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被害者が亡くなった事件で、ご遺族への謝罪と弁償をどう届けるか

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被害者が亡くなった事件で、ご遺族への謝罪と弁償をどう届けるか

被害者が亡くなった事件で、ご遺族への謝罪と弁償をどう届けるか

2026/08/31

被害者が亡くなった事件で、加害者側にできることは限られています。それでも、何もしないという選択は、被告人にとっても、ご遺族にとっても、最も悪い結果を残します。この記事では、ご遺族への謝罪と弁償を、どのような順序で、誰を通じて届けるのかを説明します。あわせて、本国から送金する場合の準備、供託という制度、そしてご遺族が法廷に立つ被害者参加制度についても触れます。

報じられた事案の重さ

2025年12月5日に発生し、同月8日にRecord Chinaおよびテレビ朝日が報じた事案として、千葉県いすみ市のガラス製品製造会社で、中国籍の男性(39歳)が面談中に58歳の女性社員を刃物で複数回刺し、女性が死亡したというものがあります。殺人の疑いで逮捕されたと報じられています。起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。

以下に述べるのは、この事案についての予測ではなく、被害者が亡くなった事件一般において、弁護人がどのように動くかという実務の説明です。

最初にすべきなのは、意向の確認である

ご遺族の中には、加害者側からの連絡を一切望まない方がいます。逆に、事実経過を知りたい、なぜこうなったのかを説明してほしいと望む方もいます。この違いを確かめずに手紙を送ったり、自宅を訪ねたりすることは、二次的な被害を与える行為であり、量刑の場面でも不利に働きます。

そこで、弁護人はまず検察官を通じて、ご遺族が弁護人からの連絡を受けてもよいかどうかを打診します。ご遺族の連絡先は、捜査機関から加害者側に直接開示されることはありません。この打診の段階で拒否された場合、それ以上の接触は控えます。

被告人本人やそのご家族が、独自にご遺族へ連絡を取ろうとすることは、絶対に避けてください。勤務先が同じであれば、同僚を介して伝えようとする気持ちが生じますが、これも同様です。すべて弁護人を通してください。

謝罪の伝え方には、形式がある

謝罪文は、弁護人が内容を確認したうえで、検察官またはご遺族の代理人弁護士を経由して届けるのが通例です。書くにあたって注意していただきたいのは、次の点です。自分の行為について、言い訳の記載を先に置かないこと。事実経過について、まだ争っている部分があるのであれば、その点は書かないこと。そして、ご遺族が求めていない約束を並べないこと。

中国語で書いた文章を日本語に訳す場合、訳文の質が印象を大きく左右します。定型的な言い回しをそのまま直訳すると、形式的で心のこもらない文章に見えてしまうことがあります。翻訳の段階から弁護人と相談することをお勧めします。

弁償の形。示談、見舞金、そして供託

被害弁償には、いくつかの形があります。ご遺族が受け取りに応じる場合には、示談として合意書を交わすことがあります。ただし、被害者が亡くなった事件では、金銭を受け取ること自体を拒まれることが少なくありません。その場合でも、弁償の意思と資力があることを示す方法はあります。

一つは、受領を拒まれた金銭を法務局に供託する方法です。供託をすれば、支払の意思と原資が現実に用意されていたことが記録に残ります。もう一つは、被害者支援団体への寄付など、贖罪の趣旨の支出です。いずれも、示談が成立した場合ほどの効果はありませんが、何もしなかった場合との差は明確です。

大切なのは、金額の多寡だけで評価されるわけではないという点です。どのような資力の中から、どのように工面したのか。その経過も含めて、法廷では評価されます。

本国からの送金経路を、早い段階で確保する

中国籍の方の事件で、実務上しばしば壁になるのがこの点です。ご本人は勾留されており、自分の口座を動かせません。ご家族は本国におり、日本の口座を持っていません。この状態で、弁償の資金をどう用意するかを考えておく必要があります。

  • 日本国内に信頼できる親族や友人がいる場合、その方の口座を経由する。ただし、資金の出所と経路を説明できる記録を漏れなく残す
  • 銀行を通じた正規の国際送金を用いる。手数料と日数がかかるため、必要な時期から逆算して着手する
  • 本人の日本国内の口座から支出する場合、勾留中でも一定の手続で対応できることがあるため、弁護人に相談する
  • 非正規の送金経路は使わない。それ自体が別の法的問題を生み、量刑にも悪影響を与えます

送金の記録は、資金が正当な出所から来たことを示す証拠にもなります。示談交渉の場面で「このお金はどこから来たのか」と問われることは、実際にあります。

被害者参加制度と、法廷での向き合い方

日本の刑事裁判では、一定の重大な事件について、被害者やそのご遺族が刑事裁判に参加する制度があります。参加が認められると、ご遺族は法廷で意見を述べ、証人や被告人に質問し、量刑についての意見を述べることができます。裁判員裁判では、この意見陳述が裁判員に与える影響は小さくありません。

被告人としては、その場でどのような態度を取るかが問われます。目を伏せたまま何も答えられない、あるいは通訳を介した答えが噛み合わない。こうした場面が、反省の欠如と受け取られることがあります。事前に、質問されうる事項と、自分の言葉で答えるべき内容を、弁護人と通訳人を交えて確認しておく必要があります。

ご家族が今からできること

ご遺族への対応は弁護人に任せたうえで、ご家族には別の役割があります。被告人がどのような人物であったかを、事実で示す資料を集めることです。本国での生活、家族との関係、これまでの職歴、送金の記録、周囲の方の陳述書。これらは、量刑の判断において、その人を一つの人生として見てもらうための材料になります。

そして、刑事手続の後には入管の手続が控えています。実刑となり、その刑期が1年を超える場合、入管法24条4号リの退去強制事由に該当します。刑の全部の執行猶予が付いた場合は除かれます。刑事の結果がそのまま在留の結果につながる以上、刑事弁護と入管対応を分けて考えることはできません。早い段階から、両方を見通せる弁護人にご相談ください。

中文版:被害人死亡的案件中,如何把道歉与赔偿送到遗属手中

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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