在留期間を過ぎてしまった方へ|オーバーステイで逮捕されたときの刑事処分と在留への道
2026/06/25
「もう手遅れではないか」と不安な方へ
在留期間が過ぎていることに気づきながら、生活や家族の事情で日本を離れられず、時間だけが過ぎてしまった。そうしてオーバーステイ(不法残留)の状態で逮捕される方は少なくありません。多くの方が「もう強制送還しかないのか」と絶望されますが、事情によっては在留が認められる道が残されています。本記事は、不法残留で逮捕された方やそのご家族に向けて、刑事処分と在留特別許可の見通しを整理いたします。
不法残留の刑事手続
在留期間を超えて残留する行為は、入管法24条4号ロの退去強制事由であると同時に、入管法上の不法残留罪として刑事処分の対象にもなります(3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはこれらの併科等)。実務では、刑事処分として起訴猶予や略式の罰金で終わることもありますが、その後に入管の退去強制手続が控えています。刑事と入管は別々のトラックで進むため、刑事が軽く終わっても入管手続が自動的に楽になるわけではない点に注意が必要です。
退去強制の手続と在留特別許可
退去強制事由に該当しても、入管法50条に基づく在留特別許可によって日本での在留が認められる場合があります。令和5年改正入管法(令和6年6月10日施行)では、考慮事情が法律上明示され(入管法50条5項)、在留を希望する理由、家族関係、素行、入国の経緯、在留期間、人道的配慮などを総合的に考慮することが定められました。日本人配偶者や日本で育つ子の存在、長期の在留実績、自ら出頭した経緯などは、有利に働きうる事情です。
出頭か摘発かで変わる見通し
在留特別許可の判断では、自ら入管に出頭申告したか、摘発されたかが一つの考慮要素になります。逮捕されてしまった後でも、事情を丁寧に整理し、過去の許可事例と本件の共通点を具体的に示すことで、在留が認められる可能性を高めることができます。出入国在留管理庁が公表している許可事例は、行政自身が許可相当と判断した先例であり、同種の事情がある事案について異なる扱いをすることは、平等原則(憲法14条1項)の観点から問題となりえます。
初動の3点
- 黙秘権を理解し、在留や経緯について不正確な供述をしない。
- 早期に弁護人を選任し、刑事と入管の双方を見据えた方針を立てる。
- 信頼できる通訳を確保し、家族関係や在留の事情を正確に伝える。
当事務所の実績
松村大介弁護士は、観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かりながら在留資格を失い、不法滞在で逮捕・起訴された事案で、婚姻・認知の成立に向けて当局と交渉し、過去の許可事例の分析を通じて在留特別許可を一度の申請で獲得した実績があります。また、不法就労助長の冤罪により強制退去の危機に瀕した女性の救済について、退去強制事由に故意・過失を要しないとする従来の実務を問い直す訴訟を係争中です(結果を予断するものではありません)。当事務所では松村弁護士が全工程を直接担当し、中国語専属通訳が常駐、在留手続は提携行政書士と連携いたします。
おわりに
オーバーステイは、逮捕されても直ちに諦める必要はありません。在留特別許可の道を見据えた一貫した対応が大切です。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
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