舟渡国際法律事務所

「自分から出頭すれば必ず在留特別許可がもらえる」という誤解|出頭申告の意味と、実際に審査されていること

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「自分から出頭すれば必ず在留特別許可がもらえる」という誤解|出頭申告の意味と、実際に審査されていること

「自分から出頭すれば必ず在留特別許可がもらえる」という誤解|出頭申告の意味と、実際に審査されていること

2026/07/19

在留期限を過ぎてしまった方から、「自分から入管に出頭すれば、在留特別許可がもらえると聞いた」というお話を伺うことがございます。この理解は、半分は正しく、半分は危険でございます。出頭申告は確かに有利な事情として考慮されますが、それ自体が許可を保証するものではありません。本記事では、出頭申告が制度上どのように位置づけられ、実際には何が審査されているのかを整理いたします。

出頭申告が有利に働く理由

出入国在留管理庁が公表しているガイドラインでは、在留特別許可の判断にあたり考慮される事情の一つとして、自ら出頭申告したことが挙げられております。摘発によって発覚した場合と比べ、規範意識の点で有利に評価される、という趣旨でございます。加えて、出頭申告により出国命令制度の対象となり得る場合には、退去強制手続によらずに出国でき、上陸拒否期間が短くなるという実際上の利点もございます。

しかし、審査されているのはそれだけではない

令和5年改正入管法により、在留特別許可の申請手続が法定され、考慮事情が法律上明示されました(入管法50条5項)。同項が挙げるのは、在留を希望する理由、家族関係、素行、入国の経緯、在留の期間、法的地位、退去強制の理由、そして人道的な配慮の必要性でございます。出頭申告は、このうち素行や規範意識にかかわる一要素にすぎません。日本人配偶者や日本国籍のお子様の有無、在留期間の長短、就労と納税の実態といった事情が、なお中心的な位置を占めております。

出頭のタイミングと準備が結果を分ける

私どもが申し上げたいのは、出頭申告そのものよりも、出頭するまでに何を整えたかが結果を左右するということでございます。婚姻や認知の手続が未了であれば、まずそれを整える。納税や社会保険の未納があれば、可能な限り清算する。同種の事情で許可された過去の公表事例を分析し、本件との共通点を書面にまとめる。こうした準備を経ずに出頭してしまうと、有利な事情を主張する機会そのものを失いかねません。

過去の公表事例を用いるという発想

出入国在留管理庁は、在留特別許可の許可事例・不許可事例を年度ごとに公表しております。これらは、行政自身が許可相当と判断した先例でございます。本件と本質的に同様の事情を有する事案について過去に許可の実績があるにもかかわらず、本件についてのみ不許可とすることは、合理的な理由なく異なる取扱いをするものであり、憲法14条1項の平等原則との関係で問題を生じます。当事務所は、この公表事例の年度横断的な分析を、意見書の柱の一つとして用いております。

誤解を解いたうえで、なお申し上げたいこと

  • 出頭申告は有利な事情ではありますが、保証ではございません。「必ずもらえる」と説明する情報には、慎重に接していただきたく存じます。
  • 出頭後は収容の可能性がございます。仮放免の見通しを含め、事前に方針を立てておく必要がございます。
  • 出頭前のご相談が、もっとも打てる手の多い段階でございます。既に出頭された後でも、諦める必要はございません。

当事務所の在留特別許可への取組と解決事例

当事務所は、在留特別許可の獲得と、その前提となる刑事手続の双方を、一体のものとして取り扱ってまいりました。

観光目的で来日された方が日本人女性との間にお子様を授かり、在留資格を失って不法滞在で起訴されるに至った事案では、当局から一旦不受理とされた婚姻・認知の手続を交渉によって成立させ、公的書類がほとんど存在しない国籍国の事情の下で有利な証拠を積み上げ、過去の許可事例の分析を尽くして、在留特別許可を一度の申請で獲得いたしました。

また、退去強制事由の判断において故意・過失が要件とされないという従来の入管実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を現在係争中でございます。この論点は現在も争われている最中でございますので、結果を予断することはいたしませんが、前例のない在留特別許可の獲得にもつながった問題意識でございます。

当事務所の最大の特徴として、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします(事務員・若手弁護士による代行を行いません)。また、当事務所には外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を、刑事手続全般にわたってご利用いただけます。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更につきましても、提携の行政書士と連携し、ワンストップでご相談をお受けしております。

おわりに

在留特別許可は、恩恵として与えられるものではなく、法が定めた考慮事情に照らして判断されるべきものでございます。ご自身の事情のどこが評価されうるのかを、条文と過去の事例に即して整理すること。それが、私どもの仕事でございます。

なお、本記事は令和8年7月時点の法令に基づく一般的な解説であり、個別の事案につきましては弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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電話番号 :050-7587-4639


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