在留資格の取消し制度とは|入管法22条の4の全体像と刑事事件との関係
2026/07/16
はじめに
外国人の在留をめぐるリスクとして、退去強制と並んで見落とされがちなのが、在留資格の取消しです。退去強制が過去の一定の事由に着目するのに対し、在留資格の取消しは、許可の前提が崩れたことに着目する別の仕組みです。本記事は、入管法22条の4が定める在留資格取消し制度の全体像を、刑事事件との関わりも含めて一般的に整理するものです。
制度の位置づけと沿革
在留資格の取消し制度は、平成16年の入管法改正で導入され、その後の改正で対象が拡充されてきました。虚偽の内容による在留資格の取得や、在留資格に応じた活動の不継続など、当初の許可の前提が失われた場合に、法務大臣が在留資格を取り消すことができるとするものです。立法の経緯をたどると、在留管理の実効性を高める趣旨で段階的に整備されてきたことが分かります。制度の趣旨に照らして、取消しが本当に必要な場面かを見極めることが、弁護の出発点となります。
主な取消事由(入管法22条の4)
取消事由は複数の号に分かれています。代表的なものとして、偽りその他不正の手段により上陸許可などを受けた場合、虚偽の申請により在留資格を得た場合、在留資格に応じた活動を継続して3か月以上行っていない場合(正当な理由がある場合を除く)、届け出た住居地から退去して新たな住居地を届け出ない場合などがあります。とりわけ「活動の不継続」については、正当な理由の有無が結論を分けるため、事情を丁寧に主張することが重要です。
刑事事件・故意との関係
虚偽申請や不正手段による取得を理由とする取消しは、偽造文書の行使などの刑事事件と重なることがあります。ここで問題となるのが、不正や虚偽についての認識、すなわち故意の有無です。刑事事件では故意の有無が構成要件の判断に組み込まれますが、行政処分である取消しについても、本人の認識をどこまで要件とすべきかは、責任主義の射程に関わる論点です。松村弁護士は、退去強制事由の判断にも故意・過失の観点を及ぼすべきかを問う訴訟を現在係争中であり、この視座は取消しの場面にも通じます(結果を予断するものではありません)。
取消しの手続と留意点
在留資格の取消しに際しては、あらかじめ意見を述べる機会(意見聴取)が設けられています。この場での主張と資料の提出が、結論を左右します。取消しがなされると、多くの場合は出国期限が指定され、これに従わなければ退去強制の手続へと進みます。したがって、取消しの通知を受けた段階で、速やかに弁護人や入管手続に通じた専門家に相談し、意見聴取に向けた準備を整えることが欠かせません。刑事事件が背景にある場合は、刑事と入管の双方を貫く一貫した戦略が求められます。
当事務所のご案内と解決事例
当事務所は、在留資格の取消しや退去強制が問題となる事案について、刑事弁護と入管手続を一体で捉える弁護を重ねてまいりました。制度の趣旨に立ち返り、取消しの当否を丁寧に検討します。
難関とされた在留特別許可の獲得
在留資格を失った依頼者について、公的書類が乏しい困難な状況でも、入管当局の過去の許可事例を分析し、有利な事情を積み上げて在留特別許可を得た事例がございます。取消し後の局面でも道が残ることを示すものです。
故意・過失を争う姿勢(係争中の論点)
退去強制事由の判断にも故意・過失の観点を及ぼすべきかを問う訴訟を係争中であり、責任主義の射程を行政処分にどこまで及ぼすべきかという論点に取り組んでまいりました(結果を予断するものではありません)。
当事務所の最大の特徴として、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします(事務員・若手弁護士による代行を行いません)。また、当事務所には外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を、刑事手続の全般にわたってご利用いただけます。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更等については、提携の行政書士とも連携し、ワンストップでご対応いたします。
おわりに
在留資格の取消しは、退去強制とは別の道筋で在留を脅かす制度です。通知を受けたとき、あるいはその予兆を感じたときは、早い段階で専門家にご相談ください。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
【執筆者】
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
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