職務質問のもつれから公務執行妨害で逮捕された外国人の方へ|在留資格への影響を考える
2026/06/28
街頭での職務質問に納得がいかず、警察官ともみ合いになった結果、公務執行妨害として現行犯逮捕される。言葉の壁や母国との制度の違いから、こうした事態に陥る外国人の方は少なくありません。本記事は、突然の逮捕に戸惑うご本人と、連絡を受けて不安に駆られるご家族のために、手続の流れと在留への影響を冷静に整理します。
想定される刑事手続の流れ
公務執行妨害罪は、職務を執行する公務員に対して暴行または脅迫を加えた場合に成立し、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が定められています(刑法95条1項)。もみ合いの中で相手にけがを負わせれば、傷害罪が併せて問われることもあります。逮捕後は取調べが行われ、逮捕から72時間以内に勾留するかどうかが判断されます。職務質問が適法だったか、暴行と評価できる行為が実際にあったかは、しばしば争いになる点であり、初動の供述がその後の評価を大きく左右します。
外国人事件で生じる在留へのリスク
公務執行妨害は罰金で終わることもありますが、結果として1年を超える拘禁刑の実刑となれば、入管法24条4号リにより退去強制の対象となり得ます。退去強制に至らない場合でも、有罪や罰金前科は在留期間の更新・在留資格変更の審査で素行の評価に影響します。とりわけ就労資格や留学資格の方にとっては、更新が認められにくくなることが生活そのものを揺るがしかねません。刑事処分の軽重だけでなく、その先の在留まで見通した対応が求められます。
事実関係を争う視点と不起訴の重要性
公務執行妨害では、職務質問そのものが適法であったか、当事者の行為が暴行・脅迫と評価できるものであったかが重要な争点となります。言葉が通じにくい状況での身振りや接触が、過大に評価されている場合もあります。こうした事実関係を丁寧に検討し、起訴前の段階で不起訴処分を求めることが、在留を守るうえでも決定的に重要です。執行猶予を得ることを最終目標に据えるのではなく、前科を残さない不起訴の獲得を最優先に置く。これが、入管法の構造を踏まえた弁護の基本姿勢です。
初動で押さえておきたい3つのこと
第一に、黙秘権があります。興奮した状態でのやり取りがそのまま調書に残ると、後で訂正するのは容易ではありません。第二に、早期の弁護人選任です。事実関係を争う事案ほど、早い段階での証拠の確保が結果を分けます。第三に、通訳の質です。職務質問の場面でのやり取りは微妙なニュアンスを含むため、当事者の側に立つ通訳の存在が、供述の正確さを支えます。
当事務所のご案内と解決事例
舟渡国際法律事務所では、捜査の違法性や取調べの問題点を正面から争う弁護に取り組んでまいりました。たとえば、特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案で、不当な取調べに抗議しつつ主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例があります。また、覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠を徹底的に分析し無罪判決を得た事例もあります。さらに、不法滞在で起訴され強制送還の危機にあった方について、在留特別許可を一度の申請で獲得した事例もあり、刑事と入管の双方を見据えた対応を続けてまいりました。
当事務所では、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語専属通訳も常駐しており、捜査機関側の通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場で手続全般に対応いたします。刑事手続が終わったあとの在留資格の更新等については、提携の行政書士と連携してご支援いたします。
おわりに
職務質問のもつれは、その場の偶発的な出来事に見えても、外国人にとっては在留に直結する重大な分かれ道になり得ます。だからこそ、初動から事実関係を正確に整理し、不起訴を見据えて動くことが大切です。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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