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区役所で他人になりすまして印鑑登録をすると、何の罪になるのか

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区役所で他人になりすまして印鑑登録をすると、何の罪になるのか

区役所で他人になりすまして印鑑登録をすると、何の罪になるのか

2026/08/31

窓口に書類を出し、他人の名前を書いて押印する。その場では数分で終わる手続でも、後から刑事事件になることがあります。しかも、問われるのはその一つの手続だけではありません。転入届、印鑑登録、住民票の取得と、行政手続は互いにつながっているため、捜査は一連の流れをまとめて洗い直します。本稿では、報道された事案を手がかりに、なりすましによる行政手続がどのような罪として構成されるのか、なぜ連鎖して立件されるのかを説明します。

報じられた事案の概要

産経新聞、日本経済新聞などの2026年7月初旬の報道によれば、東京都内の区役所において、他人の在留カードを用いて本人になりすまし、印鑑登録の手続をしたとして、中国籍の男女らと、カードを貸したとされる外国籍の男性が、有印私文書偽造等や入管法違反(在留カードの貸与等)の疑いで逮捕されたと報じられています。これに先立つ同年6月には、区役所への虚偽の転入届をめぐって3人が逮捕されており、報道では、永住資格の取得を目的とした一連の虚偽の行政手続とみて捜査が進められているとされています。一部は否認していると報じられています。起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。

他人名義で申請書を書くと、何の罪になるのか

印鑑登録の申請書のように、私人が作成する文書に他人の氏名を書き、押印して提出する行為は、有印私文書偽造および同行使の問題になります。ポイントは、その文書が「他人名義の文書」として作られている点にあります。内容が真実かどうかではなく、名義を偽ったこと自体が処罰の対象です。

「本人から頼まれて代わりに書いた」という説明は、この点で慎重に扱う必要があります。本人の意思に基づく正当な代理であれば別ですが、本人になりすまして窓口で本人として振る舞ったのであれば、代理とは評価されません。窓口で職員に対して本人であると告げていたかどうかは、この区別の分かれ目になります。

虚偽の転入届と、住民基本台帳の制度

住民票は、日本での生活の基礎になる公的記録です。転入届によって住所が記録され、その記録をもとに印鑑登録がされ、印鑑登録証明書が発行されます。証明書は、不動産の取引や会社の設立、各種契約の場面で使われます。虚偽の転入届は、この土台に誤った情報を入れる行為であり、行政の記録全体の信頼性に関わります。

実際に住んでいない場所を住所として届け出た場合、住民基本台帳法上の問題が生じるほか、その届出をもとに作られた後続の記録も、順に問題になっていきます。届出を一度きりの小さな手続と考えていると、後になって全体像の大きさに驚くことになります。

なぜ行政手続の連鎖が、まとめて洗われるのか

行政手続は記録を残します。転入届の受付日、印鑑登録の申請日、証明書の発行履歴。窓口の防犯カメラや、担当職員の記憶も残ります。したがって、一つの手続に疑いが生じると、同じ人物、同じ住所、同じ時期の手続が芋づる式に確認されます。捜査は、点ではなく線でたどることができるのです。

さらに、印鑑登録証明書がその後どこで使われたかも追跡されます。口座の開設、法人の登記、不動産の契約。使われた先が判明すれば、そこでの申請行為が新たな被疑事実になります。逮捕の罪名が一つだけであっても、その後に再逮捕が重なることがあるのは、この構造によります。

永住申請と結び付くと、何が起きるか

報道された事案では、一連の手続が永住資格の取得を目的としたものとみられているとされています。仮にそうした経緯で在留資格を得ていた場合、入管法22条の4第1号は、偽りその他不正の手段により上陸許可等を受けたことを在留資格の取消事由とし、同第2号・第3号は虚偽の申請等を取消事由としています。刑事処分とは別の手続で、後から在留資格が失われる可能性があるということです。

加えて、永住許可の審査では素行が重視されます。この類型で有罪となれば、その後の申請は極めて難しくなります。今回の手続を通そうとした結果、将来の道筋そのものを閉ざしてしまうという逆転が、現実に起こり得ます。

初動でしておくべきこと

まず、自分がどの窓口で、いつ、どの書類に署名したのかを、可能な範囲で時系列に整理してください。記憶が曖昧な部分を推測で埋めないことが重要です。窓口の記録は客観的に残っているため、推測で述べた内容が食い違えば、信用性を損ないます。

次に、通訳の問題です。法務省『令和7年版 犯罪白書』(対象年次は令和6年)によれば、令和6年の被告人に通訳を要した通常第一審の終局人員は4649人で、中国語は726人(15.6%)と、ベトナム語の1794人(38.6%)に次いで多い言語でした。書面の内容を理解しないまま署名したのか、理解したうえで署名したのかは、この類型で決定的な意味を持ちます。窓口でどのような説明を受けたか、日本語をどの程度理解できたかを、早い段階で弁護人に伝えてください。

中文版:在区役所冒充他人办理印鉴登记,会构成什么罪

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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