日本の「勾留」と中国の「刑事拘留」はどう違うのか|ご家族の不安に応える制度の比較
2026/06/28
ご家族が日本で身柄を拘束されたとき、多くの方が中国の刑事手続を思い浮かべ、その感覚で見通しを立てようとされます。しかし、日本と中国とでは、身柄拘束の仕組みも、期間も、弁護人のかかわり方も異なります。違いを知らないまま待つことは、不必要な不安を生みます。本記事は、ご家族の素朴な疑問に応えるために、両国の制度の主な違いを整理するものです。
日本の身柄拘束の流れ
日本では、逮捕された後、警察と検察での取調べを経て、逮捕から原則72時間以内に、検察官が勾留を請求するかどうかを判断します。裁判官が勾留を認めると、まず10日間、さらに延長されると最大でもう10日間、身柄拘束が続くことがあります。この勾留期間の中で、起訴するか不起訴とするかが判断されます。起訴された後は、保釈が認められれば、保証金を納めたうえで身柄を解かれて公判に臨むことができます。
中国の制度との主な違い
中国の刑事手続にも刑事拘留や逮捕といった制度がありますが、身柄拘束の期間の数え方や、捜査段階での弁護人のかかわり方には違いがあります。日本では、起訴前の段階から弁護人が被疑者と自由に面会でき、取調べへの対応を助言し、検察官に対して不起訴を求める働きかけを行うことができます。また、日本には起訴後の保釈という制度があり、一定の要件のもとで身柄を解く道が開かれています。母国の感覚で「長く出てこられない」と思い込む必要はありませんが、逆に「すぐ出られる」と楽観するのも危険です。制度の違いを正しく理解することが大切です。
外国人だからこそ重要な在留の視点
中国の感覚で最も見落とされやすいのが、刑事手続の結果が在留資格に直結するという点です。罪名によっては、執行猶予が付いても、罰金で済んでも、退去強制の対象となり得ます。日本の弁護では、執行猶予を目指すのではなく、起訴前の段階で不起訴処分を得ることを最優先の目標とします。前科を残さないことが、その後日本で暮らし続けられるかどうかを左右するからです。この視点は、入管法の構造に通じた弁護人でなければ、見落とされがちなところです。
ご家族にできること
ご家族にとって最も有効なのは、早期に弁護人を選任することです。弁護人は、接見禁止が付いていてもご本人と面会でき、日本の手続の見通しを母国の言葉で説明し、ご家族に状況を伝える役割を担えます。中国本土にいらっしゃる場合でも、微信などを通じて連絡を取り、委任の手続を進めることが可能です。なお、示談金などの送金には中国の外貨管理規制が関係することがあり、資金の準備には時間を要する場合がありますので、早めの相談が望まれます。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所では、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、ご本人のために動く立場で、制度の違いを丁寧にご説明します。たとえば、不法滞在で起訴され強制送還の危機にあった方について在留特別許可を獲得した事例や、強制退去の危機にある方について退去強制事由の故意・過失要件を問う訴訟を係争中であるなど、刑事と入管を一体で見据えた対応を続けてまいりました。刑事手続終了後の在留資格の手続については、提携の行政書士と連携してご支援いたします。
おわりに
制度の違いを知ることは、不必要な不安を取り除き、適切な判断を下すための土台になります。日本の手続には、起訴前の弁護や保釈など、ご本人を守るための仕組みが用意されています。どうか落ち着いて、専門家とともに見通しを立ててまいりましょう。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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