外国免許からの切替えで取った免許と、無免許運転の関係を整理する
2026/09/01
日本で車を運転している中国籍の方の中には、本国の免許を日本の免許に切り替えて取得された方が多くいらっしゃいます。いわゆる外免切替です。産経ニュースが報じた埼玉県三郷市の事案では、児童の列に車で衝突して救護せずに立ち去ったとして起訴された中国籍の男性の免許について、外国免許からの切替えによる取得であったと報じられました。同じ男性は、執行猶予の期間中である2026年6月3日に、同じ車を無免許で運転したとして現行犯逮捕され、同月24日に起訴されたとも報じられています。有罪が確定したものではなく、無罪推定が及びます。この記事では、切替えで取った免許の効力、無免許と呼ばれる状態の違い、そして自分が運転してよい状態かを確かめる方法を説明します。
切替えで取った免許も、効力は日本の免許そのものです
外国免許からの切替えは、本国で取得した免許を前提に、日本の免許を交付する手続です。手続の入口が異なるだけで、交付された後の免許は、日本で試験を受けて取得した免許とまったく同じ効力を持ちます。裏を返せば、更新をしなければ失効しますし、違反の点数が積み重なれば停止や取消しの処分を受けます。「本国の免許があるのだから運転できるはずだ」という理解は、この点で誤りです。切替えによって日本の免許が交付された後は、日本の免許の規律に従うことになり、その免許が効力を失えば、本国の免許が有効であっても日本国内で運転することはできません。なお、切替えの要件は近年、見直しが続いています。滞在の実績や知識・技能の確認の運用は変わり得ますので、これから切替えを検討される方は、住所地を管轄する運転免許試験場や運転免許センターで、最新の取扱いを確認してください。
「無免許」と呼ばれる状態には、種類があります
無免許運転として立件される場面は、実際には四つに分かれます。第一は、そもそも日本の免許を取得していない場合です。第二は、更新を怠って有効期限を過ぎた場合、つまり失効です。第三は、違反や事故によって免許を取り消された場合です。第四は、停止処分の期間中に運転した場合です。この四つは、法律上の扱いは同じ無免許運転でも、経緯がまったく異なります。とりわけ問題になりやすいのが第二の失効です。更新の通知は住民登録上の住所に届きますから、引っ越して住所変更の届出をしていないと、通知が届かないまま期限が過ぎることがあります。在留カードの住所変更の届出をしたからといって、免許の住所変更が自動的にされるわけではありません。また、故意についても、四つの状態で争い方が変わります。取消しの処分を受けたことを知らなかったという主張は、処分の通知が本人に届いていたかどうかで結論が分かれます。
翻訳文や国際運転免許証は、日本の免許とは別の制度です
短期の滞在で運転する場合には、国際運転免許証を用いる方法と、一定の国・地域の免許について、権限のある機関が作成した日本語の翻訳文を携帯して運転する方法があります。これらは、日本の免許を取得する制度ではなく、外国の免許の効力を一定の条件で認める仕組みです。したがって、有効期間や運転できる期間には制約があり、日本に住所を移して継続的に運転する方には適しません。ここで注意が必要なのは、この制度を悪用した摘発が現に起きていることです。2025年9月26日の朝日新聞および読売新聞の報道によると、偽造した台湾の免許証を使って翻訳文の作成をオンラインで申し込んだとして、中国籍の男女2人が私電磁的記録不正作出・同供用の疑いで警視庁交通捜査課に摘発されました。報道によれば、うち1人は日本国内でレンタカーを運転していたとみられ、本人は「偽造とは思わなかった」と否認しています。この事案も有罪が確定したものではなく、無罪推定が及びます。翻訳文の制度は、正規の手続を踏めば適法に使える仕組みですが、書類の出所が不明なまま利用すると、無免許運転にとどまらない罪名に発展します。
有効期限の管理と、書き換えの落とし穴
免許証の有効期限は、自分で管理するほかありません。2026年6月17日のUHB北海道文化放送の報道によると、北海道釧路市で観光中にレンタカーで物損事故を起こし、自ら届け出た中国籍の男性(26)について、提出した日本の運転免許証の有効期限が改ざんされていたことが判明し、約4か月後に無免許運転の疑いで逮捕されたと伝えられています。本人は「私は運転していません」と否認しており、有罪が確定したものではありません。この事案が示しているのは、事故の届出という正しい行動をとった場面でも、免許証の記載は確認されるということです。期限が切れていることに気づいたときに、書き換えるという発想を持ってしまえば、無免許運転に加えて文書に関する罪が重なります。期限が切れていた場合の正しい対処は、運転を止めたうえで、失効後の手続について運転免許センターに相談することです。
運転してよい状態かを、自分で確かめる方法と、在留への影響
確かめる方法は三つあります。第一に、免許証の有効期限の欄と、条件欄の記載を読むことです。第二に、住所地を管轄する警察署または運転免許センターで、免許の有効性と処分歴を照会することです。第三に、引っ越しをした場合には、在留カードの住所変更とは別に、免許の住所変更を届け出ることです。この三つを済ませておけば、失効や処分の見落としによる無免許運転は、ほぼ避けられます。在留資格との関係では、無免許運転それ自体で直ちに退去強制となるわけではありません。問題になるのは、無期または1年を超える拘禁刑の実刑(全部執行猶予は除かれます)を受けた場合の退去強制事由(入管法24条4号リ)です。ただし、冒頭の事案のように執行猶予の期間中に無免許運転を重ねた場合には、刑法26条により前の執行猶予が取り消され、猶予されていた刑が現実に執行される状態になり得ます。その結果として1年を超える実刑に服することになれば、退去強制の問題が現実化します。
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この記事を書いた弁護士
松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。
本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。
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