舟渡国際法律事務所

暗号資産に替えた金は追跡されます。追跡結果への反論をどう組み立てるか

お問い合わせはこちら

暗号資産に替えた金は追跡されます。追跡結果への反論をどう組み立てるか

暗号資産に替えた金は追跡されます。追跡結果への反論をどう組み立てるか

2026/08/31

暗号資産に替えれば足がつかない、と説明されて資金の移動を手伝ってしまった。そういうご相談は少なくありません。実際には、暗号資産の取引は追跡が可能です。しかし、追跡できることと、その資金を動かしたのが目の前の被疑者だと証明できることは、別の問題です。この記事は、追跡の仕組み、追跡結果が示すことと示さないこと、そして弁護の側から何を確認すべきかを整理したものです。

まず、追跡が現に行われた事件があります

朝日新聞は、2026年1月9日、東京都と愛知県で、日本籍と中国籍を含む男性6人が、2025年1月から2月にかけて特殊詐欺などの被害金を暗号資産に交換し、複数の口座を転々とさせたうえ、うち約8000万円を現金化したとして、組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)の疑いで逮捕されたと報じました。関係する口座の間で動いた資金は約28億5000万円に上るとされています。逮捕の段階であり、起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。資金が暗号資産を経由していても、捜査は現に成立しているという事実を、まず知っておく必要があります。

なぜ追跡が可能なのか

多くの暗号資産は、取引の記録が公開された台帳に残る仕組みになっています。どのアドレスからどのアドレスへ、いつ、どれだけ移動したかは、誰でも確認できます。追跡の要は、この公開された記録と、現実世界の人物とを結びつける接点にあります。接点は主として二つです。一つは、暗号資産を法定通貨に交換する取引所です。日本国内の取引所は本人確認を行っており、口座の名義、登録された住所、入出金に使われた銀行口座の記録が残ります。もう一つは、機器と通信の記録です。ログインに使われた端末、IPアドレス、電話番号などが手掛かりになります。

追跡結果が示すこと、示さないこと

追跡が示すのは、あくまで資金の移動の経路です。アドレスと人が自動的に結びつくわけではありません。争うべき第一の点は、そのウォレットを現実に管理していたのは誰かという問題です。秘密鍵を保有し、実際に送金の操作を行った者が誰なのか。他人に鍵を渡していた場合、預託型のサービスを使っていた場合、複数人が同じ口座を共用していた場合には、名義と操作者は一致しません。第二の点は、解析の手法です。実務では、同じ取引に複数のアドレスが入力されていれば同一人の管理下にある、といった経験則が用いられることがありますが、これはあくまで推定であって、例外があります。第三の点は、混和です。取引所の内部で多数の利用者の資金がまとめて管理されている場合、被害金と他の資金の対応関係は台帳の上では追えなくなります。

解析報告書への向き合い方

捜査機関が解析結果を書面で提出してきた場合、弁護人は、その作成主体、用いられた解析ツール、前提とされた経験則、対象とした期間と範囲を確認します。結論だけが書かれた報告書は、そのまま前提にできません。元になった取引記録の開示を求め、記載された移動が実際に台帳上で確認できるかを検証します。取引所の本人確認記録についても同様で、口座名義人が本人であることと、その時点で操作していたのが本人であることは別の事実です。他人に口座を譲り渡していた場合、本人には犯罪収益移転防止法違反という別の問題が生じますが、それは隠匿の実行行為とは異なります。

認識の立証との関係

資金の流れを技術的に追えたとしても、被疑者がその資金を犯罪による収益だと認識していたかどうかは、別に立証されなければなりません。ここで検討されるのは、どういう経路で仕事を頼まれたのか、報酬は作業量に見合っていたのか、身分証や本人名義の口座の提供を求められたのか、送金の目的について説明があったのか、通信を消すよう指示されていたのか、といった事情です。報酬が不自然に高い、秘匿を求められたといった事情は認識を推認させる方向に働きますが、逆に、指示者から正規の事業だと説明されていた経緯が残っていれば、反対の主張が成り立ちます。ここでも、通信アプリの履歴が決定的な資料になります。

在留資格への影響と、ご家族の初動

この類型の罪は入管法24条4号チにも同号の2にも当たらず、退去強制事由となるかは、無期または1年を超える拘禁刑の実刑(同号リ、全部執行猶予は除かれます)に至るかで決まります。不起訴や罰金であれば退去強制事由には当たりませんが、在留期間の更新や在留資格の変更の審査では素行が考慮されます。ご家族にお願いしたいのは、端末を初期化したり、通信の履歴を消したりしないことです。本人に有利な資料まで失われます。あわせて、弁護人の選任、在留カードと旅券の所在確認、勤務先や学校への説明の段取りを進めてください。

中文版:换成加密资产的钱同样会被追踪,如何反驳追踪结果

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


東京にて中国人の方をサポート

東京を中心に刑事事件の弁護

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。