舟渡国際法律事務所

65人を派遣しても書類送検にとどまった事案。身柄事件との分かれ目はどこか

お問い合わせはこちら

65人を派遣しても書類送検にとどまった事案。身柄事件との分かれ目はどこか

65人を派遣しても書類送検にとどまった事案。身柄事件との分かれ目はどこか

2026/08/31

同じ罪名でも、逮捕されて20日以上留め置かれる人がいる一方、一度も身柄を取られずに手続が進む人がいます。この違いは、事件の大きさだけでは決まりません。この記事は、外国人の就労をめぐって捜査の対象になっている事業者の方と、そのご家族に向けて、身柄を取るかどうかが何によって分かれるのか、そして分かれ目に影響を与えるために今できることは何かを説明します。

対照的な二つの事案

2024年5月16日に報じられた事案では、大阪市内の人材派遣会社の代表と社員ら、そして法人が、在留カードの原本を確認しないまま約1年間に65人を派遣したとして、入管法違反(不法就労助長)の疑いで書類送検されたとされています。人数の規模は小さくありませんが、身柄は取られていません。なお、この事案は配信元の媒体名を特定できていないため、骨格のみを紹介します。他方、神奈川新聞(カナロコ)が2025年11月18日と同年12月8日に報じた事案では、鉄鋼資材販売会社の中国籍の社長が逮捕され、その後再逮捕を経て、2025年12月8日に横浜地方検察庁が社長と法人を起訴したと伝えられています。いずれも起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。

逮捕するかどうかは、何で決まるのか

逮捕には、罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があることに加えて、逮捕の必要性が求められます。必要性の中身は、逃亡のおそれと、罪証を隠滅するおそれです。ここで見られるのは、事件の重大性そのものよりも、身柄を取らなければ捜査ができないかという実際的な判断です。証拠が既に押収され、関係者の供述も取れていて、本人が呼出しに応じているのであれば、身柄を取る理由は乏しくなります。逆に、証拠が会社の中に散在していて、本人が指示をすれば消せる状態にある、あるいは関係者が多数で口裏合わせが容易だ、という状況では、必要性が認められやすくなります。

身柄の要否に効く、会社側の三つの要素

第一に、協力の姿勢です。捜索に応じ、求められた資料を出し、呼出しに遅れずに応じているという事実の積み重ねは、逃亡のおそれを打ち消す方向に働きます。第二に、是正措置です。問題のある就労を止め、運用を改めた記録があれば、同じことを繰り返す状態が続いているという前提が崩れます。第三に、証拠の保全状況です。関係書類が整理され、既に捜査機関の手元にあるのであれば、隠滅の余地は小さくなります。逆に、捜査が始まってから書類を整理したり削除したりすると、たとえ悪意がなくても、隠滅の疑いを自ら作り出すことになります。共犯とされる立場の従業員に口止めと受け取られる連絡をすることも、同じ結果を招きます。

身柄を取られた場合の時間の流れ

逮捕されると、警察は48時間以内に検察官に送致し、検察官は24時間以内、かつ逮捕から72時間以内に勾留を請求するかどうかを決めます。勾留が認められると原則10日、やむを得ない事由があるときはさらに10日まで延長され、合計20日となり得ます。この期間の中で、起訴か不起訴かが判断されます。会社経営者の場合、この20日が事業に与える影響は甚大です。検察統計の令和6年の数字(全国籍)から計算すると、勾留請求に対する裁判所の許可率は95.7%になります。これは公表された許可91,358件と却下4,154件から計算した値であり、国籍別の内訳は公表されていません。したがって、外国人だから勾留されやすいという説明を、公的統計を根拠として述べることはできません。

在宅であっても、事件が軽いとは限らない

書類送検で済んだからといって、処分が軽くなると決まっているわけではありません。在宅のまま起訴されることもあり、法人が両罰規定によって処罰される場合もあります。身柄の要否と、起訴・不起訴の判断は、別の基準で行われるからです。在宅であることの本当の利益は、事業を続けながら、弁護人と時間をかけて資料を整え、是正の実績を積み上げられることにあります。この時間を使えるかどうかが、最終的な処分に影響します。

ご家族と会社が今日できること

捜索を受けた直後であれば、まず書類を動かさないでください。整理も廃棄も、隠滅と受け取られます。次に、社内の誰が対応の窓口になるかを決め、従業員への説明は事実のみに限ります。個別に連絡して話を合わせようとする行為は、身柄拘束の理由を作ります。そのうえで、問題のある就労を止め、日付を記録し、運用の改定を書面にしてください。本人が呼出しを受けている場合は、日時を守り、体調不良などで行けないときは事前に連絡します。ご家族としては、在留カードと旅券の所在、会社の口座と給与の支払、取引先への連絡の順序を確認しておくと、万一身柄を取られた場合の混乱を小さくできます。取調べには通訳を求めてください。

中文版:派遣了65人却只是移送书类,与被逮捕案件的分界在哪里

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


東京にて中国人の方をサポート

東京を中心に刑事事件の弁護

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。