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「違法と知らなかった」経営者が、それでも不成立を主張できるのはどんな場面か

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「違法と知らなかった」経営者が、それでも不成立を主張できるのはどんな場面か

「違法と知らなかった」経営者が、それでも不成立を主張できるのはどんな場面か

2026/08/31

外国人の就労をめぐる事件で、経営者が「違法だとは知らなかった」と述べたとき、それが単なる弁解に終わるのか、それとも罪の成立自体を争う主張になるのかは、事案によって分かれます。この記事は、外国人を雇っている事業者の方に向けて、不成立の主張が現実に成り立つのはどのような場面か、そして、その主張を支えるために何を残しておく必要があるのかを、具体的に整理します。

否認した経営者の事案

時事通信社が2024年3月2日に報じた事案では、東京都豊島区の個室マッサージ店の経営者ら4人が、在留資格の活動の範囲を超えて外国人を働かせたとして再逮捕され、このうち中国籍の男性は「在留資格の活動範囲を超えて働かせることが違法と知らなかった」と述べて否認していると報じられています。逮捕の段階の報道であり、起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。この供述は、そのままでは法律の評価についての誤りにすぎず、故意を否定しません。しかし、同じ「知らなかった」でも、事実についての誤りであれば、話はまったく変わります。

不成立の主張が立つ理論的な足場

不法就労助長罪(入管法73条の2)については、雇用主に何の落ち度もない場合まで処罰する趣旨ではないと解されており、在留カードの確認を尽くしていれば見抜けなかったといえる事案では、成立が問題になります。ここでの争点は「違法性の認識」ではなく、「その人が就労できない立場だという事実を、確認を尽くしてもなお認識できなかったか」です。したがって、不成立を主張する側は、確認を尽くしたという事実と、それでも認識できなかった理由の二つを、証拠で示す必要があります。

現実に主張が成り立ちやすい場面

第一に、精巧な偽造在留カードを示された場合です。警察庁が公表した令和6年の検挙事例では、中国人の男が販売の目的で偽造在留カードをインドネシア人宛てに発送したとされ、同年の別の事例では中国人の男2人が居室で在留カード37枚を偽造したとされています。原本を手に取って確認していたという記録があってはじめて、見抜けなかったという主張が意味をもちます。第二に、雇用の開始後に在留状況が変わった場合です。採用時には有効であった在留期間が、その後に切れていたという事案では、満了日の管理をしていたかどうかが決め手になります。第三に、派遣や下請の構造の中で、就労させる業務の内容が現場で変わってしまった場合です。契約上は許される業務であったのに、現場の判断で別の作業に回されていたという事案では、指示系統と本人の関与の程度が問題になります。第四に、経営者の交代や名義の問題で、採用にも現場にも関与していなかった場合です。

主張を支える記録は、事前にしか作れない

ここが実務上いちばん大切な点です。確認を尽くしたという事実は、事件が起きてから作ることができません。必要なのは、採用時に在留カードの原本を確認したことを示す記録(確認日、確認者、写しの保存)、在留期間の満了日の管理表、更新後の再確認の記録、そして就労の可否について外部に照会した記録です。行政書士や弁護士への相談メール、出入国在留管理庁の窓口に問い合わせた際のメモは、判断が独りよがりでなかったことを示します。これらは、刑事の場面では不成立や不起訴の主張を支え、仮に処分を受けた場合でも、量刑と在留手続の両方で使えます。

逆に、主張が通りにくくなる事情

反対に、次のような事情があると、不成立の主張は難しくなります。在留カードを画像でしか見ていない。他の従業員については原本を確認しているのに、その人だけ確認していない。就労可否に疑いをもった形跡があるのに、確認せずに働かせ続けた。過去に指摘や捜査を受けながら運用を変えていない。給与を現金で支払い、記録を残していない。これらは、知らなかったのではなく、知ろうとしなかったという評価に直結します。同じ「知らなかった」という言葉が、事案によって正反対の意味をもつのはこのためです。

今日からできること、事件になってからできること

まだ何も起きていない事業者であれば、今日のうちに全従業員の在留カードを原本で確認し、確認日と確認者を記録し、満了日の一覧を作ってください。就労の可否に迷ったら、判断を自社で完結させず、外部に照会してその記録を残すことです。すでに捜査が始まっている場合は、書類を動かさず、過去の確認履歴と相談記録を探し出して弁護人に渡してください。取調べでは、違法性を知っていたかという質問に対して、確認の経過という事実を答えることが重要です。ご家族としては、在留カードと旅券の所在、会社の書類の保管場所を把握し、従業員への説明は事実のみにとどめてください。

中文版:说“不知道违法”的经营者,在哪些场合真能主张不成立

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舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

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この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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