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自分の在留カードを人に貸した。それだけで独立の犯罪になります

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自分の在留カードを人に貸した。それだけで独立の犯罪になります

自分の在留カードを人に貸した。それだけで独立の犯罪になります

2026/08/31

「自分のカードを友人に少しの間だけ貸した」。この行為は、日本の法律では独立した犯罪類型として処罰の対象になります。偽造でも、なりすましでもなく、本物のカードを貸すという行為そのものが規定されているのです。しかも、貸したカードが行政手続に使われた場合、事件は貸与だけでは終わりません。本稿では、2026年7月に報じられた事案を手がかりに、貸与と受供与という見落とされやすい類型と、それが在留資格の取得手続と結び付いたときの重さを説明します。

2026年7月に報じられた事案

産経新聞、日本経済新聞などの2026年7月初旬の報道によれば、高度専門職1号(ハ)の在留資格で在留していたキプロス国籍の40代の男性と、中国籍の男女らが、2026年4月に男性が自身の在留カードを中国籍の女性に貸与し、同年4月から5月にかけて、東京都内の区役所で本人になりすまして印鑑登録の手続をさせたとして、入管法違反(在留カードの貸与等)や有印私文書偽造等の疑いで逮捕されたと報じられています。同年6月には、区役所への虚偽の転入届をめぐって3人が逮捕されており、報道では、永住資格の取得を目的とした一連の虚偽の行政手続とみて捜査が進められ、一部は否認しているとされています。起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。

貸した側にも、独立した罪が定められている

出入国管理及び難民認定法(入管法)には、在留カードの偽造・提供・所持等について73条の6以下に、貸与・受供与等について73条の8以下に、それぞれ処罰規定が置かれています。ここで大切なのは、貸与が偽造とは別に、それ自体として規定されているという点です。本物のカードであっても、自分名義のカードであっても、他人に貸せばこの類型に触れます。

実務で多いのは、悪意のない形で始まる貸与です。同郷の知人に頼まれた、雇い主に預けるよう言われた、家族の手続のために渡した。動機に同情できる事情があっても、それは量刑で考慮される事情であって、犯罪の成否を左右するものではありません。「善意だった」という説明を、犯罪の否定に使おうとすると、かえって事実関係の説明が不正確になりがちです。

なぜ「貸しただけ」が重く扱われるのか

在留カードは、日本での身分関係の入口に置かれた書類です。住民票の異動、印鑑登録、金融機関の口座開設、携帯電話の契約、賃貸借契約。いずれも在留カードによる本人確認から始まります。したがって、一枚のカードが他人の手に渡ると、その先の複数の手続が連鎖的に虚偽の内容を帯びることになります。

報道された事案で、捜査が永住資格の取得目的という文脈で語られていたのは、この連鎖の帰着点が在留資格の取得だったとみられているからです。貸与そのものは、一連の手続の入口に位置します。入口だから軽い、とはなりません。むしろ、その後に積み上がった手続の全体が、貸与の悪質性を評価する材料として持ち出されることになります。

借りた側は、何に問われるか

借りた側は、受供与という類型に触れます。さらに、そのカードを使って他人になりすまし、申請書に他人の氏名を書けば、有印私文書偽造や同行使の問題が加わります。窓口で提示すれば、偽造在留カードの行使とは別に、本人でない者が本人として振る舞ったという評価が重なります。

この構造のため、貸した側と借りた側は、同じ事件の中で互いの供述が証拠になります。相手が「事情を説明して頼んだ」と述べれば、貸した側の「用途は知らなかった」という説明は苦しくなります。逆に、貸した側が用途を知らなかったことを示す具体的な事情があるなら、それは早い段階で示す必要があります。

在留資格には、どう跳ね返るか

まず、不正な手段で在留資格を得ていた場合、入管法22条の4第1号は、偽りその他不正の手段により上陸許可等を受けたことを在留資格の取消事由としています。同第2号・第3号は虚偽の申請等を取消事由としています。刑事処分とは別に、在留資格そのものが後から取り消される道筋があるということです。

退去強制事由については、入管法24条4号リが無期または1年を超える拘禁刑に処せられた者を挙げますが、ただし書により刑の全部の執行猶予が付いた場合は除かれます。出入国在留管理庁の出入国管理統計によれば、令和7年の退去強制令書発付人員は総数7722人で、そのうち不法残留が5778人と大半を占め、1年を超える実刑によるものは単独で41人(うち中国11人)でした。刑事事件がそのまま退去強制に直結するわけではありませんが、国籍によって構成比は異なり、中国籍については総数686人のうち1年超の実刑によるものの比率が相対的に高い点は正確に見ておく必要があります。

貸してしまった後に、できること

まず、いつ、誰に、どのような経緯で渡したのかを、記憶が新しいうちに時系列で整理してください。連絡のやり取り、返却の有無、対価の授受。これらは後から作れない資料です。次に、カードが現在どこにあるのかを確認してください。紛失や盗難として届け出るべき場合もあれば、既に押収されている場合もあります。

取調べでは、用途を知っていたかどうかが繰り返し問われます。ここで曖昧な言葉を使うと、後にどちらにも読める調書が残ります。分からないことは分からないと述べ、推測で補わないことが大切です。ご家族は、本人の在留カードと旅券の所在、住民票の異動履歴、勤務先や住居の資料を集めておいてください。刑事の防御と、在留資格の取消しに対する反論は、同時に準備する必要があります。

中文版:把自己的在留卡借给别人,仅此一点就构成独立犯罪

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舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

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この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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