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中国人客向けの違法風俗店で留学生を働かせた場合、経営者と働いた側は何を問われるのか

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中国人客向けの違法風俗店で留学生を働かせた場合、経営者と働いた側は何を問われるのか

中国人客向けの違法風俗店で留学生を働かせた場合、経営者と働いた側は何を問われるのか

2026/08/31

東京都内で、中国語のホームページと微信で中国人の客だけを集めていた違法な風俗店が摘発された事案が報じられています。この記事は、こうした店の経営や運営の手伝いに関わってしまった方、その店で働いていた留学生の方、そして日本にいるご家族・中国にいるご家族に向けて書いています。この類型では、風営法違反(禁止地域営業)と入管法違反(不法就労助長)が同時に問われるうえ、店の売上そのものが没収・追徴の対象になり得ます。経営する側と働く側とでは、問われる罪も在留資格への影響もまったく違います。その分かれ目を順に説明します。

報道されているのは、どのような事案か

朝日新聞は2024年11月15日、東京都豊島区池袋で、風俗営業が禁止されている地域内のマンション16部屋を使い、中国人客を対象とする違法な風俗店を経営していたとして、中国籍の経営者が摘発されたと報じました。店は中国語のホームページと微信を使い、QRコードで客を案内していたとされます。働いていたのは中国人留学生の女性らで、前年8月以降の売り上げは約5億8千万円とみられると報じられています。もっとも、これは風営法違反(禁止地域営業)と入管法違反(不法就労助長)の疑いで摘発されたという段階の報道であり、起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。報道からは、経営者本人の在留資格が何であったのかは分かりません。

二つの罪は、どこが違い、なぜ重なるのか

風営法の禁止地域営業は、営業を行う「場所」を規制するものです。住居が集まる地域や学校・病院の周辺など、都道府県の条例で定められた地域では、店舗型の性風俗関連特殊営業を営むことができません。看板を出さず、マンションの居室を使う形態であっても、実質が店舗型の営業であれば同じ規制がかかります。これに対して入管法の不法就労助長罪(73条の2)は、働かせた相手の在留資格を問題にします。留学の在留資格の方に許可の範囲を超える就労をさせれば、店の所在地が適法な地域であっても成立します。守ろうとしている利益が違うため、一つの店で二つの罪が同時に成立し、併合罪として一つの手続で処理されます。量刑は、地域規制の違反と外国人就労規制の違反が重なったものとして評価されます。

約5億8千万円という数字は、刑罰の外側で効いてくる

報道された売上規模は、量刑事情としてだけでなく、犯罪収益の剥奪という別の場面で意味を持ちます。組織的な形態で営まれた違法営業から生じた収益は、組織的犯罪処罰法により犯罪収益として没収の対象となり、すでに費消されて現物が残っていなければ、これに相当する金額の追徴が言い渡されます。追徴は罰金とは別の処分であり、刑の全部の執行を猶予する判決であっても、追徴の言渡しはそのまま残るのが通常です。ここで実務上決定的なのは、報じられた売上の全額が当然に犯罪収益と認定されるわけではない、という点です。対象期間の区切り方、共犯者との分配、実際に本人が取得した額、経費の扱いなど、争える論点は少なくありません。通帳、送金記録、微信の決済履歴、居室の賃貸借契約書を早い段階で弁護人の側から整理しておくことが、後の追徴額を大きく左右します。

この類型で弁護人が実際に争う点

第1に、経営の主体は誰かという点です。名義上の代表者と、実際に売上を管理し従業員に指示していた人が食い違う事案は珍しくありません。報酬が固定額であったか売上に連動していたかは、経営者として扱われるか従業員として扱われるかに直結します。第2に、不法就労助長罪の故意です。この罪は、就労する方の在留資格や資格外活動許可の有無を確認しなかったことについて過失がなければ成立しないと解されており、在留カードの原本を確認した記録、許可の裏面確認の履歴、専門家に相談した記録が残っていれば有力な防御になります。逆に、在留カードを画像で送らせるだけで済ませていた、確認を意図的に避けていたという事情があると、未必の故意の評価に傾きます。第3に、期間と人数の特定です。起訴の対象として認定される範囲を絞ることは、量刑にも追徴額にも効きます。

働いていた留学生の側は、何を問われるのか

働いた側は、不法就労助長ではなく資格外活動として立件されます。留学の在留資格に付される包括的な資格外活動許可には、1週について28時間以内という時間の制限に加え、風俗営業や性風俗関連特殊営業が営まれている営業所での就労を除く、という条件が付いています。つまりこの業種は、そもそも許可の対象外です。時間が短かったとしても、許可の範囲内の活動にはなりません。もっとも、退去強制事由に当たるかどうかは別の判断です。資格外活動を専ら行っていたと評価されるか(入管法24条4号イ)、資格外活動の罪で拘禁刑に処せられたか(同号ヘ)で分かれ、学業を続けながらの短期間の就労であれば、直ちに退去強制手続に入るとは限りません。学校の処分と在留資格の帰趨は別の問題であり、混同しないことが大切です。

ご家族が今日からできること

身柄を拘束された直後に、ご家族にできることは実はかなりあります。まず在留カードと旅券の所在を確認して保管してください。次に、学生証、在学証明書、成績証明書、出席状況が分かる資料を集めます。給与の受取口座の通帳、中国のご家族への送金記録も用意します。住居の賃貸借契約書と家賃の支払状況、身元引受人になれる方(同居のご家族、勤務先、学校の関係者)も早めに決めておきます。これらは、勾留に対する準抗告、起訴猶予を求める意見書、その後の入管手続のいずれでも使う資料です。学校や勤務先への説明をいつ、どのように行うかは、弁護人と相談してから決めるのが安全です。先に自分から退学届を出してしまうと、在留資格の基礎を自ら手放すことになりかねません。

中文版:专做中国客人的违法风俗店雇用留学生,经营者与打工者分别会怎样

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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