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752円の菓子1箱で現行犯逮捕。少額でも刑事事件になる日本の実務

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752円の菓子1箱で現行犯逮捕。少額でも刑事事件になる日本の実務

752円の菓子1箱で現行犯逮捕。少額でも刑事事件になる日本の実務

2026/08/31

752円の菓子1箱。日本の店舗で会計を済ませずに外へ出たとして、中国籍の女性が現行犯逮捕されたと報じられました。所持金があったのに、なぜ逮捕されるのか。金額が小さければ注意されて終わるのではないか。この記事では、報道された事実を確認したうえで、店舗での窃盗がどの時点で犯罪として完成するのか、現行犯逮捕はどのように行われるのか、そして示談と身柄解放をどの順序で進めるのかを、実務の流れに沿って説明します。

報道された事実

HBC北海道放送が2026年5月15日に伝えたところによれば、北海道札幌市中央区の土産物店で、752円の菓子1箱を会計せずに店外へ出たとして、中国籍の40代の女性が現行犯逮捕されました。女性は船員であったと報じられています。店の警備員が身柄を確保して警察に引き渡したと伝えられており、逮捕時の所持金は現金約2万円と外貨紙幣であったとされています。本件は起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。この報道は、金額の多寡にかかわらず刑事事件として扱われるという日本の実務を、端的に示す例として参照する価値があります。

お金を持っていたのに、なぜ窃盗になるのか

支払能力があることと、支払う意思をもって行動したかどうかは別の問題だからです。窃盗の成否は、財布の中身ではなく、商品を店の支配から自分の支配へ移したかどうかで判断されます。「うっかりしていた」という説明が通るかどうかも、所持金の額ではなく、商品の持ち方、レジ前での行動、精算した他の商品があるか、防犯カメラに映った動線、店員に呼び止められたときの反応などから判断されます。実務では、代金相当額を支払える状態にあったことは、故意を否定する決定的な事情としては扱われません。むしろ「後で払うつもりだった」という説明は、いったん支配を移した事実を認める趣旨とも受け取られかねず、注意が必要です。

どの時点で犯罪が成立するのか

店舗内の商品については、レジを通さずに精算区域の外へ出た時点で、店の占有を離れたと評価されるのが一般的な考え方です。バッグや衣服の中に入れて隠した段階で、その時点をもって支配が移ったと評価されることもあります。ですから、店の外で警備員に声をかけられ、その場で商品を返したとしても、成立した犯罪が消えるわけではありません。返還は、被害の回復として処分を軽くする方向に働く事情にとどまります。ここは中国語圏の方が誤解しやすい点で、「返したのだからもう終わりのはずだ」という感覚と、日本の実務の扱いは異なります。

現行犯逮捕の仕組みと、その後の時間の流れ

現行犯であれば、警察官でない私人でも逮捕することができ、店舗の警備員が確保して警察官に引き渡す形が典型です。引渡し後は、警察の取調べを経て、逮捕から48時間以内に検察官へ送致され、検察官は24時間以内かつ逮捕から72時間以内に勾留を請求するかどうかを判断します。勾留されれば原則10日、延長されればさらに10日です。少額の店舗窃盗であれば、この最初の72時間で釈放される例も少なくありませんが、住居が日本国内になく、身元を引き受ける方が見つからない場合には、逃亡のおそれがあるとして勾留が付きやすくなります。金額の小ささよりも、身柄の安定性のほうが勾留の判断を左右します。

示談と身柄解放は、どちらが先か

順序を誤ると、どちらも遅れます。実務では、まず弁護人が接見して事実関係と本人の意向を確認し、次に身柄の解放に向けた活動と、被害店舗への謝罪と弁償の申入れを並行して進めます。店舗窃盗では、被害額が小さくても、店の方針として示談に応じない場合があります。その場合でも、代金相当額と迷惑料に相当する額を用意していることを書面で示し、贖罪寄付という形をとることもできます。これらは検察官への意見書に添えて、処分の判断材料としてもらいます。逆に、示談が成立してから釈放を求めるという順序にこだわると、店舗側の社内決裁を待つ間に勾留期間が進んでしまいます。並行して動くことが要点です。

ご家族と関係者が最初にすべきこと

第一に、本人がどの警察署にいるかを確認します。第二に、旅券と在留カード、航空券や乗船の予定に関する資料の所在を押さえます。押収されている場合もあります。第三に、日本国内で連絡が取れる方、身元を引き受けられる方を探します。第四に、弁償の原資を用意します。第五に、本人が領事機関への通報を望むかを確認します。外国人が逮捕された場合、本人が要請すれば領事機関への通報が行われる仕組みがあります。第六に、勤務先や乗船先への連絡は、事実関係が固まる前に急いで行うと不利益が広がることがあるため、弁護人と相談してから行うほうが安全です。

中文版:752日元的一盒点心也被当场逮捕:金额再小也是刑事案件

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

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この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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