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不法残留が4年から6年。認めた人と否認した人で処分はどこが分かれるか

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不法残留が4年から6年。認めた人と否認した人で処分はどこが分かれるか

不法残留が4年から6年。認めた人と否認した人で処分はどこが分かれるか

2026/08/31

不法残留は、入管法違反のなかで最も件数の多い類型です。しかし、同じ「不法残留4年」であっても、その後にたどる道は一つではありません。認めるのか、争うのか。自ら出頭したのか、摘発されたのか。この違いが、身柄拘束の長さ、刑事処分の内容、そして次に日本へ入れるようになるまでの年数を左右します。この記事では、2人が逮捕され、一方が認め、一方が否認したと報じられた事案をもとに、不法残留罪の骨格と、認否が実務にもたらす違いを説明します。

報じられている事案

読売新聞の2026年2月5日報道によれば、中国籍とベトナム籍の内装工の男性各1人(いずれも元技能実習生)が、偽造在留カードを宿泊施設で提示したとして逮捕され、2人は既に約4年から6年の不法残留の容疑でも逮捕されていたとされます。報道では、ベトナム籍の男性は容疑を認め、中国籍の男性は否認しているとされています。起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。同じ現場、同じ罪名でありながら、認否が分かれているという点が、この事案の実務上の面白さです。

不法残留罪の法的な骨格

不法残留罪は入管法70条1項5号に定められ、法定刑は同項柱書により3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金、又はこれらの併科です。構成要件は単純で、在留期間の満了後も残留したことです。したがって、事実として争う余地は多くないように見えます。しかし実際には、最後に許可された在留期間はいつまでだったのか、その間に更新・変更の申請が出されていて審査中ではなかったか、特定活動などによる在留が続いていなかったか、といった点で、期間の起算に争いが生じることがあります。書類上の在留期限だけを見て、期間を確定してはいけません。

認否は処分に何をもたらすか

まず前提として、否認したこと自体を理由に刑を重くすることは許されません。黙秘権は憲法上の権利であり、事実に争いがあるならば、争うべきです。そのうえで、実務の現実を正確に述べます。争点が残る事件では、証拠の収集と関係者の取調べが必要になるため、勾留が延長され、身柄拘束が長期化しやすい傾向があります。逆に、事実関係に争いがなく、本人が退去強制手続に乗ることを受け入れている事案では、比較的早い段階で処分が決まることがあります。法務省の令和7年版犯罪白書によれば、令和6年の来日外国人被疑事件の入管法違反の起訴率は47.75%です。約半数は不起訴で終わっていることになります。認めるか争うかは、この見通しを踏まえて、本人が自分で決めるべきことです。弁護人の役割は、決めるための材料を正確に渡すことにあります。

出頭申告か摘発かで、次に入国できる時期が変わる

刑事処分と並んで重要なのが、上陸拒否期間です。入管法5条1項9号は、退去強制を受けた者について、前歴がなければ5年、前歴があれば10年と定めます。他方、出国命令によって出国した者は1年です(同項9号ホ)。出国命令の要件は入管法24条の3にあり、その第1号にはイとロの分岐があります。イは違反調査の開始前に自ら出頭した場合、ロは違反調査の開始後で47条3項の通知前に出国の意思を表明した場合です。そして、ロに該当する者が出国命令で出国した後に短期滞在で来ようとする場合の上陸拒否期間は5年とされています(同項9号ヘ)。摘発される前に自ら申告するかどうかが、1年と5年、さらには5年と10年を分けるということです。なお、出国命令の期限は15日を超えない範囲で定められ、その位置は令和5年改正により入管法55条の85に移っています。

刑事と入管が並走するという構造

不法残留の事件では、刑事手続が終わる前から入管の違反調査が始まっていることが多くあります。令和7年の出入国管理統計では、退去強制令書発付7,722人のうち不法残留(24条4号ロ)が5,778人と圧倒的多数を占め、そのうち中国は432人です。他方で、同年の在留特別許可は審査段階824人、口頭審理29人、異議申出177人の合計1,030人でした。在留を求めるのであれば、刑事手続の段階から、日本での生活実態を示す資料を並行して整えることになります。入管法50条2項により、在留特別許可の申請権は、収容令書により収容された外国人または監理措置決定を受けた外国人に生じます。

ご家族が今日から準備できること

ご本人がどの時点から在留期限を過ぎているのかを、旅券と在留カードの写しから確認してください。次に、日本での生活の記録を集めます。住んでいた場所、働いていた期間、家族の在留資格、送金や納税の記録。これらは在留特別許可を求める際の中心的な資料になります。もし本人がまだ逮捕されておらず、期限を過ぎた状態で生活しているのであれば、摘発される前に弁護士に相談してください。自ら出頭するという選択には、要件と時期の判断が必要です。在特ガイドライン(令和6年3月改定、同年6月10日施行)では、自ら地方出入国在留管理官署に出頭したことが積極要素として明記されている一方、在留の長期化は消極要素とされています。時間は味方ではありません。

中文版:非法滞留4至6年,承认与否认的人处分为何不同

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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