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観光地でのスリの現行犯。認めた人と否認した人で処分が分かれる理由

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観光地でのスリの現行犯。認めた人と否認した人で処分が分かれる理由

観光地でのスリの現行犯。認めた人と否認した人で処分が分かれる理由

2026/08/31

観光地で、二人組の一方が事実を認め、もう一方が否認する。共犯とされる事件では珍しくない構図です。実際に、東京の著名な寺院の周辺で観光客の荷物から財布を抜き取ったとして中国籍の男女2人が現行犯逮捕され、女性は認め、男性は否認していると報じられました。この記事では、張り込み捜査による現認がどれほどの重みを持つのか、共犯者の一方が認めた場合に立証構造がどう変わるのか、そして否認を選ぶ判断の分かれ目を説明します。

報道された事実

中国のポータルサイト网易が日本の報道を引用して2026年5月11日に伝えたところによれば、東京都台東区の著名な寺院の周辺で、観光客のリュックサックから現金約1万円が入った財布を抜き取ったとして、中国籍の男女2人が現行犯逮捕されました。捜査員が事前に張り込みをしていたと伝えられ、女性は容疑を認め、男性は否認していると報じられています。起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。以下は、この構図から一般化できる実務の話です。

張り込みによる現認は、どこまで強い証拠か

捜査員が犯行の瞬間を直接見ていたという証拠は、実務上とても強く働きます。防犯カメラと違って、対象者を最初から最後まで追跡している点で、途中の入れ替わりや誤認の余地が小さいと評価されるからです。もっとも、検証の余地がないわけではありません。視認していた距離、遮蔽物の有無、視線が途切れた時間の有無、複数の捜査員の間で対象者の引き継ぎが連続していたか、無線の記録や捜査報告書の作成時期、そして被害品がどこで発見されたかは、いずれも確認すべき点です。弁護人はこれらを証拠開示の中で検証します。「見ていた」という一言で終わる証拠ではありません。

一方が認めた場合、立証構造はどう変わるか

共犯者の一方が事実を認めると、その供述が他方の関与を示す証拠として使われます。ここで注意すべきなのは、共犯者の供述には、自分の責任を軽くするために他人の関与を大きく述べる誘因が働きやすいという構造的な問題があることです。実務では、その供述が客観的な証拠とどこまで整合しているか、供述が変遷していないか、取調べの中でどのような働きかけがあったかが検討されます。また、二人の言い分が食い違うと、捜査機関は双方に相手の供述内容を示して反応を見ることがあります。この段階で感情的に反応すると、意図しない不利益な供述が記録に残ります。

否認を選ぶかどうかの分かれ目

判断の基準は三つです。第一に、客観証拠の質です。現認、防犯カメラ、被害品の所持、指紋などの資料がどれだけそろっているかを確認します。第二に、争いたい点が犯罪の成否に関わるのか、関与の程度に関わるのかです。共同正犯の範囲や、見張り役にとどまるのかといった争いは、全面否認とは戦い方が異なります。第三に、身柄拘束の見通しです。否認の場合、勾留延長と接見禁止が付きやすく、短期滞在の方であれば滞在の基盤そのものが崩れていきます。争う実益と負担を、証拠を見たうえで比べる必要があります。

認めた場合に何を積み上げるか

事実を認める場合、財産犯で最も効く活動は被害の回復です。被害品の返還、被害額の弁償、謝罪文の作成、そして被害者の処罰意思の確認を進めます。被害者が旅行者である場合、帰国してしまうと連絡が難しくなるため、初動の速さが結果を左右します。加えて、日本国内での身元引受け、帰国後の生活状況、再犯を防ぐ具体的な体制を書面にまとめ、検察官に提出します。日本語での謝罪文は、通訳を介して本人の言葉で作ることが大切です。定型の文章を訳しただけの書面は、読む側にも伝わります。

ご家族への連絡と領事通報

逮捕直後は、本人から家族へ自由に連絡することができません。接見禁止が付くと、弁護人以外との面会や手紙のやり取りが制限されます。この場合でも、弁護人は接見できますので、家族への伝言や必要な手続の橋渡しは弁護人を通じて行うことになります。また、外国人が逮捕された場合、本人が要請すれば領事機関への通報が行われる仕組みがあります。旅行中の事件では旅券が押収されていることが多く、航空券の変更や宿泊の手配も並行して必要になります。何から手を付けるかの整理を、早い段階で弁護人と共有してください。

中文版:在浅草一带因扒窃被当场抓获,承认与否认者的处分会不同

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

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この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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