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「指示役とみられる」と報じられた人は、どこから反論を組み立てるのか

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「指示役とみられる」と報じられた人は、どこから反論を組み立てるのか

「指示役とみられる」と報じられた人は、どこから反論を組み立てるのか

2026/09/01

報道で「指示役とみられる」と書かれた瞬間、事件の見え方は一変します。同じグループで摘発されても、指示役と評価されるかどうかで、勾留の長さも、起訴されるかどうかも、求刑も、そして在留の帰趨も大きく変わります。ところが、この評価は判決で確定したものではなく、捜査の初期段階における捜査機関の見立てにすぎません。この記事では、中国籍の方とそのご家族に向けて、「指示役とみられる」と報じられた場合に、どこから反論を組み立てるのかを、通信記録、報酬の流れ、上位者の存在という三つの視点から説明します。

どのような事件で、この評価が付くのか

山形テレビが2026年6月29日に報じた事件では、フィッシングメールなどで入手したIDとパスワードを使い、他人の名義でインターネット通販にログインしてタブレット端末などを注文し、商品をだまし取ったとして、中国籍の40代の女性を含む計4人が不正アクセス禁止法違反と窃盗の疑いで逮捕され、山形地方検察庁に送致されたと報じられています。報道では、この女性が指示役とみられるとされ、東京都内のビルの一室が商品の集積と発送の拠点になっていて、商品は中国へ送られていたとされています。起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。

「とみられる」は誰の判断なのか

この表現は、捜査機関の説明を報道機関が受けて書いたものです。裁判所の判断でも、検察官の最終的な処分でもありません。捜査の初期には、押収された端末のうち最も多くの連絡を集約していた人、日本国内で最も上位に見える人、あるいは最初に自白した人が、暫定的に上位者として位置付けられることがあります。警察庁の令和6年における組織犯罪の情勢によれば、特殊詐欺の検挙人員2320人のうち、中枢被疑者として検挙されたのは58人(2・5%)にとどまります。犯罪類型は異なりますが、捜査が本当の上位者に到達することの難しさを示す数字であり、日本国内で確保された者に上位者の役割が寄せられやすい構造は共通しています。

通信記録は、量ではなく方向を読む

弁護人が最初に精査するのは、通信記録の量ではなく方向です。誰が誰に最初に連絡したのか。命令形の文が並んでいるのか、それとも報告と確認の文が並んでいるのか。グループの管理者権限を持っていたのは誰か。参加者を追加・削除できたのは誰か。作業の単価や手順を決めたのは誰か。決められた手順に従っていただけの人は、たとえ連絡量が多くても、それは中継役であって決定者ではありません。逆に、本人が上位者から受けていた指示が端末に残っていれば、それ自体が役割を下げる最良の証拠になります。削除された履歴の復元、クラウド上の同期データ、送金指図の残る決済アプリの記録まで、対象は端末の中だけではありません。

報酬は、上から下へ流れているか

役割の評価は、お金の向きで裏付けるのが最も説得的です。上位者であれば、利益が集まり、そこから配分が出ていくはずです。逆に、固定額の報酬を受け取っているだけであれば、売上規模と本人の受領額が著しく乖離します。取引履歴、暗号資産の送受信、現金の授受のメモ、家賃や通信費を誰が負担していたかまで含めて、資金の全体像を組み立てます。転売代金の回収先が本人の管理下になければ、その事実は指示役という評価に対する強い反証になります。

共犯者の供述は、そのまま前提にしない

この類型で指示役の認定を支えるのは、多くの場合、他の被疑者の供述です。しかし、共犯者供述には、自分の役割を軽くするために他人を上に押し上げる動機が構造的に伴います。取調べの日付ごとに供述がどう変わったか、変わった時期に何があったか、他の証拠と符合しない細部はどこかを、供述調書の作成順に並べて検証します。日本語や中国語の通訳を介した取調べでは、通訳の精度そのものが争点になることもあります。

役割の評価は在留にも直結する

指示役と評価されれば実刑の可能性が高まり、実刑となれば、入管法24条4号の、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由とする定めが視野に入ります。全部執行猶予が付けばこの定めからは除かれますから、役割の評価を下げる主張は、そのまま在留を守る主張でもあります。ご家族には、まず本人が上位者から受け取っていた連絡の保全、報酬の受領記録の整理、そして在留カードと旅券の所在確認をお願いします。加えて、身元引受人になれる方の氏名と連絡先、住居の確保状況を書き出しておくと、勾留に対する準抗告や保釈請求の際にそのまま使えます。

中文版:被报道为疑似指挥角色的人,从哪里开始反驳

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舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

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この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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