舟渡国際法律事務所

認否が公表されていない段階で、弁護人とご家族に何ができるのか

お問い合わせはこちら

認否が公表されていない段階で、弁護人とご家族に何ができるのか

認否が公表されていない段階で、弁護人とご家族に何ができるのか

2026/08/31

逮捕の報道に「認否は明らかにしていない」と書かれていることがあります。ご家族から見ると、本人が何を言っているのかも分からず、面会もできず、時間だけが過ぎていく最も不安な時期です。しかし、この段階は弁護活動の密度が最も高い時期でもあります。この記事では、貨物に偽装して麻薬を持ち込もうとしたとされる報道事例を素材に、認否が固まっていない段階で弁護人が何をするのか、ご家族に伝えられることと伝えられないことの境目はどこかを説明します。

報道された事例 カタログに偽装したコカインの輸入

読売新聞の報道(2026年3月19日)によれば、中国国籍の40代の女性が、コロンビアからオランダを経由して、宝石のカタログに偽装した形で麻薬を持ち込もうとしたとして、麻薬及び向精神薬取締法違反(営利目的共同輸入)の疑いで逮捕されたと報じられています。認否は公表されていません。起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。空港の税関検査で発見された類型であること、共同での輸入とされていること、偽装の態様が具体的であることが、この事案の輪郭です。

接見で最初に確認すべきこと

弁護人が最初の接見で確認するのは、供述の内容そのものよりも、その前提です。逮捕状に書かれた被疑事実がどう読み上げられたか、通訳は誰が付いたか、取調べで何を聞かれ、どう答えたか、調書に署名したか、指印したか。署名した調書があるかどうかで、その後の方針はまったく変わります。次に、依頼の経緯、報酬の有無、渡航費用を誰が負担したか、荷物を渡された場所と相手、指示の受け方を確認します。ここで無理に結論を出す必要はありません。事実の骨格を集めることが先です。

押収品の内容をどう把握するか

営利目的共同輸入では、押収された物の種類、重量、純度、梱包の態様が、量刑の枠組みそのものを決めます。捜査段階で弁護人が確認できる情報には限りがありますが、逮捕状や勾留状の記載、検察官との協議、鑑定の進捗の照会を通じて、輪郭を把握していきます。とりわけ、鑑定が済んでいるのか、暫定的な予試験の結果にとどまるのかは重要です。予試験と本鑑定で結論が変わる可能性は常にありますので、鑑定書の内容と鑑定方法の開示を求め、必要があれば再鑑定を検討します。

取調べにどう向き合うか

本人が中身を知らなかったと考えている場合でも、取調べで断片的に語ることには危険が伴います。「重いとは思った」「頼まれ方が不自然だとは感じた」といった発言が、未必の故意を認めた供述として扱われることがあるためです。通訳を介した取調べでは、微妙な表現ほど訳出の段階でずれが生じます。調書は読み聞かせを受けたうえで署名しますが、内容に納得できなければ署名を拒むことができます。これらの権利は、弁護人が接見で具体的に説明しない限り、実際には行使されないことが多いのが実情です。

ご家族に伝えられることの限界

弁護人は本人の代理人であり、本人の秘密を守る義務を負います。したがって、本人が家族に伝えないでほしいと述べた事項は、ご家族にもお伝えできません。ご家族にとってはもどかしい制約ですが、この線があるからこそ、本人が弁護人に率直に話せます。もっとも、手続の進行、勾留の期限、起訴か不起訴かの判断時期、面会や差し入れの可否、必要な書類の準備といった事項は、本人の意向を確認したうえでお伝えできます。接見禁止が付いている場合でも、弁護人との接見は制限されません。

接見禁止への対応

共犯者がいるとされる事案では、勾留に接見禁止が付くのが通例です。ご家族が面会できず、手紙のやり取りもできない状態が続きます。これに対しては、接見禁止の一部解除を求める申立てを行い、家族との面会や書類の授受だけでも認めてもらう方法があります。認められるかどうかは事案によりますが、申し立てなければ状況は動きません。また、勾留そのものに対しては準抗告という不服申立ての手段があり、住居が定まっていること、身元を引き受ける人がいることを具体的に示すことが求められます。

在留資格の見通しを同時に立てる

麻薬及び向精神薬取締法違反による有罪は、入管法24条4号チの退去強制事由に当たり、刑の重さも在留資格の種類も問いません。この事由に該当すると、自ら出国して短期間で再入国するという道は事実上閉ざされ、上陸拒否も期間の定めのない扱いになります。他方で、不起訴となれば有罪判決は存在しません。短期滞在で来日していた方の場合、身柄を釈放された後の在留の扱いも問題になりますので、刑事と入管の双方を見通した方針が必要です。

ご家族が今日できる具体的な準備

本人の旅券と在留カード、航空券の予約記録、渡航の目的を示す資料、日本での滞在先の情報、荷物を託された経緯を示すやり取りの記録を、まとめて保存してください。中国のご家族には、面会が制限される期間があること、起訴前は保釈の制度がないこと、判断までに三週間程度かかることをお伝えしておくと、無用な混乱を避けられます。そして、報道を見た知人に事情を説明する必要が生じたときは、確定していない事実を断定的に語らないことが、本人を守ることにつながります。

中文版:认罪与否尚未公开的阶段,律师与家属能做什么

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


東京にて中国人の方をサポート

東京を中心に刑事事件の弁護

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。