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不正に取得した在留資格は、刑事事件にならなくても取り消される

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不正に取得した在留資格は、刑事事件にならなくても取り消される

不正に取得した在留資格は、刑事事件にならなくても取り消される

2026/08/31

「刑事事件にならなければ、在留資格は残るのではないか」。不正な方法で在留資格を取得したという疑いをかけられた方から、繰り返し受ける質問です。答えは、残念ながら違います。刑事の処分と在留資格の取消しは、別の機関が、別の基準で、別の時間軸で進めます。刑事が不起訴で終わっても取消しは進みますし、逆に取消しが先に確定することもあります。この記事では、その仕組みと、取消しの前後で打てる手を説明します。

きっかけとなる事案の例

北陸放送(MRO)は2026年1月29日、石川県で、大学院入試のオンライン面接を別人に受けさせて入学資格を得て来日し、その結果を用いて留学の在留資格を不正に取得したとして、中国籍の男性が入管法違反の疑いで逮捕されたと報じました。これは逮捕の段階の報道であり、起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。この記事では、この事案そのものではなく、こうした疑いが生じたときに在留資格がどのような経路で失われるのかを説明します。

取消しは、刑事とは別の物差しで進む

在留資格の取消しは、出入国在留管理庁が行う行政処分です。刑事裁判のように「合理的な疑いを超える証明」を要するわけではなく、入管が収集した資料に基づいて判断されます。したがって、検察官が起訴を見送った事案でも、入管が事実を認定して取消しに進むことは制度上あり得ます。逆にいえば、刑事手続で不起訴を得たことは、取消手続で有利な事情として主張できるにとどまります。取消しの前には意見聴取の手続があり、本人が説明し、資料を提出する機会が与えられます。ここは形式的な通過点ではありません。実務では、この場に何を出すかで結論が変わることがあります。通知が届いたら、期日までに弁護士に相談してください。

入管法22条の4第1号は、何を捉えているのか

取消事由を定める入管法22条の4のうち、第1号は、偽りその他不正の手段によって上陸許可等を受けた場合を捉えます。第2号・第3号は虚偽の申請等を、第5号は在留資格に応じた活動を継続して3か月以上行っていないことを、第6号は住居地の届出義務違反を捉えます。第1号が他と決定的に違うのは、取得の時点にさかのぼって在留の正当性を否定するという点です。第5号は「途中から活動をしなくなった」ことを問題にしますが、第1号は「そもそも入口が違法だった」と評価します。この違いは、後の在留特別許可の判断や、日本への再入国の見通しにも影を落とします。

統計から見える、取消しの実際

出入国在留管理庁の統計によれば、令和7年の在留資格取消件数は1,446件で過去最高でした。事由別では、住居地の届出義務違反(第6号)が999件(69・1%)、活動の不継続(第5号)が350件(24・2%)、虚偽の申請等(第2号)が48件、同(第3号)が39件で、不正取得(第1号)は3件にとどまります。在留資格別では技能実習973件、留学343件、国籍別ではベトナム947件、中国66件でした。ここから読み取れるのは、第1号の適用は数のうえでは例外的だということです。しかし、件数が少ないことは軽いことを意味しません。適用されれば、在留の全期間の正当性が否定されるため、実際の帰結はむしろ重くなります。

取り消された後、何が起きるのか

在留資格を失えば、以後の在留は不法残留となり、退去強制事由(入管法24条4号ロ)に当たります。令和7年の退去強制令書発付7,722人のうち5,778人がこの4号ロによるもので、大多数を占めます。もっとも、不正取得の類型では、不法上陸(同条2号)として構成されることもあります。ここから先の分かれ道は二つあります。一つは在留特別許可を求める道、もう一つは出国命令等により自ら出国する道です。上陸拒否期間は、出国命令によって出国した場合は1年、退去強制で前歴がない場合は5年、前歴がある場合は10年と定められています。将来また日本に来る可能性を残したいのであれば、この違いは決定的です。

取消しの前と後に、それぞれできること

取消しの前であれば、意見聴取に向けた準備がすべてです。取得の経緯を示す資料、仲介業者との契約書と支払記録、本人が関与していなかったことを示すやり取り、来日後の生活と学業・就労の実態、家族の状況。これらを整理して提出します。取消しの後であれば、在留特別許可を求める活動に切り替わります。在留特別許可の申請権は、収容令書により収容された場合または監理措置決定を受けた場合に生じ(入管法50条2項)、それ以前は職権の発動を求める活動になります。令和6年3月改定のガイドラインは、自ら出頭したことを積極要素とし、在留の長期化を消極要素としています。動く時期の選択そのものが、結果を左右する要素になります。

中文版:以不正当手段取得的在留资格,即使不构成刑事案件也会被取消

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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