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日本では起訴される前に保釈はありません。中国語圏で最も多い誤解を正す

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日本では起訴される前に保釈はありません。中国語圏で最も多い誤解を正す

日本では起訴される前に保釈はありません。中国語圏で最も多い誤解を正す

2026/09/01

ご家族が逮捕された直後、中国語圏のご相談で最も多いお尋ねが「保釈金はいくら払えば出られますか」です。ここには大きな誤解があります。日本には、起訴される前の段階で保証金を納めて身柄を解く制度がありません。保釈は、起訴された後に初めて請求できる制度です。この違いを知らないまま、逮捕から数日を「お金を用意する時間」に使ってしまうと、本来やるべきだった働きかけの機会を失います。この記事では、起訴前と起訴後で何が違うのか、起訴前に釈放される道はどこにあるのかを、時間の流れに沿って整理します。

結論。起訴前の保釈という制度は存在しません

日本の刑事訴訟法は、保釈の請求ができる時期を、公訴が提起された後としています(刑事訴訟法88条以下)。逮捕され、勾留されている段階、すなわちまだ起訴されていない段階では、いくら保証金を用意しても、それを理由に釈放を求めることはできません。ここが、捜査段階から取保候审という手続がある中国の制度と大きく異なる点です。中国語圏のご家族が「保釈金」を先に準備しようとされるのは、母国の制度を前提にした自然な発想ですが、日本ではその発想のまま動くと時間を失います。起訴前にやるべきことは、お金の準備ではなく、勾留そのものを争うこと、そして不起訴を目指すことです。

まず時間の流れを押さえてください

逮捕されると、司法警察員は48時間以内に検察官へ送致し、検察官は身柄を受け取ってから24時間以内、かつ逮捕の時から72時間以内に勾留を請求します。裁判官が勾留を認めると、原則として10日間、やむを得ない事由があるときはさらに10日まで延長され、合計で20日間となります。この20日ほどの間に、検察官は起訴するか、不起訴にするかを決めます。つまり、勝負はこの期間に決まります。起訴された後の保釈は、この勝負が終わった後の話です。順序を取り違えないでください。

それでも、起訴前に釈放される道はあります

保釈がないことと、出られないこととは違います。起訴前に身柄が解かれる場面は、実際にはいくつもあります。第一に、警察が身柄を送致せず、あるいは検察官が勾留を請求しない場合です。第二に、裁判官が勾留の請求を却下する場合です。第三に、勾留の決定に対して弁護人が準抗告を申し立て、これが認められる場合です。第四に、勾留の理由がなくなったとして取消しを求める場合や、事情により執行停止が認められる場合です。第五に、検察官が起訴しないと判断し、その時点で釈放される場合です。いずれも、保証金とは無関係で、弁護人がどれだけ早く動き、どのような資料を出せるかによって左右されます。

勾留を争うことの現実的な意味

統計を見ておきます。令和6年の検察統計(全国籍)によれば、逮捕後の措置の総数100,738件のうち、勾留の許可が91,358件、却下が4,154件でした。ここから計算すると、勾留請求に対する許可率は95.7%となります(これは公表数値から計算した値です)。国籍別の内訳は公表されていませんので、外国人が勾留されやすいかどうかを公的統計で示すことはできません。数字だけを見れば、勾留を争うのは容易ではありません。しかし、却下や準抗告の認容が現に年間数千件の規模で存在することも事実です。住居があること、身元を引き受ける人がいること、逃げる理由も証拠を隠す手段もないことを、資料の形で早期に示すことが、その数千件に入るための方法です。

本当の目標は、不起訴にすることです

起訴前の弁護活動で最も価値があるのは、起訴されない結論を得ることです。法務省『令和7年版犯罪白書』(対象年次は令和6年)によると、来日外国人被疑事件の終局処理18,696人のうち、起訴猶予は7,478人で、起訴猶予率は48.35%です。約半数が起訴猶予で終わっているという事実は、起訴前の段階でできることの大きさを示しています。他方、同じ統計で来日外国人の起訴率は44.28%であり、日本人を含む全体の40.38%より3.9ポイント高いことも押さえておく必要があります。被害弁償と示談、身元引受、再発防止の環境づくりを、勾留期間の中で組み立てていくことになります。

起訴された後に、初めて保釈の話になります

起訴されると、被告人という立場に変わり、そこで初めて保釈を請求できるようになります。保釈が認められれば、保証金を納めたうえで身柄が解かれ、自宅から裁判に通うことになります。ここでようやく、ご家族が用意された資金が意味を持ちます。ただし、保釈は請求すれば通るものではなく、除外事由と裁判所の判断が関わります。また、保釈中には制限住居や旅行の制限といった条件が付き、無断で日本を出ることはできません。この点は別の記事で詳しく扱います。

ご家族が今日できること

第一に、弁護人を選ぶことです。起訴前の20日ほどしかない期間に何ができるかは、動き出しの早さで決まります。第二に、住居と身元引受に関する資料を集めることです。賃貸借契約書、雇用契約書または在学証明、在留カードと旅券の所在、家族の連絡先が中心になります。第三に、被害のある事件では、被害弁償の原資を確保することです。第四に、本人が中国語しか話せない場合、通訳を確保することです。取調べの内容が正確に記録されているかどうかは、後の裁判で決定的な意味を持ちます。第五に、本人と連絡が取れない期間が続いても、慌てて金銭を第三者に渡さないことです。保釈をうたって金銭を求める話には、慎重に対応してください。

中文版:在日本被抓进去可以保释吗?起诉之前根本没有保释这项制度

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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