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実習先から失踪した人が、なぜ偽造在留カードにたどりつくのか

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実習先から失踪した人が、なぜ偽造在留カードにたどりつくのか

実習先から失踪した人が、なぜ偽造在留カードにたどりつくのか

2026/08/31

技能実習の実習先を離れた人が、その後に偽造在留カードの事件で逮捕される。この経路は、報道を並べて見ると偶然ではなく、制度の構造から生まれています。実習先を離れた瞬間に就労の資格を失い、しかし借金と送金の義務は残る。正規の就労は選べず、生活のために身分を偽る道具を求める。この記事では、二つの報道された事案を手がかりに、その構造を制度の側から説明し、あわせて、偽造カードとは別に選べるもう一つの道である出頭申告について、実際の手順を書きます。

二つの報道が示す共通の構造

読売新聞の2026年2月5日報道では、元技能実習生である中国籍とベトナム籍の内装工の男性各1人が、宿泊施設で偽造在留カードを提示したとして逮捕され、既に約4年から6年の不法残留の容疑でも逮捕されていたとされます。また、産経新聞の2024年6月2日報道では、実習先から失踪した中国籍の技能実習生の男性らが、通信アプリ経由で指示を受けて在留カードなどを偽造したとして立件された事案が報じられています。いずれも起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。片方は偽造カードを使う側、片方は作る側ですが、出発点は同じです。実習先を離れたことです。

実習先を離れた後、制度上は何が起きるのか

技能実習の在留資格は、特定の実習実施者のもとで実習を行うことを前提にしています。そこを離れれば、在留資格に応じた活動を行っていない状態になります。入管法22条の4第5号は、在留資格に応じた活動を継続して3か月以上行っていないことを在留資格の取消事由としています。また同条第6号は、住居地の届出義務違反等を取消事由としています。出入国在留管理庁の統計では、令和7年の在留資格取消しは1,446件と過去最高で、そのうち技能実習が973件(67.3%)、取消事由では第6号が999件(69.1%)を占めます。在留資格を失えば、当然、働くことはできません。ここに、正規の道がほぼ閉じるという事態が生じます。

閉じた選択肢の先に偽造カードがある

正規の就労ができない状態で生活費と送金を続けようとすれば、身分を偽るか、身分を問わない働き口を探すことになります。偽造在留カードは、その隙間に商品として存在しています。作る側も、多くは同じ立場の人です。報道された事案でも、実習先を離れた人が、通信アプリで募集を見つけ、指示役の指示で作業に加わったとされています。ここで強調したいのは、構造の説明は責任の否定ではないということです。偽造も所持も行使も、それぞれ独立した犯罪です(入管法73条の6以下)。ただ、量刑の場面では、なぜその選択に至ったのかという経緯が意味を持ちます。借金の額、送金の義務、募集の文言、報酬の低さ、離脱を申し出たときの反応。これらは記録として残せるものです。

もう一つの道としての出頭申告

在留期限を過ぎた状態にある方が、摘発される前に自ら地方出入国在留管理官署へ出向いて申告する、という選択があります。これは制度上、明確に意味を持ちます。第1に、入管法24条の3第1号イは、違反調査の開始前に自ら出頭した場合を出国命令の要件としており、出国命令で出国した場合の上陸拒否期間は1年です(同法5条1項9号ホ)。摘発されて退去強制となれば、前歴がなくても5年、前歴があれば10年です(同項9号ハ・ニ)。第2に、在留特別許可のガイドライン(令和6年3月改定、同年6月10日施行)は、自ら出頭したことを積極要素として明記しています。第3に、出頭により身柄を収容されるとは限らず、令和6年6月10日以降は監理措置の運用があり、同年末までの監理措置決定は1,123件、監理人の9割以上が親族・知人であったとされています。

出頭申告の実際の手順と注意点

出頭は、思い立った日に一人で行くものではありません。まず、旅券と在留カード、これまでの在留の履歴、住んでいた場所、働いていた期間、家族の状況を整理します。在留を希望するのか、出国を希望するのかを決めます。この判断が、その後の手続の組み立てを全部決めます。次に、出国命令の要件(24条の3の各号)に当たるかを確認します。薬物事犯で有罪となっている場合は出国命令を使えません。24条4号チに該当する者が除かれているためです。そのうえで、出頭の日程を調整し、通訳と弁護人が同行できる形にします。出頭した当日に何を聞かれ、何を答えるのかを事前に整理しておくことが重要です。準備のない出頭は、有利な事情を伝えないまま手続だけが進む結果を招きます。

ご家族に伝えたいこと

実習先を離れて連絡が途絶えたご家族から、数年後に相談をいただくことがあります。多くの場合、ご本人は連絡することを恥じています。しかし、時間が経つほど選択肢は狭くなります。在留の長期化は在特の判断では消極要素とされていますし、その間に別の事件に巻き込まれる危険もあります。まず、ご本人が今どのような在留状態にあるのかを確認してください。そのうえで、在留を求めるのか、区切りをつけて帰国するのかを、家族として話し合ってください。どちらを選ぶにせよ、弁護士と入管手続に詳しい専門家を早く入れるほど、取れる手は多く残ります。

中文版:从实习单位失踪的人,为何最终走向伪造卡

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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