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知らなかったと言えば済むのか 受け子の故意を日本の裁判所はどう認定するか

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知らなかったと言えば済むのか 受け子の故意を日本の裁判所はどう認定するか

知らなかったと言えば済むのか 受け子の故意を日本の裁判所はどう認定するか

2026/09/01

荷物を受け取るだけ、書類を届けるだけ、日給が高いと聞いて応募した。特殊詐欺の受け子や出し子として逮捕された方が、最初に述べるのはほとんどこの説明です。中国語圏でも「日本 电信诈骗 被抓怎么处理」という相談が絶えません。日本の刑事裁判で問われるのは、詐欺だと確定的に知っていたかどうかではなく、犯罪に関わるかもしれないと思いながら引き受けたかどうかです。この記事では、裁判所が故意を認定するときに何を見るのか、争える場面はどこか、そして在留にどう響くのかを、中国籍の方とご家族に向けて整理します。

問われているのは未必の故意である

日本の刑法では、犯罪事実の確定的な認識がなくても、そうであるかもしれないと考え、それでもかまわないと受け入れて行動すれば故意があるとされます。これが未必の故意です。受け子の事案では、被害者に嘘をついたのは指示役であり、受け取りに行った人は嘘の内容を知らないことも多いのですが、それでも、正当な仕事ではないかもしれないと思いながら受け取りに行ったのであれば、詐欺の故意が認められ得ます。したがって、弁護活動の焦点は、詐欺だと知っていたかという問いではなく、その時点でどの程度の疑いを持っていたか、疑いを持つべき事情が現実に本人へ届いていたかに移ります。

裁判所が見る具体的な事情

実際の判断では、次のような事情が積み上げられます。報酬が労務の内容に比べて不相応に高いこと。仕事の内容が募集の段階から具体的に説明されていないこと。連絡が消去機能のあるアプリに限られ、相手の本名も所属も分からないこと。指示された服装や言い回しがあること。他人名義の身分証や封筒を渡されていること。受取先が個人宅で、現金や封筒をその場で確認しないよう指示されていること。一日に複数の場所を回らされていること。これらのうちいくつかが揃うと、本人が知らなかったと述べても、疑いを持たなかったこと自体が不自然だと評価されます。逆に、応募の経緯や指示の内容が正当な配送業務と区別しにくい形で始まっていた場合には、そこを丁寧に立証することで、故意の認定を争う余地が生まれます。

途中で気づいた場合はどうなるか

作業の途中で不審に思ったが、断れずに続けた。この経過は、被告人にとって不利にも有利にも働きます。最高裁判所平成29年12月11日決定は、警察が被害者と協力していわゆるだまされたふり作戦を行った後に加担した受け子についても、詐欺未遂の承継的共同正犯が成立するとしました。加担の時期が遅いという理由だけでは責任を免れません。他方で、いつ、どのような事情から疑いを持ったのかを具体的に説明できれば、それ以前の行為についての評価は変わり得ますし、離脱を試みた事情は量刑上の重要な資料になります。ここは記憶が薄れる前に弁護人へ伝えておくべき部分です。

取調べと通訳の現実

逮捕後、司法警察員は48時間以内に検察官へ送致し、検察官は24時間以内かつ逮捕から72時間以内に勾留を請求します。勾留は原則10日、延長でさらに10日まで続きます。この二十日ほどの間に作られる供述調書が、公判での主戦場になります。通訳を介した取調べでは、微妙な表現が単純化され、疑っていたという趣旨に読める調書ができあがることがあります。調書は署名して初めて証拠になりますから、内容に納得できなければ署名を留保し、訂正を求めてください。接見禁止が付いていても、弁護人との接見は制限されません(刑事訴訟法39条1項)。法務省の令和7年版犯罪白書によれば、令和6年の被告人通訳事件の通常第一審終局人員は4,649人で、通訳言語は41言語、中国語は726人で第二位でした。通訳が入る手続は例外ではなく、日常的に運用されています。

処分の見通しと在留への影響

同じ犯罪白書によれば、令和6年の来日外国人被疑事件のうち詐欺の起訴率は53.35%でした。全体の51.42%をやや上回ります。他方、来日外国人全体の起訴猶予率は48.35%で、約半数が起訴猶予により不起訴となっています。起訴前の段階で、関与の程度と被害弁償を示せるかどうかが結論を分けます。在留については、入管法24条4号リが無期又は1年を超える拘禁刑の実刑を退去強制事由としており、全部執行猶予は但書で除かれます。被害額が大きい詐欺は実刑になりやすく、この条項が現実に働く数少ない類型です。

ご家族が最初にすべきこと

募集の画面、やり取りの履歴、報酬の入金記録は、本人の関与の程度を示す資料です。本人の携帯電話が押収されていても、家族の端末や求人サイトの側に記録が残っていることがあります。並行して、被害弁償の原資、身元引受人になれる方、在留カードと旅券の所在、勤務先や学校への説明の時期を整理してください。差し入れは現金と衣類のほか、中国語の書籍が本人の負担を軽くします。

中文版:在日本做取款人说不知情,法院会采信吗

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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