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住所不定と報じられた被疑者は、勾留も保釈も通らないのか

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住所不定と報じられた被疑者は、勾留も保釈も通らないのか

住所不定と報じられた被疑者は、勾留も保釈も通らないのか

2026/08/31

報道で「住所不定」と書かれると、ご家族は強い不安を覚えます。実際、住居が定まっていないことは、身柄を解く判断に対して重い意味を持ちます。しかし、住所不定という言葉が何を指しているのかは、事案によってまったく違います。住民登録がないのか、在留カードに記載された住居地に住んでいないのか、それとも本当に泊まる場所がないのか。これらは法的にも実務的にも別の問題です。この記事では、住居の有無が勾留と保釈の判断にどう作用するのか、そしてご家族が居住先と身元引受をどう整えるのかを、手順の形で説明します。

報道の「住所不定」は何を意味しているのか

捜査機関が住所不定と扱う場面は、大きく三つあります。第1は、住民票の登録がない、または登録地に居住していない場合です。第2は、在留カードに記載された住居地と実際の生活の本拠が食い違っている場合です。第3は、短期滞在や在留期限を過ぎた状態で、宿泊先を転々としている場合です。中国籍の方の事件では、来日直後で契約名義が同居人になっている、社宅に住んでいて自分名義の契約書がない、といった理由で、実際には生活の本拠があるのに住所不定と扱われることがあります。まず、どの意味で住所不定とされているのかを確認することが出発点です。

住居がないと、なぜ勾留されやすいのか

裁判官が勾留を認めるかどうかは、定まった住居があるか、証拠を隠す疑いがあるか、逃げる疑いがあるか、という枠組みで判断されます。住居がないことは、この三つのうち二つに同時に影響します。連絡先が固定されないため呼出しに応じない可能性が高いと見られやすく、生活の基盤が国内にないと評価されると、出国のおそれも指摘されやすくなります。参考として、検察統計の令和6年の数値では、全国籍を通じて勾留請求に対する許可は9万1358件、却下は4154件で、計算すると許可率は約95・7%になります。これは計算値であり、国籍別の内訳は公表されていません。数字が示すのは、勾留を避けるためには積極的な資料を出す必要がある、という現実です。

起訴後の保釈で住居はどう扱われるか

日本には起訴前の保釈制度がなく、保釈を請求できるのは起訴された後です(刑訴法88条以下)。保釈には、一定の除外事由に当たらない限り認められる権利保釈と、裁判所の裁量による保釈がありますが、住居が定まっていないことは、権利保釈の除外事由の一つとされています。したがって、住居が空白のままでは、裁量による保釈を求めるほかありません。逆に言えば、保釈請求までに住居を確定させておけば、判断の土俵が変わります。実務では、賃貸借契約書、光熱費の請求書、同居人の陳述書、家主の同意書などを添えて、そこに実際に住むことを疎明します。

報道された事例

琉球新報は、2026年7月3日、警察官をかたる詐欺の事件で、中国籍の44歳の男性が逮捕されたと報じました。報道では、住所不定・無職とされ、20代の女性から40万円の被害が生じたとされています。詐欺のほか、組織的犯罪処罰法違反、電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕されたと報じられているものであり、起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。報道からは在留資格が分かりません。住所不定と報じられている以上、身柄が長期化しやすい類型ですが、それは弁護活動の余地がないという意味ではありません。

居住先の確保と身元引受書の準備手順

ご家族が行う作業は、次の順序で進めるのが実際的です。

  • 第1に、住む場所を確定します。親族宅の一室でも、雇用主が用意する社宅でも構いません。重要なのは、住所が特定でき、そこに住むことを承諾する人がいることです。
  • 第2に、身元引受書を作成します。引受人の氏名、本人との関係、引受人自身の在留資格または国籍、住所、連絡先、職業と収入の概要、そして具体的に何を監督するのかを書きます。「きちんと監督します」という抽象的な文言では足りません。同居して生活時間を把握する、就労先へ同行する、呼出しには同行して出頭させる、旅券を預かる、といった具体的な内容を書いてください。
  • 第3に、裏付け資料を添えます。賃貸借契約書の写し、引受人の在留カードまたは身分証の写し、雇用証明書、収入を示す資料です。
  • 第4に、旅券の取扱いを整理します。弁護人が預かる、あるいは引受人が保管するという方法を明示すると、出国のおそれに対する具体的な反論になります。

住居地は在留資格そのものにも関わる

住居の問題は、刑事手続だけの話ではありません。入管法22条の4は在留資格の取消事由を定めており、その第6号は住居地の届出義務違反等に関するものです。出入国在留管理庁の統計によれば、令和7年の在留資格取消件数は1446件と過去最高で、そのうち第6号による取消しが999件、実に69・1%を占めています。身柄拘束が長引く間に住居地の届出が滞ることは、刑事処分とは別に、在留資格そのものを失う危険を生みます。刑事弁護と入管手続を切り離さず、同じ窓口で管理する必要があるのは、このためです。

中文版:报道称“住所不定”的嫌疑人,羁押和保释就都没有希望了吗

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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