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「偽物と知らなかった」と否認する。薬機法は示談が効きにくい

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「偽物と知らなかった」と否認する。薬機法は示談が効きにくい

「偽物と知らなかった」と否認する。薬機法は示談が効きにくい

2026/09/01

模造品の販売で逮捕された方が最初に述べる言葉として多いのが、「偽物だとは知らなかった」というものです。この弁解は、法律上は正面から意味を持ちます。しかし、自宅から大量の在庫が押収されている場合、その主張は思うようには通りません。しかも、化粧品や医薬品の分野は、被害者との示談によって解決を図りにくい類型です。この記事では、実際に報じられた事案をもとに、否認をどう組み立てるか、示談が効きにくい事件で何をすべきかを説明します。

報じられた事件の概要

2022年11月16日の読売新聞の報道によれば、大阪府警は、埼玉県戸田市に住む中国籍の無職の女性(31歳)を、商標法違反と医薬品医療機器等法違反の疑いで逮捕したと伝えられました。報道された内容は、美容液の模造品5本を5400円で販売したというもので、自宅からは約1600本が押収されたとされています。本人は「偽物と知らなかった」と否認していると報じられました。これは逮捕段階の報道であり、起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。以下は、この事件の当否を論じるものではなく、同種の構造を持つ事件一般についての解説です。

「知らなかった」は法律上どういう意味を持つか

模造品を扱う罪は、故意犯です。すなわち、扱っている物が偽物であるという認識がなければ、犯罪は成立しません。ですから、「知らなかった」という主張は、単なる言い訳ではなく、犯罪の成立そのものを否定する主張です。ただし注意が必要なのは、確定的に知っていた場合だけでなく、偽物かもしれないと思いながらそれでも構わないと考えて売った場合にも、故意が認められるという点です。実務では、この「かもしれないと思っていた」水準の認識をめぐって争いになります。仕入先の説明を鵜呑みにしていたのか、疑いを持ちながら確認を避けていたのか。この違いが結論を分けます。

1600本という在庫が意味するもの

捜索で押収された在庫の数量は、単に規模を示すだけではありません。それ自体が、知っていたかどうかを推認させる間接事実として使われます。すなわち、個人が使う量をはるかに超える数を一度に仕入れていること、仕入単価が正規流通の価格から著しくかけ離れていること、正規代理店以外から輸入していること、外装や封の様子が正規品と異なること。これらが積み重なると、疑いを持たなかったはずがない、という評価に傾きます。したがって否認を維持するのであれば、仕入先とのやりとり、価格の交渉経過、真贋についてどのような説明を受けたのかを、具体的に示す必要があります。単に知らなかったと繰り返す供述だけでは、在庫の数量に対抗できません。

示談が効きにくい類型で何をするか

窃盗や傷害であれば、被害者への謝罪と弁償が処分を大きく動かします。しかし薬機法違反は、社会全体の健康と安全を守る規制であり、被害を回復すべき相手が個人として存在しません。商標法違反についても、権利者は企業であり、示談に応じない方針を取ることが少なくありません。そのため、この類型では次のような活動を積み重ねることになります。押収されなかった在庫を含めた完全な廃棄と、その証跡の作成。販売に使ったアカウントの閉鎖と出品履歴の保存。売上相当額の返還または贖罪寄付の検討。仕入先との関係の遮断。家族や勤務先による監督体制の書面化。いずれも地味ですが、被害者不在の事件では、こうした事情の積み上げが処分と量刑を動かします。

在留資格への影響と、報道から資格が分からない場合の考え方

報道では無職とだけ伝えられており、在留資格は分かりません。ここは正直に場合分けをするほかありません。永住者や日本人の配偶者等、定住者といった別表第二の在留資格であれば、入管法24条4号の2の特定犯罪の適用対象からは外れます。他方、家族滞在や留学などの別表第一であれば、資格に応じた活動を行っていないとして在留資格の取消しが問題になり得ます。いずれの資格であっても、1年を超える拘禁刑の実刑となれば入管法24条4号リに該当し、退去強制手続に進みます。逆に言えば、罰金または執行猶予にとどめられるかどうかが、そのまま在留の分かれ目になります。刑事弁護と入管の見通しを切り離して考えないでください。

ご家族が今すぐ準備できること

第一に、仕入先とのやりとりを保全してください。否認事件では、これが唯一の反証手段になることがあります。第二に、自宅に残った同種の物品を勝手に処分しないでください。廃棄は弁護人と相談し、記録を残したうえで行う必要があります。無断で捨てると証拠隠滅と評価されます。第三に、押収品目録交付書と逮捕状の罪名を確認し、商標法違反だけなのか薬機法違反も含むのかを把握してください。罪名が二つあることは、見通しに大きく影響します。第四に、収入や返還の原資、身元引受人の候補を整理しておいてください。勾留は長くて20日、その後に起訴されるかどうかが決まります。準備できる時間は限られています。

中文版:否认“不知道是假货”,药机法案件难以靠和解解决

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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