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本人の身柄拘束中に、銀行口座・家賃・携帯契約をご家族はどう守るか

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本人の身柄拘束中に、銀行口座・家賃・携帯契約をご家族はどう守るか

本人の身柄拘束中に、銀行口座・家賃・携帯契約をご家族はどう守るか

2026/09/01

身柄を拘束されると、本人の生活は止まりますが、契約は止まりません。家賃の引落しは続き、携帯電話の料金は請求され、公共料金は滞納になります。中国語圏のご家族からは「代わりに解約できますか」「口座からお金を出せますか」というご相談を頻繁にいただきます。日本では、本人の意思に基づく委任がなければ、家族であっても他人の契約に手を出せないのが原則です。この記事では、何を優先すべきか、委任状をどう作るか、そして先に手を出すと後で不利になる行為は何かを、具体的に整理します。

まず優先順位を決めます

限られた時間と手間をどこに割くかを最初に決めてください。実務上の優先順位は、第一に住居、第二に携帯電話番号、第三に銀行口座、第四にその他の契約です。住居を最優先にするのは、釈放後に帰る場所があることが、勾留に対する準抗告でも、起訴後の保釈でも、在留手続でも、最も重く見られる事実だからです。住居を失うと住居不定という評価を受けやすくなり、身柄の解放が遠のきます。携帯電話番号を二番目に置くのは、番号がそのまま本人確認と各種通知の受け口になっており、いったん解約すると同じ番号を回復できないことが多いからです。銀行口座は、引落しの継続と、後の被害弁償の原資という二つの意味で重要です。

委任状は、拘束されている本人からどう取るか

日本の手続では、家族であっても当然に代理権があるわけではなく、配偶者や親であっても本人名義の契約を動かすには委任状が要ります。本人が留置施設や拘置所にいる場合、委任状は弁護人が接見の際に持参し、内容を説明したうえで署名してもらい、持ち帰る方法が最も確実です。接見交通権は刑事訴訟法39条1項に定められており、接見禁止(同法81条)が付いている事案でも、弁護人との接見は制限されません。つまり、ご家族が会えない状況でも、弁護人を通じてであれば書類のやり取りができます。委任状には、何をどこまで任せるのかを具体的に書きます。銀行や携帯電話会社は、包括的な文言よりも対象を特定した記載を求める傾向があります。印鑑登録をしていない方が多いので、旅券や在留カードの写しを添えて署名で対応します。

家賃と賃貸借契約をどうするか

家賃の滞納が続けば、賃貸借契約は解除され、居室内の家財も処分の話になります。まずは、管理会社または家主に、支払を継続する意思があることを早く伝えます。事件の中身まで説明する必要はなく、事情により本人が長期に不在であること、支払は家族が行うことを伝えれば足りる場合が多くあります。次に、口座引落しが止まらないよう残高を維持します。第三者が代わりに支払うこと自体は実務上受け入れられることが多いのですが、契約名義の変更や解約には本人の意思が必要です。なお、身柄拘束中に部屋を引き払う判断は慎重にしてください。住居がなくなると保釈が遠のきますし、在留カードの住居地の届出の問題も生じます。引っ越した場合は14日以内に住居地を届け出る義務があり、この届出義務違反は在留資格の取消事由(入管法22条の4第6号)とされ、令和7年の取消し1,446件のうち69.1%がこの事由でした(出入国在留管理庁)。

銀行口座の扱いで注意すべきこと

口座については、二つの落とし穴があります。第一に、本人のキャッシュカードと暗証番号を家族が預かって出金することは、事実上できてしまいますが、金融機関との関係では本人以外の使用が禁止されているのが通常であり、後日トラブルの原因になります。事件が財産犯に関わる場合は、なおさら避けるべきです。第二に、事件の内容によっては、金融機関の側が取引を制限することがあります。特に、詐欺や資金の受渡しに関連して口座が用いられたと疑われる場合、入出金が止まることがあります。この場合、家族が窓口で交渉しても解決しないことが多く、弁護人を通じた対応が必要です。安全なのは、家賃や公共料金の支払を家族名義の口座から行い、本人名義の口座に手を触れない整理です。

携帯電話とその他の契約

携帯電話は、料金を払い続ければ回線は維持されます。滞納で強制解約になると番号は失われ、その番号に紐づいた各種のサービス、二段階認証、勤務先や学校からの連絡がすべて途切れます。したがって、支払を止めないことが第一です。このほか、保険料や各種の会費といった小口の引落しは、優先度を下げて構いません。ただし、自動車を所有している場合の駐車場代と保険は、放置すると金額が大きくなるため、早めに整理を検討します。

やってはいけないこと

いくつか、はっきりと避けるべき行為があります。第一に、本人名義のクレジットカードを家族が使うことです。第二に、部屋の物を無断で持ち出し、処分することです。捜査機関が後に捜索や差押えを行う可能性があり、証拠隠滅を疑われる原因になります。第三に、被害者や事件関係者に弁護人を通さず直接連絡することです。示談を急ぐ気持ちは理解できますが、直接の接触は罪証隠滅のおそれがあると評価され、保釈の判断に響きます。第四に、旅券や在留カードを勝手に持ち出すことです。多くの場合は警察が領置しており、所在は弁護人を通じて確認できます。

ご家族が今日できること

今日のうちに、次の五つを進めてください。第一に、引落しがかかっている契約の一覧を作ることです。何がいくら引き落とされるのかが分かれば、残高をどれだけ維持すべきかが見えます。第二に、賃貸借契約書、雇用契約書、学生証、健康保険証の写しを集めることです。これらは身柄の解放を求める場面でも、入管の手続でも使います。第三に、弁護人に委任状の作成を依頼することです。第四に、本人宛ての郵便物を確保することです。督促や行政からの通知を見落とすと、後から手当てが難しくなります。第五に、被害弁償が必要な事件では、その原資をどこから出すかを早めに決めることです。来日外国人被疑事件の起訴猶予率は48.35%(法務省『令和7年版犯罪白書』、対象年次は令和6年)であり、起訴前の段階で示談ができるかどうかは、結論を大きく左右します。

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中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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