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資金洗浄の検挙で中国人関与が44.1%という統計を、どう読むべきか

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資金洗浄の検挙で中国人関与が44.1%という統計を、どう読むべきか

資金洗浄の検挙で中国人関与が44.1%という統計を、どう読むべきか

2026/08/31

資金洗浄の検挙のうち中国人の関与が44.1%を占める、という数字が報じられることがあります。この数字は実在する公表統計に基づくものですが、そのまま読むと大きな誤解を生みます。何の中の44.1%なのか、母数は何件なのか、そこでいう外国人とは誰を指すのか。この記事は、数字の出どころに戻って、正確な意味を確認します。統計を正しく読むことは、根拠のない不安からも、根拠のない安心からも、私たちを守ってくれます。

数字の出どころと、正確な意味

警察庁犯罪収益移転防止対策室の「令和7年版 犯罪収益移転防止に関する年次報告書」によれば、令和7年中、来日外国人が関与した組織的犯罪処罰法上の資金洗浄事犯は304件(内訳は隠匿237件、収受67件)で、これは同法の事犯全体の17.1%に当たります。そして、この304件を国籍別に見ると、中国人が関与したものが134件で44.1%と最も多く、次いでベトナム人が111件で36.5%でした。つまり、44.1%という数字は、資金洗浄事犯の全体に対する比率ではありません。来日外国人が関与した304件という、限られた母数の中での比率です。全体に対する比率を単純に計算すれば、17.1%の中の44.1%ですから、およそ7.5%になります。これは公表された数字そのものではなく、当事務所による計算値です。

「来日外国人」という言葉の落とし穴

ここが最も重要な点です。警察庁の統計でいう来日外国人とは、日本に存在する外国人のうち、いわゆる定着居住者、すなわち永住者、永住者の配偶者等及び特別永住者、それに在日米軍関係者と在留資格不明者を除いた外国人を指します。この定義は統計の注記に明記されています。在留外国人統計(令和7年末)によれば、中国籍の在留者は930,428人ですが、そのうち永住者357,565人、永住者の配偶者等21,762人、特別永住者610人を合わせた379,937人、およそ40.8%は、そもそもこの統計の母集団に入っていません。ですから、この数字を「日本にいる中国人の中で」という意味に読むことはできません。

母数を無視した比較は成り立たない

比率を見るときは、母数を確かめる必要があります。在留外国人統計(令和7年末)によれば、在留外国人の総数は4,125,395人で、国籍別では中国が930,428人、22.6%で第1位です。ベトナムは681,100人です。人数の多い集団から、より多くの事案が出るのは、確率の問題として自然なことです。他方で、警察庁の「令和6年における組織犯罪の情勢」によれば、令和6年の来日外国人の総検挙人員12,170人のうち、中国は2,011人で16.5%の第2位であり、第1位はベトナムの3,990人、32.8%でした。刑事事件全体で見れば、中国が最多というわけではありません。分野によって順位が入れ替わるということ自体が、単一の数字で全体を語ることの危うさを示しています。

なぜこの分野に偏りが出るのか、断定はできない

統計は分布を示しますが、原因を説明しません。考えられる要素として、在留者数が多いこと、母国への送金の需要があること、募集や勧誘が同じ言語のコミュニティの中で行われやすいこと、捜査の重点の置き方などが挙げられますが、いずれも公表資料で検証されたものではありません。はっきりしているのは、資金洗浄の入口が口座であるということです。同じ年次報告書によれば、令和7年中の犯罪収益移転防止法違反(預貯金通帳等の不正譲渡等)の検挙件数は4,699件でした。これは国籍を問わない全体の数字であり、国籍別の内訳は示されていません。国籍で語れることには限りがあります。

統計は、個人の責任を左右しない

刑事責任は、その人が何をしたか、何を知っていたかによって決まります。同じ国籍の人に関与件数が多いという統計は、目の前の一人の責任を重くする理由にはなりません。逆に、統計上の件数が少ない分野だから安心だ、ということもありません。実務で意味を持つのは、資金の由来を知っていたか、どの段階で関与したか、報酬の額はいくらか、口座は誰の指示で用意したかという、その事件固有の事実です。捜査機関が統計上の構図を前提に見立てを立てているように感じられる場面では、なおのこと、本人の個別の事情を具体的に示していく必要があります。

在留への影響と、今日できること

資金洗浄の罪で有罪となり、1年を超える実刑を受ければ、出入国管理及び難民認定法(入管法)の退去強制事由に当たり得ます。全部執行猶予が付いた場合は除かれます。出入国管理統計(令和7年)によれば、この規定による退去強制令書の発付は、中国籍について単独11人、不法残留との並立を含めて47人であり、中国籍の発付総数686人の約6.9%を占めています。ベトナムは約2.3%です。ご本人とご家族に申し上げたいのは、統計の数字に一喜一憂するのではなく、自分の口座がどこにあり、誰がその情報を知っているかを、今日確認していただきたいということです。使っていない口座があれば解約する。頼まれても渡さない。それだけで、この統計の中に入らずに済みます。

中文版:洗钱查处案件中中国人涉及44.1%,这个统计该如何解读

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

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この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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