在留資格を目的とした結婚を疑われたら|偽装結婚に問われる二つの罪と本物の婚姻の境界
2026/06/23
在留資格を得るための結婚ではないか――こうした「偽装結婚」の疑いで、外国籍の方とその配偶者が捜査の対象になることがあります。実際には真摯な交際があったのに、生活実態の立証が十分でないために疑われてしまう例も少なくありません。この記事では、在日中国人の方が直面しやすい偽装結婚の嫌疑について、問われ得る罪と、本物の婚姻をどう示すかを解説いたします。
偽装結婚で問われ得る二つの罪
婚姻の意思がないのに婚姻届を提出して戸籍に虚偽の記載をさせれば、公正証書原本不実記録・同供用罪(刑法)に該当し得ます。加えて、その虚偽の婚姻を前提に在留資格を申請・取得すれば、入管法上の罪(偽りその他不正の手段による在留資格取得等)にも問われ得ます。仲介してあっせんした者は、より重く扱われる傾向があります。
逮捕後の流れと捜査の焦点
逮捕後は48時間・24時間・勾留の流れをたどります。捜査の焦点は「婚姻の実態があるか」です。同居の状況、生計の共同、交際の経緯、写真や連絡履歴などが調べられ、配偶者双方が別々に取調べを受けて供述の整合性を問われます。最初の72時間で、真摯な婚姻であることを裏づける事実を整理できるかが重要です。
外国人事件特有のリスク(退去強制・在留資格)
偽装結婚と認定されれば、在留資格の取消し(入管法22条の4)に直結し、退去強制の手続に進む危険が高い類型です。刑事で公正証書原本不実記録罪や入管法違反により拘禁刑に処せられれば、24条4号リ等の退去強制事由にも該当し得ます。たとえ刑事処分が軽くても、入管は刑事手続とは別個に「婚姻の実態」を独自に審査するため、二つのトラックの双方で備える必要があります。
本物の婚姻をどう示すか
疑いを晴らす鍵は、婚姻の実態を示す客観的事実の積み重ねです。同居の経緯、家計の共同、親族や知人との交流、交際開始からの連絡の積み重ね、日常生活の写真など、生活の実質を物語る資料を体系的に整えます。言語や文化の違いから生活様式が一般的なイメージと異なる場合は、その背景を丁寧に説明することも大切です。なお、真摯な婚姻であれば、日本人配偶者や子の存在は在留特別許可の局面でも重要な事情として評価されます。
不起訴処分を目標に
在留を守るには、起訴前の不起訴処分が最も確実です。婚姻意思の存在、生活実態、虚偽の認識の不存在を、検察官面談と意見書で立証します。誤解に基づく嫌疑であれば、その誤解の構造を具体的に解きほぐすことが、不起訴への道を開きます。
初動の3つのポイント
- 黙秘権:配偶者双方の供述の食い違いは致命的になり得ます。話す前に弁護人と方針を。
- 早期の弁護人選任:生活実態の資料は時間が経つほど散逸します。早期の着手が重要です。
- 本人のための通訳:交際・生活の機微は訳出の精度が結果を左右します。
当事務所のご案内と解決実績
舟渡国際法律事務所の松村大介弁護士は、婚姻・在留資格と刑事が交錯する事案に厚い実績があります。観光目的で来日し在留資格を失った方について、婚姻・認知の手続を当局と交渉して成立させ、困難な状況下で有利な証拠を集め、在留特別許可を一度で獲得した事例(事例D-1)は、まさにこの分野の代表例です。
また、特殊詐欺の出し子に関わったとされた方について犯意の不存在を主張して不起訴を獲得した事例(事例B-1)や、不法就労助長を理由とする退去強制で責任主義の射程を問う係争中の取組み(事例D-2・結果を予断しません)もございます。
当事務所では、松村大介弁護士が全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐いたします。手続後の在留資格対応も、提携の行政書士と連携してワンストップで支援いたします。
おわりに
本物の婚姻であっても、生活実態の示し方を誤れば疑いを招きます。逆に言えば、適切な立証によって誤解は解けます。心当たりのない嫌疑に直面したら、おひとりで抱え込まず、早めにご相談ください。
本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
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