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闇バイトの金銭トラブルから監禁事件へ 6人が逮捕された事案にみる弁護の争点

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闇バイトの金銭トラブルから監禁事件へ 6人が逮捕された事案にみる弁護の争点

闇バイトの金銭トラブルから監禁事件へ 6人が逮捕された事案にみる弁護の争点

2026/08/31

日本で働く中国籍の方が、いわゆる闇バイトをきっかけとした金銭トラブルに巻き込まれ、監禁の疑いで逮捕される事案が報じられています。逮捕された人数が多い事件では、ご家族は「見張りをしていただけだと言っている」「貸した金を返してもらうために呼び出しただけらしい」という説明を受けたまま、何がどこまで罪になるのか分からずに時間だけが過ぎていきます。この記事では、報じられた事案を手がかりに、監禁という犯罪がどこから始まりどこで終わるのか、複数人が関与したときに責任がどう切り分けられるのか、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題までを整理します。

報じられた事案の概要

2024年11月28日の時事通信の報道によれば、闇バイトをめぐる金銭トラブルから、中国籍の男女6人が監禁の疑いで逮捕されたと報じられています。起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。報道は事件の概略にとどまり、6人それぞれがどのような立場で関与したのか、拘束がどれだけの時間続いたのかまでは明らかにされていません。以下は、この事件そのものの評価ではなく、同じ構造をもつ類型で弁護人が何を争うのかという一般的な解説です。報道されていない事実を推測して書くことはしません。

監禁は、鍵をかけたときだけ成立するのではない

監禁とは、人が一定の場所から出ることを著しく困難にする行為をいいます。法定刑は3月以上7年以下の拘禁刑とされ、罰金刑が定められていません。罰金で終わる余地がなく、有罪であれば実刑か執行猶予付きの拘禁刑かという二択になる点は、外国人にとって決定的です。

成立する範囲は広く、部屋に施錠した場合に限られません。車に乗せて走り続ける、複数人で出口をふさぐ、旅券や在留カードを預かったまま返さない、帰ろうとするたびに威圧する、といった心理的な圧力によるものも含まれ得ます。金銭トラブルの場では「話が終わるまで帰さない」という状況が自然にできあがり、その場にいた者に拘束しているという自覚がないまま構成要件を満たしていることが少なくありません。

監禁はいつ始まり、いつ終わったのか

監禁は状態が続くかぎり成立し続ける犯罪であり、始まりと終わりの認定が結論を大きく動かします。始期については、当初は相手が自分の意思で来ていた場合でも、どの時点から退去の自由が失われたのかが問われます。この幅が短いほど量刑は軽くなります。

実務では、防犯カメラの映像、携帯電話の位置情報、通信アプリの履歴、相手が単独で外に出た事実の有無、相手が第三者と自由に連絡を取れていたかどうかを積み上げて、時間軸を組み直します。相手方の供述だけで「朝から晩まで閉じ込められていた」とされている場合でも、客観的な記録と食い違えば、認定される時間は大きく縮まります。防犯カメラの映像は短期間で上書きされるため、弁護人が早期に選任され、保全を申し入れることに実際的な意味があります。

6人のうち、自分は何をしたのか

複数人が逮捕された事件で最も重要なのは、共謀の範囲の切り分けです。呼び出した人、場所を用意した人、送迎した人、居合わせただけの人、金銭を受け取った人では、責任の重さが異なります。

争点は大きく二つです。第1に、相手を帰さないという点について事前の意思の連絡があったのか。金銭の回収を頼まれただけで、そこまで話し合っていなかったのであれば、共謀の成立自体を争う余地があります。第2に、途中から加わった人の責任です。最高裁は、だまされたふり作戦が開始された後に受け子として加担した者にも詐欺未遂の承継的共同正犯が成立するとしました(最決平成29年12月11日)。もっとも、状態が続く犯罪では、加担した時点より前の時間まで当然に責任を負うわけではありません。取調べで「みんなでやりました」と包括的に認めると、この切り分けは失われます。通訳を介した取調べでは役割の違いが調書の日本語で平板になりやすく、署名前に読み上げてもらうことが欠かせません。

有罪になったとき、在留資格はどうなるか

監禁は、薬物事犯のように有罪判決だけで退去強制事由となる出入国管理及び難民認定法(入管法)24条4号チには当たりません。別表第一の在留資格者に限って適用される同条4号の2の特定犯罪(危険運転致死傷、盗難特定金属製物品処分防止法22条)にも含まれません。したがって問題になるのは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた場合の同条4号リですが、全部執行猶予が付いたときは但書により除外されます。刑事事件になれば当然に送還されるという理解は、正確ではありません。

出入国管理統計(令和7年)では、4号リ単独による退去強制令書の発付は全国で41人、うち中国籍は11人です。不法残留との並立を含めても中国籍は47人で、中国籍の発付総数686人の約6・9%にとどまります。もっとも、この比率はベトナム籍の約2・3%の3倍近くであり、実刑の影響は小さくありません。執行猶予で在留が続く場合でも、次の更新や変更の審査では素行が評価されます。身柄拘束が長引いて退職に至ると、在留資格に応じた活動を継続して3か月以上行っていないことを理由とする在留資格の取消し(入管法22条の4第5号)が別に問題になります。

ご家族が今日できること

まず、本人の在留カードと旅券の所在を確認してください。捜査機関が押収していることも、自宅や勤務先に残っていることもあります。次に、身元引受人になれる方を決め、住居と就労先が維持される見込みを書面にできるよう準備します。差し入れは現金、下着、書籍が中心ですが、留置施設ごとに扱いが異なります。

被害弁償の原資をどこまで用意できるかも、早い段階で話し合うべきことです。勤務先や学校への説明は、事実関係が固まらないうちに範囲を広げると不利益が大きいため、時期を弁護人と相談してください。接見には中国語の通訳が付くことが望ましく、取調べで何を聞かれ本人がどう答えたのかを正確に把握することが、その後の判断の出発点になります。

中文版:因黑兼职钱款纠纷演变成非法拘禁案件 从6人被捕的案件看辩护要点

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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