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高度専門職の在留資格を持つ人が刑事事件の当事者になったら

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高度専門職の在留資格を持つ人が刑事事件の当事者になったら

高度専門職の在留資格を持つ人が刑事事件の当事者になったら

2026/08/31

高度専門職は、学歴、職歴、年収、研究実績などを点数化して認められる在留資格で、他の就労資格にはない優遇が用意されています。しかしそれは、刑事事件になったときに有利に働くことを意味しません。むしろ、優遇の前提が失われることによる落差が大きいのが、この資格の特徴です。本稿では、報道された事案を手がかりに、高度専門職が入管法別表第一の在留資格であることの意味、点数評価の見直し、更新不許可、そして退去強制事由の適用範囲を整理します。

高度専門職の在留資格者が逮捕されたと報じられた事案

産経新聞、日本経済新聞などの2026年7月初旬の報道によれば、高度専門職1号(ハ)の在留資格で在留していたキプロス国籍の40代の男性が、2026年4月に自身の在留カードを中国籍の女性に貸与したとして、入管法違反(在留カードの貸与等)の疑いで逮捕されたと報じられています。同じ一連の捜査では、区役所での印鑑登録や虚偽の転入届をめぐって、中国籍の男女らも逮捕されています。報道では、一部が否認しているとされています。起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。

この事案が示すのは、高度専門職という、日本社会が積極的に受け入れようとしてきた層であっても、刑事手続の入口は他の在留資格の方と変わらないということです。資格の格が高いから捜査が緩やかになる、ということはありません。

高度専門職が「別表第一」であることの意味

入管法の在留資格は、活動に基づくもの(別表第一)と、身分・地位に基づくもの(別表第二)に分かれます。永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者は別表第二であり、高度専門職は別表第一です。この区別が効いてくるのが、入管法24条4号の2です。この号は、別表第一の在留資格をもって在留する者に限って適用される特定犯罪を定めており、危険運転致死傷などが対象とされています。

在留外国人統計によれば、令和7年末現在の中国籍の在留者は930428人で、そのうち永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者の合計は約43万8000人、全体の約47%です。裏を返せば、残る約53%は別表第一の在留資格であり、24条4号の2のリスクを負う層に当たります。高度専門職の在留者は同統計で22169人です。自分がどちらの表に属しているかは、刑事事件の帰結を考えるうえでの出発点になります。

24条4号リと4号の2は、守備範囲が違う

退去強制事由のうち、入管法24条4号リは、無期または1年を超える拘禁刑に処せられた者を対象としますが、ただし書により刑の全部の執行猶予が付いた場合は除かれます。したがって、この号は「重い実刑」を受けた場合の規定です。これに対し、24条4号の2は罪名によって区切られた規定で、別表第一の在留資格者だけを対象とします。

この二つを混同すると、見通しを誤ります。たとえば、執行猶予付きの判決であれば4号リには当たりませんが、罪名が4号の2に挙げられた特定犯罪であれば、別表第一の在留資格者は別の経路で退去強制事由に触れ得ます。逆に、4号の2に挙げられていない罪名であれば、量刑がどうであるかが分かれ目になります。どの号の問題なのかを最初に確定させてください。

点数評価の見直しと、更新の不許可

高度専門職は、認められた時点の点数評価を前提とする在留資格です。したがって、勤務先を離れた場合、年収が大きく下がった場合、研究や職務の実績が途切れた場合には、更新の審査で改めて評価されます。刑事事件で身柄を拘束されれば、就労は止まり、収入も途絶えます。事件そのものより、この状態の継続のほうが、資格の維持には直接に響きます。

さらに、更新は在留状況や素行を含む総合判断です。退去強制事由に該当しない処分であっても、更新が認められるとは限りません。高度専門職には、永住許可の要件の面などで優遇が用意されていますが、その優遇は素行が良好であることを前提としています。刑事処分を受ければ、この前提が崩れます。

在留資格の取消しと、届出の落とし穴

入管法22条の4第5号は、在留資格に応じた活動を継続して3か月以上行っていない場合を、同第6号は住居地の届出義務違反等を、それぞれ取消事由としています。出入国在留管理庁の統計によれば、令和7年の在留資格取消件数は1446件で、そのうち高度専門職1号ロは1件でした。件数としては少ないものの、制度上は取消しの対象から外れているわけではありません。

身柄を拘束されている間、届出の期限は止まりません。所属機関に関する届出、住居地の届出。これらが滞ると、刑事の結果を待たずに在留資格を失う経路が開きます。ご家族や勤務先と連携して、誰が何を届け出るのかを早い段階で決めてください。

勤務先への説明を、いつ、どこまでするか

高度専門職の方は、職務上の責任が重く、会社との関係も深いことが多いため、勤務先への説明は避けて通れません。しかし、事実関係が固まる前に詳細を伝えると、社内の記録が捜査に取り込まれたり、退職の圧力が早まったりすることがあります。まず伝えるべきは、身柄拘束の事実と、当面出社できないという事実に限ることが多いでしょう。

ご家族にお願いしたいのは、在留カードと旅券の所在の確認、雇用契約書と直近の源泉徴収票や給与明細の保管、住居の賃貸借契約の確認です。これらは、在留資格の維持を主張する場面でも、刑事手続で生活基盤を説明する場面でも、そのまま使える資料です。刑事の防御と在留の維持は、同じ時間軸の上で組み立てる必要があります。

中文版:持高度专门职在留资格的人卷入刑事案件会怎样

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舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

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この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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