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だまされたふり作戦で現行犯逮捕された受け子は「途中から加わった」と言えば助かるのか

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だまされたふり作戦で現行犯逮捕された受け子は「途中から加わった」と言えば助かるのか

だまされたふり作戦で現行犯逮捕された受け子は「途中から加わった」と言えば助かるのか

2026/08/31

日本で受け子として現行犯逮捕されたご本人やご家族が、最初に口にされることの多い言葉があります。「電話をかけたのは自分ではない」「途中から荷物を取りに行っただけだ」というものです。とりわけ、警察が被害者と協力して待ち構える、いわゆるだまされたふり作戦で捕まった場合には、「自分が行ったときには相手はもうだまされていなかったのだから、詐欺にはならないのではないか」という疑問が生じます。この記事では、中国籍の方とそのご家族に向けて、この主張が日本の裁判所でどこまで通るのか、通らないとすればどこを争うのか、そして刑事処分が在留資格にどう跳ね返るのかを順に説明します。

だまされたふり作戦とは何か、なぜ玄関先で逮捕されるのか

だまされたふり作戦は、被害者やその家族が途中で詐欺に気付いて警察に相談した後、あえてだまされたふりを続け、現金やカードを受け取りに来た者を待ち構えて逮捕する捜査手法です。被害者宅の玄関先、集合住宅の共用部分、指定された路上などで、受け取った直後に確保されることが多く、報道では現行犯逮捕と書かれます。この段階では被害者はすでに真実を知っていますから、財産を交付する意思が錯誤に基づくものとは言えません。そのため既遂の詐欺は成立せず、事件は詐欺未遂として立件されます。ただし、未遂であることと、責任を負わないこととは、まったく別の話です。

途中から加わっても詐欺未遂の共同正犯になる

最高裁判所は、最決平成29年12月11日で、だまされたふり作戦が開始された後に受け子として加担した者についても、詐欺未遂罪の承継的共同正犯が成立すると判断しました。実行行為の途中から関与した者が、それ以前に他人が行った部分まで引き受けるのかという古い論点について、最高裁は、欺罔行為と一体のものとして予定されていた受領行為を担った以上、詐欺未遂罪の共同正犯としての責任を負うとしています。この決定があるため、「自分が行ったときには相手はだまされていなかった」という一点だけで無罪を得ることは、実務上きわめて難しいと考えてください。弁護人が本当に力を入れるべき争点は、別のところにあります。

報道された事例から見る典型的な構図

長野放送は、2026年6月9日、中国籍の38歳の女性が、70代女性宅の玄関先で現行犯逮捕されたと報じました。被害予定額は440万円とされています。詐欺未遂の疑いで逮捕されたと報じられているものであり、起訴・有罪が確定したものではなく、被疑者には無罪推定が及びます。報道からは在留資格が分かりません。この類型では、留学、技術・人文知識・国際業務、家族滞在、短期滞在など、さまざまな立場の方が受け子として摘発されており、同じ処分を受けても、在留資格によって後の帰結が大きく変わります。

実際に争うのは「依頼を受けた時点で何を認識していたか」

詐欺未遂の共同正犯が成立するためには、詐欺に関与するという認識、少なくとも「詐欺かもしれない」と思いながらあえて引き受けたという未必の故意が必要です。したがって、防御の主戦場は、受け取りに向かった時点ではなく、依頼を受けた時点の認識にあります。捜査機関は、次のような事情を故意を推認させる間接事実として積み上げてきます。

  • 募集経路。交流サイトや通信アプリの求人広告から応募し、面接も雇用契約書もないまま作業が始まっていないか。
  • 報酬の高さ。数時間の荷物受取りに対して、通常の労働では説明できない額の報酬が約束されていないか。
  • 指示の秘匿性。偽名を使う、身分証の写しを送らせる、通話は消去する、中身を見るなと言われる、受取り後すぐに携帯電話の電源を切る、といった指示がなかったか。

弁護人はこれに対し、反対方向の事実を集めます。実際に受け取った報酬の少なさ、渡航直後で日本の社会状況を知らなかったこと、日本語能力の程度、上位者から示された説明の内容、旅券や在留カードを取り上げられていたなど自由を制約されていた事情、借金や生活困窮の経緯です。これらは、無罪を得るためだけの材料ではありません。故意の程度が低いことは、そのまま量刑と処分の軽重に直結します。

刑事処分が在留資格に及ぼす影響

出入国管理及び難民認定法(入管法)24条4号リは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としていますが、ただし書により全部執行猶予が付いた場合は除かれます。「刑事事件を起こせば即座に強制送還」という理解は正確ではありません。出入国管理統計によれば、令和7年に4号リ単独で退去強制令書が発付されたのは全国で41人、うち中国籍は11人です。他方、実刑を避けられるかどうかが在留の分かれ目になるという意味では、量刑の争い方が決定的です。また、在留期間更新の場面では、退去強制事由に当たらなくても素行が審査されますから、不起訴を目指す活動がそのまま在留の維持につながります。

ご家族が今日から準備できること

逮捕から72時間以内に勾留するかどうかが決まり、勾留は原則10日、延長でさらに10日までです。時間はきわめて限られています。ご家族には、次の準備をお願いしています。第1に、本人の旅券と在留カードの所在の確認です。第2に、勤務先や学校への説明の時期を弁護人と相談することです。無断欠勤が続くと、在留資格の前提となる所属が失われます。第3に、被害弁償の原資の目処を立てることです。中国国内から送金する場合、適法な経路と資金の出所の説明を用意しておく必要があります。第4に、依頼を受けた経緯の記録、すなわち求人の画面、やり取りのログ、送金記録の保全です。これらは、依頼時の認識を争う際の最も重要な証拠になります。接見禁止が付いてもご家族は本人に会えませんが、弁護人との接見は制限されません(刑訴法39条1項)。

中文版:被“将计就计”当场逮捕的上门收款人,主张中途参与能否免责

中国語対応の刑事弁護のご相談

舟渡国際法律事務所では、中国語の専属通訳が常駐しており、逮捕直後からの接見、勾留に対する準抗告、被害弁償・示談交渉、不起訴を目指す弁護活動、そして刑事処分の後に続く在留資格の問題まで、一つの窓口で対応しています。刑事事件と入管手続は連続しており、刑事の段階でどのような処分を得るかが在留の帰趨を大きく左右します。初回のご相談は無料です。ご本人が身柄を拘束されている場合は、ご家族からのご連絡でも承ります。

お問い合わせ:舟渡国際法律事務所(東京)/微信ID matsumura1119

この記事を書いた弁護士

松村大介(まつむら・だいすけ)弁護士。第二東京弁護士会所属、登録番号59077。舟渡国際法律事務所。外国人の刑事弁護と入管事件(退去強制、在留特別許可、監理措置、在留資格の取消し)を主要な取扱分野とし、中国語圏のご依頼者からのご相談を数多く受けています。

本記事は一般的な法制度の解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご判断にあたっては弁護士にご相談ください。記載は執筆時点の法令・統計に基づいています。

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