家族が日本で逮捕されたと知った日にすべき五つのこと
2026/09/01
ご家族が日本で逮捕されたと知った日、多くの方は何から手を付けてよいか分からず、一日を電話と検索に費やしてしまいます。しかし、その日のうちにやっておくと後で大きく効いてくる作業がいくつかあります。逆に、良かれと思ってやった行動が、後に証拠隠滅と評価されて本人の不利になることもあります。この記事では、逮捕を知った当日にすべき五つのことと、避けるべき行動を整理します。
その日のうちにする五つのこと
順番も含めて先に挙げておきます。
- 在留カードと旅券がどこにあるかを確認する
- 住居の家賃と携帯電話の契約を止めない
- 身元引受人になれる方を決める
- 勤務先や学校への説明の時期と内容を決める
- 弁護人に渡す情報を紙に書き出す
いずれも特別な知識は要りません。しかし、この五つが整っているかどうかで、弁護人が動ける速度がまったく変わります。
在留カードと旅券の所在を確認する
中長期在留の方は在留カードの携帯が求められていますので、逮捕時に本人が持っていることが多く、押収されている場合があります。旅券は自宅に置いてあることも、勤務先が預かっていることもあります。どちらも、後の入管手続や、更新・変更の申請、さらには帰国の際にも欠かせない書類です。所在が分からないまま数か月が過ぎると、再発行の手続だけで時間を失います。当日のうちに、自宅のどこにあるか、誰が預かっているかを確認し、写真を撮って保管してください。在留資格の種類と在留期間の満了日は、この日のうちに書き留めておきます。刑事の手続が長引く間に在留期間が満了し、それ自体が新たな問題になることがあるからです。
住居と携帯電話を維持する
家賃の支払いが止まって部屋を明け渡すことになると、住居がないという事実は、勾留を続ける必要があるという方向の材料として扱われかねません。携帯電話の契約も、解約してしまうと本人の生活基盤が失われたと評価されえます。費用の負担が重い場合でも、少なくとも処分が決まるまでは維持を検討してください。日本国内に住居があり、そこに戻れる状態が保たれていることは、勾留の必要性を争う場面でも、起訴された後に保釈を請求する場面でも、重要な事情になります。
身元引受人を決める
身元引受人は、本人の生活を監督し、出頭を確保する役割を担う方です。日本国内に居住していることが望ましく、親族、配偶者、勤務先の上司、同郷の知人などが候補になります。身元引受書には、本人との関係、居住地、職業、本人をどのように監督するかを書きます。中国にお住まいのご家族が身元引受人になることもありますが、その場合は、日本国内で日常的に本人と接する方を併せて確保しておくと、説得力が増します。
勤務先・学校への説明のタイミング
これは判断が難しい問題です。無断欠勤や無断欠席が続けば、いずれ解雇や除籍の話が出てきます。就労資格をお持ちの方であれば、退職は在留資格そのものに影響しますし、留学の方であれば、除籍は在留の基礎を失うことを意味します。他方で、事実関係が固まっていない段階で詳細を伝えると、必要以上に不利な扱いを受けることもあります。実務的には、まず弁護人に接見してもらって事案の見通しを聞き、そのうえで、いつ誰に何を伝えるかを決めるのが安全です。急いで伝えないこと自体が問題になるわけではありませんが、放置して連絡が途絶えるのは最も避けたい形です。
証拠隠滅と誤解される行為を避ける
ご家族が最もやってしまいがちで、最も危険なのがこれです。本人の部屋を片付けて物を捨てる、本人の携帯電話やパソコンを操作する、関係者に電話をかけて事情を尋ねる、SNSのやり取りを削除する、共犯とされている人と口裏を合わせる。いずれも、後から見れば証拠隠滅や口裏合わせと評価されうる行為で、本人の勾留が長引く原因にも、処分が重くなる原因にもなります。事件のことを本人に伝言することも同じです。何が問題になっているのかが分からない段階では、動かさない、消さない、連絡しないことが原則です。心配なことがあれば、まず弁護人に相談してください。
弁護人に渡す情報を紙に書き出す
最後に、弁護人へ渡す情報を整理します。氏名の漢字とローマ字表記、生年月日、国籍、旅券番号、在留資格の種類と満了日、日本での住所、勤務先または学校、日本国内で連絡が取れる方の氏名と電話番号、最後に本人と連絡が取れた日時と内容、そして本人の持病と服用中の薬。この程度で足ります。これを用意しておけば、初回のご相談でその日のうちに接見の準備に入ることができます。ご相談は、ご本人が身柄を拘束されている状態であれば、ご家族からのご連絡で承っています。
中国語対応の刑事弁護のご相談
舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。
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この記事を書いた弁護士
松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。
本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。
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