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携帯電話から200人分の偽造データが出た。それでも全部が起訴されるわけではありません

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携帯電話から200人分の偽造データが出た。それでも全部が起訴されるわけではありません

携帯電話から200人分の偽造データが出た。それでも全部が起訴されるわけではありません

2026/08/31

在留カードを偽造したとして逮捕された人の携帯電話から、200人分近い偽造データが見つかった。そうした報道に接したご家族は、まず「200人分もやったのなら、途方もない刑になるのではないか」と考えます。しかし、押収されたデータの点数と、実際に起訴される犯罪事実の数は、まったく別のものです。この記事では、偽造在留カード事件で押収データがどのように扱われるのか、そして立件の対象を絞り込ませることがなぜ量刑にとって現実的な意味を持つのかを、報道された事案を手がかりに説明します。中国籍の方のご家族から寄せられるご相談で、最も誤解が多い部分の一つです。

報道されている事案の概要

2026年2月27日、中国籍の30代の男性が、自宅で共謀して「永住者」などと記載された在留カードを偽造した疑いで逮捕されたと報じられています。携帯電話からは約200人分の偽造データが押収され、そのうち半数近くが中国籍の名義であったとされます。なお、この報道は配信元の媒体名を当事務所で確認できていないため、以下は報道内容の要約にとどめ、細部を確定した事実としては扱いません。また、逮捕の段階にとどまり、起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。

押収データの点数は、そのまま起訴事実にはならない

刑事裁判で処罰の対象になるのは、検察官が起訴状に記載した犯罪事実だけです。偽造の事案であれば、いつ、どこで、誰と共謀して、誰の名義のカードを、何枚作ったのかが特定されて初めて、被告人はそれに対して防御することができます。端末に残っていた画像やテンプレートは、その事実を裏づける証拠の一つにすぎません。実際の端末には、他人から送られてきただけの画像、作りかけの断片、同じ人物についての複数世代のデータ、そもそも印刷されなかったものが混在しているのが通常です。「200人分のデータ」という表現は、200件の犯罪が確定したという意味ではありません。

立件対象の絞り込みを求めることが量刑に効く理由

量刑は、起訴された事実を土台として決まります。起訴されていない行為、いわゆる余罪を、実質的に処罰する趣旨で刑を重くすることは許されません。もっとも、犯行の常習性や規模を示す事情として一定の範囲で考慮されることはあるため、弁護人は、押収データのうちどれが起訴事実に対応するのかを検察官に明らかにさせ、残りが印象として過大に評価されることを防ぎます。データの点数という数字だけが独り歩きすると、本人が実際に関与した範囲を超えた量刑判断に傾きかねません。捜査段階のうちから、供述と客観証拠の対応関係を丁寧に整理しておくことが、公判での主張の土台になります。

「行使の目的」はどこで判断されるか

出入国管理及び難民認定法(入管法)は、在留カードの偽造・提供・所持などを73条の6以下で処罰しています。偽造の類型では、行使の目的があったかどうかが要件になります。目的は本人の内心の問題ですから、通信アプリのやり取り、報酬の受渡し、注文を受けた形跡、印刷機材の購入履歴といった外形的な事情から認定されます。逆にいえば、これらの資料の読み方次第で、実行役なのか、機材を貸しただけなのか、名義を提供したにとどまるのかという役割の評価が変わります。取調べで安易に「全部やりました」と包括的に認めてしまうと、後から役割を切り分けることが難しくなります。

在留資格にどう跳ね返るか

刑事処分が終われば話が済むわけではありません。入管法24条4号リは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としています。ただし、全部執行猶予が付いた場合は除かれます。薬物事犯と異なり、罰金や執行猶予にとどまるのであれば、この号によって直ちに退去強制の対象になるわけではありません。もっとも、本人が在留期限を過ぎている場合には、別に24条4号ロ(不法残留)によって退去強制手続が進みます。出入国管理統計(令和7年)では、退去強制令書の発付7,722人のうち4号リ単独は41人(うち中国は11人)にとどまる一方、中国籍については発付総数686人のうち47人、約6.9%が4号リに関係しており、ベトナムの約3倍です。刑の重さがそのまま在留の帰趨を決める層が現に存在します。

ご家族が最初にすべきこと

まず、本人の在留カードと旅券がどこにあるかを確認してください。次に、勤務先や学校への説明を、いつ、誰の口から行うかを決めます。慌てて退職届を出すと、後の在留手続で不利に働くことがあります。差し入れは現金と衣類、それに本人が読める中国語の書籍が役に立ちます。身元引受人になれる方の連絡先、家賃や送金の実績、家族の在留状況を整理しておくと、弁護人の活動が早く進みます。本人が希望すれば領事機関への通報が行われます(領事関係に関するウィーン条約36条1項)。接見禁止が付いても、弁護人との接見が制限されることはありません(刑訴法39条1項)。

中文版:手机里查出200人份数据,并不等于全部都会被起诉

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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