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被害額が20万円前後なら起訴猶予を狙えるのか、報道された出し子2件を比べる

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被害額が20万円前後なら起訴猶予を狙えるのか、報道された出し子2件を比べる

被害額が20万円前後なら起訴猶予を狙えるのか、報道された出し子2件を比べる

2026/08/31

出し子として逮捕された事件で、ご家族が最初に気にされるのは金額です。「20万円くらいなら不起訴になりますか」「70万円だともう無理ですか」というご質問を、実際に数多くいただきます。この記事では、報道されている2件の事案を並べ、金額の差が処分にどう影響するのか、そして金額よりも先に効いてくる要素は何かを、順番を付けて説明します。中国籍の方とそのご家族が、起訴前の限られた時間に何から手を付けるべきかを判断するための材料としてお読みください。

そもそも起訴猶予はどのくらい出ているのか

法務省の令和7年版犯罪白書によれば、令和6年の来日外国人被疑事件の終局処理人員は1万8696人で、うち起訴猶予は7478人、起訴猶予率は48・35%でした。おおよそ半数が、公開の法廷に立つことなく処理されています。一方、来日外国人の起訴率は44・28%で、日本人を含む全体の40・38%を3・9ポイント上回ります。窃盗に限ると、来日外国人の起訴率は52・53%で、全体の44・84%より高い水準です。つまり、不起訴の可能性は現実に存在するものの、外国人事件は放っておけば起訴される方向に傾きやすい、というのが数字の読み方です。これらは全国の集計であり、個別の事件の見通しを保証するものではありません。

20万円弱の事案

KSB瀬戸内海放送は、2026年6月10日、中国籍の30歳の男性が、他人名義のカードを使ってコンビニエンスストアの現金自動預払機から19万9000円を引き出したとして逮捕されたと報じました。窃盗の疑いで逮捕されたと報じられているものであり、起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。金額が20万円に満たず、報道の限りでは引出しが単発であるという点は、被害の全額回復が現実的に可能な水準であることを意味します。ここが最も重要です。全額を返せる金額かどうかが、起訴前の弁護活動の設計を根本から変えます。

70万円余の事案

YBC山形放送は、交流サイトを通じた恋愛感情を利用する型の詐欺の出金役として、中国籍の男性が70万円余に関わったとして逮捕されたと報じています(当方で報道日を確認できていないため、報道日は記載しません)。逮捕段階の報道であり、起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。この類型は、警察庁の統計上、いわゆる特殊詐欺とは別の区分として扱われています。警察庁の令和6年における組織犯罪の情勢によれば、令和6年の交流サイト型投資詐欺・恋愛感情型詐欺の認知件数は1万0164件、被害額は約1268億円で、検挙は232件・113人、うち外国人は26人でした。金額が70万円余となると、全額の一括弁償は容易ではありませんが、不可能な水準でもありません。

金額よりも先に効くもの、その順序

実務の感覚として、検察官の処分に影響する要素には順序があります。上から順に手を付けてください。

  • 第1に、被害の回復です。全額が返っているか、返す目処が立っているか。金額が小さいほどこの条件を満たしやすく、それが結果として20万円弱の事案を有利にします。金額そのものより、回復できたかどうかが効きます。
  • 第2に、関与の程度です。受け取った報酬の額、引出しの回数、指示に従っただけか自分で判断した部分があるか。報酬が数千円から数万円にとどまることは、組織内での位置が低いことを示す具体的な資料になります。
  • 第3に、前科・前歴の有無です。初犯であることは、それ自体が起訴猶予を検討する前提になります。逆に同種前歴があると、金額が小さくても公判請求されやすくなります。
  • 第4に、身元引受と監督環境です。日本国内に監督できる親族や雇用主がいるか、住居と収入があるか。ここが空白だと、他の要素が整っていても身柄が解かれにくくなります。

罰金で終わる場合と、公判請求される場合の違い

金額の小さい単発事案では、起訴猶予のほか、略式手続による罰金で終わることもあります。罰金であれば、入管法24条4号リの退去強制事由、すなわち無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者という要件には当たりません。もっとも、罰金も前科です。在留期間の更新や在留資格の変更の審査では素行が独立に見られますから、罰金で済んだから在留は安泰、とは言えません。公判請求されて有罪となり実刑が1年を超えれば、退去強制事由に該当します。全部執行猶予が付けば同号のただし書により除かれます。処分の段階が一つ違うだけで、その後の生活が変わります。

起訴前の20日でご家族ができること

逮捕から72時間以内に勾留の可否が決まり、勾留は原則10日、延長でさらに10日です。この期間に、弁償の資金を用意し、返還の相手方を確定し、実際に返し、その事実を検察官に示すところまで進める必要があります。ご家族には、次の作業をお願いしています。第1に、資金の額と送金経路の確認です。中国国内からの送金は、適法な経路を用い、資金の出所を説明できるようにしてください。地下銀行を利用すると、それ自体が別の刑事事件になります。第2に、日本国内の居住先と、身元引受人になれる方の確保です。第3に、勤務先や在学先が本人を受け入れ続ける意思があるかの確認です。第4に、本人が受け取った報酬の額と回数を裏付ける記録の保全です。これらは、弁護人が検察官に対して関与の程度を説明する際の、ほとんど唯一の客観的資料になります。

中文版:被害额在20万日元上下时能否争取不起诉,比较两起取款人案件

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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