舟渡国際法律事務所

技術・人文知識・国際業務の人にホールをさせると、店も本人も罪に問われます

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技術・人文知識・国際業務の人にホールをさせると、店も本人も罪に問われます

技術・人文知識・国際業務の人にホールをさせると、店も本人も罪に問われます

2026/08/31

飲食店で人手が足りないとき、店にいる社員に配膳を頼むことは、日本人の従業員であれば何の問題も生じません。しかし、技術・人文知識・国際業務の在留資格の方に同じことを頼むと、本人には資格外活動、店には不法就労助長という二つの罪が同時に成立し得ます。本稿では、報じられた事案を手がかりに、許可の有無、業務内容の実態、勤務記録という三つの争点を整理し、本人と店の双方に生じる帰結を説明します。

報じられた事案

2026年2月、東京都内の中華料理店において、資格外活動の許可を受けていない技術・人文知識・国際業務の在留資格者を、ホールスタッフとして就労させたとして、中国籍の店舗経営者の男性と、中国籍の従業員の男性が、入管法違反(不法就労助長および資格外活動)の疑いで逮捕されたと報じられました。報道によれば、経営者は在留資格の種類は分かっていたが法律違反とは思わなかったとして一部否認したとされています。なお、当事務所ではこの事案について配信元の媒体を特定できていないため、報道の細部を確定的なものとしては扱いません。起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。

類似の構図は他の在留資格でも生じます。神戸新聞NEXTの2025年12月9日の報道によれば、兵庫県内のスナックの経営者が、資格外活動の許可を受けていない特定技能(介護分野)の在留資格の30代の中国人女性をホステスとして就労させたとして、入管法違反(不法就労助長)の疑いで逮捕されたと報じられています。報道では、経営者は雇う際に身分証を確認しなかったと説明したとされ、風営法に基づく立入検査で発覚したとされています。起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。

なぜ二つの罪が同時に成立するのか

就労系の在留資格は、認められた活動の範囲が決まっています。技術・人文知識・国際業務は、理学・工学等の技術、人文科学の分野の知識、外国の文化に基盤を有する思考や感受性を要する業務を想定した資格です。接客や配膳といった、いわゆる単純作業に区分される業務は、この範囲には含まれません。範囲を超えて働けば、本人には資格外活動の問題が生じます。入管法73条は資格外活動の罪を定めています。

他方、そのような就労をさせた側には、入管法73条の2の不法就労助長罪が問題になります。一つの就労関係から、働いた側と働かせた側に、それぞれ別の罪が生じる構造です。したがって捜査も、店と本人の双方に対して同時に行われます。どちらか一方だけが立件されると考えるのは誤りです。

争点その一、資格外活動許可の有無

最初の分かれ目は、資格外活動の許可を受けていたかどうかです。留学や家族滞在の方に認められる包括的な許可のように、一定の時間の範囲で他の活動を認める制度がありますが、許可があれば何をしてもよいわけではなく、風俗営業等に関わる業務は認められていません。就労資格の方についても、本来の活動を妨げない範囲で、個別に許可が与えられることがあります。

実務では、そもそも許可を申請していなかった、許可の内容を誤解していた、以前の在留資格のときの許可がそのまま有効だと思っていた、という食い違いが多く見られます。許可の有無と内容は、入管に記録が残っています。記憶ではなく記録で確認することが出発点です。

争点その二と三、業務内容の実態と勤務記録

次の争点は、実際に何をしていたかです。契約書の職務内容が翻訳や海外取引であっても、実際にホールで注文を取り、料理を運んでいたのであれば、実態が優先して評価されます。逆に、繁忙時に短時間だけ手伝ったにすぎないのであれば、それは資格の範囲を逸脱した継続的な就労とは評価されない余地があります。

その判断材料になるのが勤務記録です。シフト表、タイムカード、給与明細、賃金の計算根拠、業務日報、店内の防犯カメラ、そして客や同僚の供述。これらが一致していれば主張は通りやすく、食い違っていれば説明を求められます。捜査が始まってから記録を作り直すことは、罪証隠滅と評価される危険が高く、絶対に避けなければなりません。

本人側に生じる帰結

まず、資格外活動に専従していたと評価されると、入管法24条4号イの退去強制事由の問題が生じます。また、資格外活動の罪により拘禁刑に処せられた場合には、同24条4号ヘが退去強制事由となります。処罰の程度と在留の帰結が、ここで結び付きます。

さらに、本来の活動を行っていない状態が続けば、入管法22条の4第5号の取消事由に触れます。出入国在留管理庁の統計では、令和7年の在留資格取消件数1446件のうち、この第5号によるものが350件(24.2%)でした。また警察庁「令和6年における組織犯罪の情勢【確定値版】」(令和7年4月公表)によれば、令和6年の来日外国人による入管法違反の検挙件数5974件のうち、資格外活動は257件でした。数としては不法残留より少ないものの、就労資格の方にとっては最も身近な類型です。

店側に生じる帰結と、今日できる点検

店側については、不法就労助長罪に加え、入管法76条の2の両罰規定により法人にも罰金刑が科され得ます。経営者自身が外国籍であれば、入管法24条3号の4により、刑事処罰の有無にかかわらず退去強制事由に該当し得るという問題も重なります。営業許可や取引先との関係への影響も避けられません。

今日できることは具体的です。従業員全員について、在留カードの原本で、在留資格の種類、在留期限、資格外活動許可の有無と範囲を確認し、確認日と担当者を記録に残すこと。実際に任せている業務が、その資格の範囲に収まっているかを業務の実態に即して点検すること。判断に迷う業務があれば、任せる前に確認すること。すでに捜査が始まっている場合には、資料を廃棄せず、従業員に口裏合わせを求めないこと。ご家族や会社の側では、雇用関係の資料を保全し、早い段階で弁護人に渡してください。

中文版:让技术·人文知识·国际业务资格者做大厅服务,店家和本人都会被追究

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舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

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この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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