用されたとされます。銀行から雇用の確認を求められた清掃会社の社長が相談したことで発覚し、令和6年以降、中国人21人分について虚偽申請が行われたとみられると報じられました。いずれも否認していると伝えられています。なお、この報道の配信元の媒体名は当事務所では確認できていません。逮捕の段階の報道であり、起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。

特定技能の申請は、なぜ虚偽が入りやすい構造なのか

特定技能1号は、受入れ機関(実際に働く会社)と、支援を担う登録支援機関という二つの主体が関わります。申請では、雇用契約の内容、業務の内容、報酬の水準、支援計画などが審査されます。ここで審査の対象になるのは、書類に書かれた雇用関係です。実際にどこで働くのかを入管が現場で毎回確認するわけではありませんから、書類上の雇用先と実際の就労先を食い違わせる余地が生まれます。虚偽が入るのは、多くの場合、本人の意思ではなく、書類を作る側の判断です。この構造を理解しておくと、誰の責任がどこにあるのかを整理しやすくなります。

登録支援機関が関与した場合、なぜ重く評価されるのか

登録支援機関は、国の登録を受け、外国人の生活支援と適正な就労の確保を担う立場にあります。その立場にある者が虚偽の申請に関与したとされる場合、制度の信頼そのものを損なったと評価されます。加えて、この類型では、対象人数と期間が重さを左右します。報道にある21人分という規模は、一件ごとの過ちではなく、継続的な業務として行われたという評価に傾きます。法人については、入管法76条の2の両罰規定により、行為者だけでなく法人も処罰の対象となり得ます。登録の取消しという行政上の帰結も別途生じ得ます。刑事と行政の双方に備える必要があるということです。

名義を出した受入れ企業の側は、どうなるのか

この事案では、清掃会社の社長が銀行からの問い合わせをきっかけに相談したことで発覚したとされています。裏返せば、自社の雇用書類が知らないうちに使われることは現実に起こるということです。会社側にとって重要なのは、雇用の実態を示せる記録を日常的に残しておくことです。出勤記録、給与の支払記録、業務日報、社会保険の加入状況。これらがそろっていれば、書類上の名義と実態の乖離を早期に説明できます。逆に、内容を確認せずに雇用証明の類を発行していた場合、単なる被害者ではなく、不法就労助長(入管法73条の2)の問題として検討される場面もあります。在留カードの原本確認を欠いていたかどうかは、実務上の分かれ目です。

弁護人が争う点

第1に、誰が書類を作成し、誰が内容を決めたかです。作成の分担、決裁の流れ、報酬の帰属を客観資料で示すことで、関与の程度が変わります。第2に、虚偽の範囲です。申請書類のすべてが虚偽であることは稀で、雇用先の記載だけが実態と異なるという場合、認定される事実の範囲を限定する意味があります。第3に、対象人数と期間の特定です。21人分とされる部分のうち、実際に立件されるのは一部にとどまることも多く、量刑に直結します。第4に、否認事件における身柄です。関係者が多数にわたる事件では勾留が長くなりがちで、勾留に対する準抗告や接見禁止の一部解除を早期に検討する必要があります。

関係者それぞれの在留への影響

影響は立場で異なります。経営者・社員として立件された方が別表第一の在留資格(経営・管理、技術・人文知識・国際業務など)であれば、有罪判決の内容によって在留期間更新の可否が問題となり、1年を超える実刑であれば退去強制事由(入管法24条4号リ、ただし全部執行猶予は除かれます)に当たり得ます。申請人となった本人については、虚偽の申請等を理由とする在留資格の取消し(同法22条の4第2号・第3号)が問題になります。刑事責任が問われるかどうかと、取消しが行われるかどうかは別の判断です。次の記事では、申請人本人が高額な費用を支払っていた場合に、その支払記録がどのような意味を持つのかを扱います。

中文版:登录支援机关伪造特定技能申请材料的案件结构

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

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この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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