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「居住地不明」と報じられると、勾留の判断は一気に厳しくなる。住居を証明する手順

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「居住地不明」と報じられると、勾留の判断は一気に厳しくなる。住居を証明する手順

「居住地不明」と報じられると、勾留の判断は一気に厳しくなる。住居を証明する手順

2026/08/31

報道で「住所不定」「居住地不明」と書かれた瞬間、その事件の見え方は変わります。読者にとっては単なる肩書きですが、刑事手続の中では、これは勾留の要件そのものに直結する言葉です。この記事では、なぜ住居の有無がそこまで重いのかを説明し、実際に住んでいるのに居住地不明とされてしまった場合に、どのような書類でそれを覆していくのかを、具体的に示します。あわせて、住居地の届出を怠ることが在留資格の取消しにつながるという、刑事とは別の危険にも触れます。

札幌の事案で報じられた「居住地不明」

2026年5月17日から18日にかけて、ライブドアニュースが配信した北海道の放送局の報道によれば、札幌市中央区の飲食店で、中国籍の男性(21歳)が男性従業員の腕をつかんで引っ張る暴行をしたとして現行犯逮捕されました。この報道で、男性は居住地不明とされています。暴行の疑いで逮捕されたと報じられています。起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。

注意していただきたいのは、報道の「居住地不明」が、本当に住む場所がないことを意味するとは限らない点です。逮捕時に住所を答えられなかった、答えた住所が確認できなかった、在留カードを所持していなかった。こうした事情でも、発表上は居住地不明となりえます。捜査機関がその時点で把握できていないという意味なのです。

住居が定まっていないことは、勾留の入口である

裁判官が勾留を認めるためには、罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があることに加え、住居が定まっていないこと、罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があること、逃亡すると疑うに足りる相当な理由があること、のいずれかが必要です。住居不定は、この三つのうち最初に挙げられる要件であり、他の二つと違って、評価ではなく事実の有無で決まります。したがって、住居があることを資料で示せば、この要件は直接的に崩せます。

逆に言えば、住居不定とされたまま手続が進むと、暴行のような比較的軽い事案でも身体拘束が続きます。逮捕から72時間以内に勾留の可否が判断され、認められれば原則10日、延長で最長20日。この期間、学校にも職場にも行けません。事件そのものの軽重よりも、住居に関する情報の有無が、失うものの大きさを決めてしまうのです。

住居を証明する書類を、順番に揃える

弁護人が受任後すぐに集めるのは、次のような資料です。ご家族の側で先に用意しておけるものも多くあります。

  • 賃貸借契約書。契約者が本人でない場合は、同居を認める旨の契約者の書面を添える
  • 住民票の写し。中長期在留者は住民基本台帳に記録されます
  • 在留カードの表裏の写し。住居地の記載欄が重要です
  • 電気、ガス、水道、携帯電話の請求書。氏名と住所が印字されたもの
  • 勤務先の在職証明書、給与明細、社員寮であれば寮の使用許可書
  • 学校の在学証明書、学生寮の入寮許可書
  • 大家または管理会社の書面。事件後も居住を継続できることを確認したもの

これらは、単に住所を示すだけでなく、釈放された場合に本人が戻る場所があること、その場所で生活が続くことを示す資料です。裁判官が見ているのは、住所という文字列ではなく、生活の継続性です。

身元引受人には、誰がなれるのか

身元引受人に法律上の資格要件はありません。実務では、親族、同居人、勤務先の上司、学校の指導教員、友人などが引受人となります。中国籍の方の場合、日本国内に親族がいないことも多いため、勤務先や知人にお願いする場面が増えます。

身元引受書に書くべきなのは、氏名と住所だけではありません。本人との関係、知り合った時期、本人の日常の様子、釈放後にどこに住まわせるのか、誰がどのように連絡を取り監督するのか、被害者に近づかせないためにどうするのか。ここまで具体的に書いて、はじめて意味を持ちます。引受人自身の在留資格や在職を示す資料も添えます。抽象的に「責任を持って監督します」とだけ書かれた書面は、実務上ほとんど力を持ちません。

勾留された後の手続と、保釈のタイミング

勾留が決定された後でも、その裁判に対して準抗告を申し立てることができます。住居に関する資料が後から揃った場合、これを添えて改めて判断を求めることになります。勾留の理由を法廷で明らかにさせる勾留理由開示の手続も利用できます。

なお、日本には起訴前の保釈という制度はありません。保釈を請求できるのは起訴された後です。したがって、起訴前の20日間をどう短くするかは、準抗告と、示談を含む処分交渉によるほかありません。起訴後に保釈を請求する場合も、住居と身元引受人の問題は同じ形で問われますから、ここで集めた資料はそのまま使えます。

住居地の届出は、在留資格そのものに関わる

刑事手続とは別に、もう一つ知っておいていただきたいことがあります。出入国管理及び難民認定法(入管法)は、在留資格の取消事由の一つとして、住居地の届出義務に関する違反を定めています。令和7年の在留資格取消件数は1,446件で、前年の1,184件から22.1%増加し、過去最多となりました。そのうち、この住居地の届出に関する第6号を理由とするものが999件、全体の69.1%を占めています。

つまり、引越しをして届出をしないまま放置することは、それだけで在留資格を失う入口になりうるということです。しかも、届出がされていなければ、刑事事件で逮捕されたときに「住居不定」として扱われる危険も高まります。刑事と入管の両面で、住居地の届出は自分を守る手続なのです。転居した方、在留カードの住居地欄が古いままの方は、事件の有無にかかわらず、今のうちに確認しておいてください。

中文版:一旦被报道为“居住地不明”,羁押判断会立刻收紧:如何补足住所证明

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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