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特殊詐欺の回収役は受け子より重く扱われるのか その理由と反論の組み立て方

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特殊詐欺の回収役は受け子より重く扱われるのか その理由と反論の組み立て方

特殊詐欺の回収役は受け子より重く扱われるのか その理由と反論の組み立て方

2026/08/31

特殊詐欺の事件で、被害者から現金を受け取る「受け子」よりも、その受け子から現金を集める「回収役」のほうが重く扱われる、という説明を捜査段階で聞かされることがあります。同じ日に同じ組織のために動いていたのに、なぜ扱いが違うのか。この記事では、報道された事案を手がかりに、回収役という位置づけが処分と量刑にどう作用するのか、そしてその評価に対してどのような反論を組み立てられるのかを、中国籍の方とそのご家族に向けて整理します。

報道された事案——回収役として逮捕された2人

産経新聞は2022年6月20日、大阪府と滋賀県にまたがる特殊詐欺について、中国籍の男2人(51歳と23歳)が詐欺と窃盗の疑いで逮捕されたと報じました。報道によれば、2人は現金の回収を担う役割とされ、被疑者宅からは3000万円を超える現金が押収された一方、立件されたのは100万円分であったとされています。これは逮捕段階の報道であり、起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。以下は、この報道を出発点とした一般的な制度と実務の説明です。

なぜ回収役は受け子より重く扱われるのか

理由は三つに整理できます。第一に、回収役は複数の受け子の稼働を束ねるため、一人あたりの被害件数が構造的に多くなり、余罪の広がりが大きく見えます。第二に、受け子が誰であるかを知り、受渡しの場所と時刻を決められる立場にあると、組織の内部情報に接していた者として評価されやすくなります。第三に、報酬が歩合ではなく一定額で、しかも受け子より高いことが多く、その差額が「上位者としての取り分」と読まれます。捜査機関は組織図を描いてから個々の被疑者を配置していくため、いったん「回収役」という枠に入れられると、その枠に付随する評価が本人の実際の関与を超えて先行しがちです。

「上位者だ」という評価を崩す視点

弁護人がまず疑うのは、その組織図が通信記録に裏づけられているかという点です。回収役とされた人物が、実は上位者から時刻と場所を一方的に指定され、指定された相手の顔も名前も知らされずに現場へ行かされていたのであれば、それは中間管理者ではなく、単に移動距離の長い運搬役にすぎません。判断の材料になるのは、指示の方向(どちらから連絡が来ていたか)、断る余地の有無、現場の選定権、受け子の人選への関与、上納後の資金の行方についての説明の有無です。これらが一つも本人の側にないのであれば、位置づけの評価は動きます。

指示・報酬・離脱の申出を、どう形にして残すか

反論は言葉ではなく資料で行います。第一に、押収された端末の通信履歴について、削除分を含めた解析結果の開示を求め、誰から誰へ指示が流れていたかを時系列で示します。第二に、報酬の実額です。報道された被害額や押収額と、本人が現実に受け取った金額との落差は、組織内の位置づけを示す最も分かりやすい指標になります。送金記録、現金の使途、生活実態を積み上げます。第三に、離脱の申出です。やめたいと伝えた事実、伝えた日時と相手、その後に何を言われたかは、継続的な関与の意思を否定する事情として意味を持ちます。記憶が新しいうちに、接見で聞き取って書面化しておくことが欠かせません。

年齢差にも意味があります。報道の事案では51歳と23歳という開きがありましたが、年齢差そのものが支配関係を示すわけではありません。誰が住居を用意し、誰が旅費を出し、誰が携帯電話を渡したのか。生活基盤の依存関係こそが、従属性を語る材料になります。

在留資格への影響——1年を超える実刑かどうかが分水嶺

詐欺や窃盗で有罪となった場合、退去強制事由として問題になるのは、入管法(出入国管理及び難民認定法)24条4号リです。これは無期または1年を超える拘禁刑に処せられた者を対象としますが、ただし書により全部執行猶予の場合は除かれます。「刑事事件を起こせば即座に強制送還」というのは正確ではありません。出入国在留管理庁の令和7年の統計では、退去強制令書の発付は総数約7700人で、うち4号リ単独によるものは41人にとどまり、圧倒的多数は不法残留でした。もっとも、中国籍については4号リの比率が相対的に高く、油断はできません。

執行猶予にとどまった場合でも、在留期間の更新や在留資格の変更では素行の要素が審査されます。また、勾留が長期化して就労や就学が途切れると、在留資格に応じた活動を継続して3か月以上行っていないことを理由とする在留資格の取消しが問題になり得ます。刑事事件の帰趨と在留の帰趨は、別々に進むのではなく重なって進みます。

ご家族が今日できること

面会が制限されていても、ご家族にできることはあります。まず、在留カードと旅券の所在を確認し、有効期限を控えてください。次に、勤務先や学校への説明を、いつ、誰が、どこまで行うかを決めます。無断欠勤が続くと在留資格の前提が崩れるため、放置が最も危険です。被害弁償の原資については、いくら用意できるか、その資金の出どころを説明できるかを整理しておきます。中国国内のご家族が送金する場合は、正規の経路を用い、送金記録を残してください。差し入れは、現金、下着、書籍のほか、中国語の辞書が役に立ちます。そして、逮捕から起訴・不起訴の判断までは長くて20日ほどしかありません。動き出しは早いほど選択肢が残ります。

中文版:特殊诈骗中的收钱回收角色为何比取款人处罚更重?如何反驳

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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