起訴されてから判決まで何か月かかるのか 認める事件と争う事件の違い
2026/09/01
勾留の20日が終わり、起訴されたという知らせを受けたご家族から、最も多く寄せられるのが「あとどのくらいで結論が出るのか」という質問です。答えは事件の中身によって大きく変わります。事実を争わない事件と、無罪や事実関係を争う事件とでは、判決までの期間が数か月単位で違ってきます。この記事では、起訴から第一回公判までにかかる時間、争いのない事件の標準的な流れ、期間を短くする即決裁判手続や略式命令、否認事件が長くなる理由、そして待つ場所が留置施設か自宅かを分ける保釈の問題までを整理します。
起訴から第一回公判まで、なぜ1か月半から2か月かかるのか
起訴されると、裁判所から被告人に起訴状の謄本が送達され、弁護人の選任、事件の記録の閲覧・謄写、検察官が請求する証拠の開示、弁護人の意見の整理といった準備が行われます。裁判所は法廷の日程を他の事件と調整して期日を指定しますので、起訴から第一回公判までは、おおむね1か月半から2か月ほどかかるのが一般的です。外国人の事件では、これに通訳人の手配が加わります。令和6年の被告人に通訳を要した通常第一審の終局人員は4,649人、通訳言語は41言語で、中国語は726人(15.6%)と第2位でした(法務省『令和7年版犯罪白書』)。中国語の通訳人は比較的確保しやすいものの、方言や専門用語を扱える人となると人数は限られ、期日の調整に影響することがあります。
争いのない事件は、いつ判決に至るのか
起訴された事実を認め、量刑だけが問題になる事件では、第一回公判で証拠調べと被告人質問まで終え、その日に弁論を行って結審することが多くあります。判決の言渡しはその日から二週間ほど後に指定されるのが一般的です。したがって、起訴から判決までは全体でおおむね2か月から3か月というのが一つの目安になります。ただし、示談の交渉が続いている、被害弁償の送金を待っている、情状証人として来日する家族の日程が合わないといった事情があれば、期日が一回増え、その分だけ後ろにずれます。
即決裁判手続と略式命令は、期間をどこまで短くするのか
比較的軽い事件で、事実に争いがなく、被告人が同意している場合には、即決裁判手続によることがあります。この手続では原則として起訴の日から早い時期に審理が行われ、その日のうちに判決が言い渡され、実刑を科すことができないという特徴があります。また、公判を開かずに書面審理で罰金を科す略式命令の制度もあります。令和6年に来日外国人について略式命令が請求されたのは836人でした(同白書)。いずれも適用できる事件の範囲が法律で限られていますので、希望すれば使えるというものではありません。弁護人が検察官と協議し、事件の性質に照らして選択の余地があるかを検討することになります。
否認して争う事件は、なぜ半年から1年を超えることがあるのか
事実を争う事件では、検察官が請求する証拠に弁護人が同意しないため、供述調書の代わりに証人尋問を行うことになります。証人が複数いれば、その人数分だけ期日が必要です。裁判所の期日はおおむね月に一回の間隔で入りますので、期日が四回、五回と重なれば、それだけで半年が過ぎます。争点や証拠の整理のために公判前整理手続に付されると、その手続だけで数か月を要し、審理の全体が1年を超えることも珍しくありません。長くなること自体は不利益ではなく、争うべき事件を十分に争うために必要な時間ですが、身柄が拘束されたままその時間を過ごすかどうかは、まったく別の重みを持ちます。
保釈が通るかどうかで、待つ場所が変わります
起訴された後は保釈を請求することができます(刑事訴訟法88条以下)。起訴前の保釈という制度はありませんので、勾留中のご家族から「今すぐ保釈を」と言われても、起訴を待つほかない場面があります。外国人の事件で保釈の可否を分けるのは、住居が定まっているか、身元引受人がいるか、旅券をどのように管理するか、逃亡すると考える事情がないか、といった点です。事実を争う事件では、罪証を隠滅するおそれが問題にされやすく、認める事件に比べて保釈は通りにくい傾向があります。ご家族の側で今日からできる準備は、賃貸借契約書や住民票で住居を明らかにする、日本に居住する親族や勤務先の上司から身元引受書を得る、保釈保証金の原資を国内の口座に用意しておく、旅券の所在を確認しておく、といったことです。中国から送金する場合は着金までに日数がかかりますので、判決の期日が決まってから動くのでは間に合わないことがあります。
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この記事を書いた弁護士
松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。
本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。
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