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技術・人文知識・国際業務の在留資格者が、偽造在留カードを郵送したとき

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技術・人文知識・国際業務の在留資格者が、偽造在留カードを郵送したとき

技術・人文知識・国際業務の在留資格者が、偽造在留カードを郵送したとき

2026/08/31

就労系の在留資格で日本に暮らす方が、「二枚だけだから」「送っただけだから」という感覚で偽造在留カードを郵送し、提供の罪で検挙される。この類型は、枚数が少ないぶん本人の危機感が薄く、そのまま起訴まで進んでしまうことがあります。本稿は、警察庁が公表した検挙事例を出発点に、提供という行為がなぜ独立して処罰されるのか、受け取った側にも捜査が及ぶのはなぜか、そして就労資格の方が有罪となった場合に在留に何が起きるのかを説明します。

偽造在留カード2枚の発送で検挙された事例

警察庁が公表した「組織犯罪の情勢」には、令和6年、愛知県で、技術・人文知識・国際業務の在留資格で在留していた中国人の男が、同年4月に販売目的で偽造在留カード2枚をインドネシア人宛てに発送したとして、偽造在留カード提供の疑いで検挙された事例が掲載されています。同時に、受け取った側のインドネシア人2人(在留資格は技能実習と特定活動)も、偽造在留カード所持で検挙されています。いずれも起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。

この事例が示すのは、偽造在留カードをめぐる摘発が、作った人だけを対象にしていないということです。作る、渡す、持つ、使う。それぞれが別の行為として捉えられ、一つの取引の両端が同時に立件されます。

「提供」は、枚数が少なくても独立に処罰される

在留カードの偽造・提供・所持等については、出入国管理及び難民認定法(入管法)に73条の6以下の処罰規定が置かれています。大切なのは、提供が偽造とは別個の行為として規定されている点です。一枚も作っていない、印刷機に触れてもいない、頼まれて封筒に入れて送っただけだ。そうした説明は、偽造の実行行為を否定する意味は持ちますが、提供という行為そのものを消してはくれません。

枚数の少なさも、処罰の成否とは別の問題であり、量刑上の一要素にとどまります。実務では、報酬の受領があったか、継続的な取引の一部だったか、宛先が不特定の第三者に広がっていたかのほうが強く評価されます。「一度だけ頼まれた」という説明が本当であれば、やり取りの履歴の全体、報酬の有無を示す口座の動き、同種の取引が過去にないことを示す通信記録を、早い段階で整理する必要があります。

なお、犯罪であることを知らなかったという弁解は、それ自体では故意を否定しません。刑法38条3項は、法律を知らなかったとしても、そのことによって罪を犯す意思がなかったとすることはできないと定めます。ただし同項は、情状により刑を減軽することができるとも定めており、この点は量刑の主張として意味を持ちます。

受け取った側も、同時に検挙される

公表事例で受け取った2人が同時に検挙されているのは偶然ではありません。宛名と発送履歴が残る郵送は、両端の特定が容易です。受け取る側の動機は、多くの場合、資格外の就労や、在留期限後も働き続けることにあります。そのため捜査は、所持だけでなく資格外活動や不法残留の嫌疑にまで広がりやすい構造になっています。

提供した側にとっても、これは他人事ではありません。受け取った側の供述は、提供者の目的や認識を認定する最も直接的な証拠になります。相手が「働くために使うと聞いていた」と述べれば、提供者の「用途は知らなかった」という説明は苦しくなります。自分の説明は、相手方の供述が出てくることを前提に組み立てる必要があります。

有罪となった場合、就労資格に何が起きるか

まず退去強制事由から見ます。入管法24条4号リは無期または1年を超える拘禁刑に処せられた者を挙げますが、ただし書により刑の全部の執行猶予が付いた場合は除かれます。執行猶予付きの判決であれば、この号に直ちに該当するわけではありません。別表第一の在留資格者に限って適用される24条4号の2の特定犯罪も、危険運転致死傷などに限られます。

問題はその先の在留期間の更新です。更新は権利ではなく、在留状況や素行を含めた総合判断で決まります。法務省『令和7年版 犯罪白書』(対象年次は令和6年)によれば、文書偽造の起訴率は来日外国人が59.18%で、全体の33.72%を上回ります。この類型は起訴に至りやすく、有罪となれば前科として記録され、更新審査で素行の面から不利に働きます。刑事事件の決着と在留の維持は、別々に設計しなければなりません。

退職・転職が、そのまま在留に直結する

就労資格の方が見落としやすいのは、身柄拘束や退職が在留資格そのものを揺るがす点です。入管法22条の4第5号は、在留資格に応じた活動を継続して3か月以上行っていない場合を取消事由とし、同第6号は住居地の届出義務違反等を取消事由とします。出入国在留管理庁の統計では、令和7年の在留資格取消件数1446件のうち第6号が999件(69.1%)、第5号が350件(24.2%)。在留資格別では技術・人文知識・国際業務が63件、国籍・地域別では中国が66件でした。

身柄を拘束されて出社できない、あるいは会社が解雇に踏み切る。その結果として活動が中断し、届出も滞る。刑事処分が確定する前に、この経路で在留資格を失うことがあります。転職の際も、所属機関に関する届出と、新しい職務内容が在留資格の該当性を満たすかを、事前に確認してください。

起訴前の段階でできること

同じ犯罪白書によれば、令和6年の来日外国人被疑事件の起訴猶予率は48.35%でした。起訴されるかどうかが決まるのは勾留期間中であり、この段階で何を出せるかが結論を左右します。関与の限定を裏づける通信記録、報酬を受け取っていないことを示す口座の履歴、勤務先での実績と身元引受の体制、再発防止の約束。検察官が処分を判断する前に出してこそ意味を持ちます。

ご家族の側では、在留カードと旅券の所在、雇用契約書と直近の給与明細、本人名義の口座の取引履歴を早めに集めてください。会社への説明を事実関係が固まる前に急ぐと、解雇と在留資格の喪失を同時に招くことがあります。順序と時期は弁護人と相談して決めるのが安全です。

中文版:持技术·人文知识·国际业务资格者寄出伪造在留卡,会怎么样

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

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この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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