恐喝・脅迫で逮捕された外国人の方へ|示談の意味と在留資格を守る視点
2026/06/28
金銭トラブルや人間関係のもつれの延長で、相手に強い言葉を向けたことが脅迫や恐喝として立件されることがあります。本人にとっては「言い過ぎただけ」という感覚でも、日本の刑法はこれを犯罪として扱います。外国人の場合、刑事処分にとどまらず在留資格への影響まで視野に入れる必要があります。本記事は、こうした事案で不安を抱えるご本人とご家族のために、手続と在留の関係を整理するものです。
想定される刑事手続の流れ
脅迫罪は、生命・身体・自由・名誉・財産に害を加える旨を告知した場合に成立し、2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が定められています(刑法222条)。これに乗じて財物や利益を交付させれば恐喝罪となり、10年以下の拘禁刑という重い法定刑が定められています(刑法249条)。逮捕後は取調べが行われ、逮捕から72時間以内に勾留の要否が判断されます。恐喝は被害者が存在する個人的法益への罪であるため、被害者との示談が成立しているかどうかが、その後の処分に大きく影響します。
外国人事件で生じる在留へのリスク
恐喝は法定刑が重く、結果として1年を超える拘禁刑の実刑となれば、入管法24条4号リにより退去強制の対象となり得ます。執行猶予が付いた場合でも安心はできません。在留期間の更新や在留資格の変更の審査では素行が見られますので、有罪となった事実が更新拒否の理由として評価されることがあるからです。脅迫罪のように比較的軽い類型であっても、前科がつけば在留に影を落とす可能性は残ります。刑事と入管を切り離さず、一連の流れとして対応することが欠かせません。
示談と不起訴処分の重要性
恐喝・脅迫のような個人的法益への罪では、被害者との示談が成立し、被害が回復され、被害者が許す意思を示せば、反社会性が個別に解消されたと評価される余地が広がります。これは、起訴前の段階で不起訴処分を得るための重要な手がかりとなります。外国人事案では、執行猶予判決を目指すのではなく、前科を残さない不起訴処分の獲得を最優先に置くべきです。前科がつかなければ、その後の在留審査における素行への打撃を抑えられます。示談交渉は感情の対立を伴うことも多く、当事者本人ではなく弁護人が間に立って進めることが現実的です。
初動で押さえておきたい3つのこと
第一に、黙秘権があります。やり取りの経緯を一方的に決めつけた調書が作られないよう、不用意な供述は避けるべきです。第二に、早期の弁護人選任です。示談は時間との勝負になる面があり、早く動くほど選択肢が広がります。第三に、通訳の質です。脅迫の言葉の有無やニュアンスは、訳し方ひとつで評価が変わりかねず、当事者の側に立つ通訳の存在が結果を左右します。
当事務所のご案内と解決事例
舟渡国際法律事務所では、被害者との示談を含む紛争解決に数多く取り組んでまいりました。たとえば、取り込み詐欺の被害に遭った卸業の依頼者について、刑事告訴を端緒に相手方を特定し、被害額を大きく上回る7,500万円の解決金を得た事例があります。また、特殊詐欺の出し子とされた20代の依頼者について、本人の置かれた状況を総合的に主張し不起訴処分を得た事例もあります。被害回復や示談を重視する姿勢は、加害者側の弁護でも被害者側の代理でも変わりません。さらに、不法滞在で起訴され強制送還の危機にあった方について在留特別許可を獲得した事例もあり、刑事と入管の双方を一体で見据えています。
当事務所では、松村大介弁護士が初動の接見から公判の終結まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語専属通訳も常駐しており、依頼者ご本人のために動く立場で手続全般に対応いたします。刑事手続終了後の在留資格の手続については、提携の行政書士とともにワンストップでご支援いたします。
おわりに
恐喝・脅迫の事案では、被害者との関係をどう修復するかが結果を大きく分けます。早い段階で適切な対応をとれば、不起訴という道が開けることもあります。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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