「喧嘩は双方が悪いから逮捕されない」「自分は被害者だ」は誤解|双方立件と正当防衛
2026/07/12
飲食店や路上での言い争いから手が出てしまい、「向こうも殴ってきたのだから、お互い様だ」「自分こそ被害者だ」と考える方は少なくありません。しかし日本の刑事手続では、喧嘩の当事者双方がそれぞれ暴行罪・傷害罪で立件される「双方立件」が現実に起こります。「双方が悪いなら逮捕されない」という理解は誤解です。本記事では、この誤解の構造と、外国人にとっての在留リスクを整理いたします。
双方立件はなぜ起こるのか
暴行罪(刑法208条)や傷害罪(刑法204条)は、相手が先に手を出したかどうかにかかわらず、暴行や傷害という行為があれば構成要件に該当します。「相手も悪い」という事情は、正当防衛や過剰防衛として別途評価されるべきものであって、行為があったこと自体を消してくれるわけではありません。そのため、双方が相手に暴行を加えていれば、双方がそれぞれ立件され得るのです。
正当防衛・過剰防衛という枠組み
自分の身を守るためのやむを得ない反撃は、正当防衛(刑法36条)として、成立すれば犯罪となりません。しかし、防衛の程度を超えた反撃は過剰防衛にとどまり、刑が減免され得るにすぎません。「自分は被害者だ」という素朴な訴えを法的に実らせるには、急迫不正の侵害があったこと、反撃が防衛のためやむを得ないものであったことを、客観的な証拠に沿って主張する必要があります。防犯カメラや目撃者、傷の部位や程度が、重要な意味を持ちます。
外国人にとっての在留リスク
暴行・傷害で有罪となり、実刑が科されれば、入管法24条4号リ(無期又は1年を超える拘禁刑。全部執行猶予は除外)により退去強制の対象となり得ます。罰金や執行猶予にとどまっても、在留資格の更新審査で素行の評価に影響します。「お互い様だから大したことにはならない」という思い込みで対応を誤ると、在留を失いかねません。だからこそ、起訴前の不起訴処分の獲得を最優先に、正当防衛の主張と被害を訴える方との示談を並行して進める必要があります。
初動対応で押さえたい3つのポイント
- 黙秘権の行使:「自分も殴った」という不用意な供述が、正当防衛の主張を難しくすることがあります。
- 早期の弁護人選任:防犯カメラなどの客観証拠は時間とともに失われるため、早期の確保が重要です。
- 経験ある通訳の確保:とっさの出来事の経緯を正確に伝えるには、質の高い通訳が欠かせません。
当事務所のご案内と解決事例
舟渡国際法律事務所の松村大介弁護士は、否認・防御を要する事件に多くの実績を有します。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠を徹底的に分析して無罪判決を獲得した事例は、客観証拠に沿った主張の重要性を示すものです。また、特殊詐欺の受け子で複数回逮捕された事案の全件不起訴、難関とされた在留特別許可の獲得など、外国人事件での実績も豊富です。
当事務所の特徴は、松村大介弁護士による全工程の直接対応と、外国人事件に精通した中国語専属通訳の常駐です。刑事手続の終了後は、提携の行政書士が在留資格の手続を支援いたします。
結語
「喧嘩は双方が悪いから逮捕されない」「自分は被害者だ」という理解は、日本の刑事手続では通用しないことがあります。正当防衛を実らせ、不起訴を目指すために、まずは黙秘権を守り、早期に弁護人へご相談ください。なお、本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください(本文僅為一般性解說,個別案件請逕向律師諮詢)。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません(本文所述過往解決案例係基於個別情事,並不保證相同結果)。本記事は2026年7月時点の情報に基づきます。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
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