中国にいる家族は来日して面会できるか。短期滞在での来日と面会の準備
2026/09/01
ご家族が日本で逮捕されると、中国にいるご両親や配偶者から「今すぐ日本へ行って会いたい」というお申し出をいただきます。お気持ちは当然ですが、来日すれば会えるとは限りません。接見禁止が付いていれば、弁護人以外は会えないからです。渡航の費用と時間をかけて来日したのに、面会できずに帰ることになった例は少なくありません。この記事では、面会が制限される仕組み、その制限を解いてもらうための手当て、短期滞在での来日の準備、そして施設での面会の実際を説明します。
結論。面会はできますが、接見禁止が付いていると弁護人以外は会えません
勾留されている人には、原則として家族や知人が面会できます。しかし、裁判官が接見等禁止の決定をした場合、弁護人以外の者との面会と手紙のやり取りが禁止されます。共犯者がいる事件、否認している事件、関係者が国外にいる事件では、この決定が付くことが少なくありません。中国籍の方の事案では、関係者が中国にいることを理由に罪証隠滅のおそれが指摘されやすく、その結果として接見禁止が付きやすい傾向があります。参考までに、令和6年の来日外国人刑法犯の共犯事件率は41.1%で、日本人の12.5%の約3.3倍とされています(警察庁『令和6年における組織犯罪の情勢』)。共犯構造がある事件では、面会制限は現実的な問題として受け止める必要があります。一方、弁護人との接見は刑事訴訟法39条1項に基づくもので、接見禁止が付いていても制限されません。まず弁護人が会い、状況を家族に伝えるという流れが基本になります。
接見禁止の一部解除という手当てがあります
接見禁止が付いていても、あきらめる必要はありません。弁護人は、家族との面会に限って禁止を解いてほしいという申立てをすることができます。事件と無関係な家族であること、来日の目的が本人の生活基盤の確保にあること、面会内容が事件に及ばないことを具体的に示して求めます。特に、遠方から渡航してくる家族については、来日の日程が決まっていることが説得材料になります。したがって、渡航を計画する段階で弁護人に伝えていただくことが重要です。航空券を取ってから相談されると、間に合わないことがあります。全部が解除されなくても、一部の親族に限って認められることがあります。
短期滞在で来日するための準備
中国から来日するには査証が必要です。親族訪問の目的で短期滞在の査証を申請することになりますが、発給するかどうかは在外公館の判断であり、当事務所を含め誰も結果を保証できません。準備としては、渡航の目的と滞在期間、滞在中の宿泊先、費用の負担者、日本にいる親族との関係を示す資料を整えます。ここで注意していただきたいのは、入国審査で渡航目的を偽らないことです。刑事事件の関係で家族に会いに来たという事情は、それ自体が入国を拒まれる理由になるものではありません。しかし、虚偽の説明をすれば、その一事によって信用を失い、以後の入国にも影響します。正直に、簡潔に説明することが最も安全です。
施設での面会の実際
面会の場所は、起訴前は警察署の留置施設であることが多く、起訴後は拘置所に移ることが一般的です。まず、どの施設にいるのかを弁護人に確認してください。移送されていることがあります。面会は多くの施設で平日の日中に限られ、一回の時間は短く、一日に面会できる人数にも制限があります。写真撮影や録音はできません。持ち込めるものにも制限があり、差し入れは別の窓口で受け付けます。現金、衣類、書籍などを差し入れられますが、施設ごとに扱いが異なるため、事前の確認が必要です。中国から来日される場合、滞在日数が限られていますから、到着前に施設の所在地と受付時間を弁護人に確認しておくと、無駄がありません。
中国語で面会できるかどうか
これはよくいただくご質問です。面会には職員が立ち会い、内容が確認されます。日本語以外の言語で話す場合、施設によっては通訳人の立会いを求められたり、翻訳に要する費用の負担を求められたり、面会を認めない扱いがされることがあります。運用は施設ごとに異なりますので、事前に弁護人を通じて確認してください。実務上は、伝えたい内容を短く整理し、弁護人の接見を通じて正確に伝えるほうが確実である場合も多くあります。弁護人との接見には立会いがなく、時間の制約も比較的緩やかだからです。手紙も有効です。接見禁止が解除されている場合には、中国語の手紙が翻訳の上で届けられることがあります。
起訴後、判決後で扱いが変わります
接見禁止は起訴後も続くことがありますが、証拠調べが進むにつれて解除されることがあります。保釈が認められれば、当然ながら自由に会えます。実刑判決が確定して刑事施設に移った後は、面会は受刑者の処遇の枠組みの中で行われ、回数や相手方に制限があります。外国人の受刑者については、外国語による面会や信書の扱いについて別途の配慮がされる場合があります。いずれの段階でも共通するのは、施設と時期によって扱いが違うということです。「前に会えたから今回も会える」とは限りません。
来日せずにできること
渡航が難しい場合でも、できることはあります。弁護人を通じて手紙や写真を届けること、差し入れの費用を送ること、身元引受書や陳述書を作成して日本に送ることです。特に、保釈や在留手続の場面では、中国にいるご家族の陳述書が、本人の生活基盤と帰るべき場所を示す資料になります。また、本人が日本で仕事や学業を続けられるよう、勤務先や学校への対応をどうするかを、日本にいる親族や弁護人と分担して進めることもできます。会いに行けないことと、何もできないこととは違います。
中文版:国内的家属能来日本探视吗?短期签证与会见的准备该怎么做
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この記事を書いた弁護士
松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。
本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。
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