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刑の消滅(刑法34条の2)は入管審査に効くのか|前科が消えるという言葉の正確な意味

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刑の消滅(刑法34条の2)は入管審査に効くのか|前科が消えるという言葉の正確な意味

刑の消滅(刑法34条の2)は入管審査に効くのか|前科が消えるという言葉の正確な意味

2026/08/25

本記事の要点

  • 刑法34条の2は、一定期間、罰金以上の刑に処せられずに経過したときに刑の言渡しが効力を失うと定めています。執行猶予の期間が経過した場合にも、刑の言渡しは効力を失います。
  • 効力を失うとは、その刑の言渡しを前提とする法律上の効果が将来に向かって消えるという意味です。有罪判決を受けたという過去の事実そのものが存在しなかったことになるわけではありません。
  • 入管法の退去強制事由や上陸拒否事由は、刑に処せられたことや有罪判決を受けたことという過去の事実に着目しています。刑の消滅により入管法上の該当性が当然に失われるとは限らず、事案により異なります。
  • 刑が消えたと自己判断して申請書の記載を省略することは、別のリスクを生みます。

もう何年も前の話です、あのときの判決は執行猶予でしたが猶予期間はとっくに終わりました。日本の刑法には確かに刑の言渡しが効力を失う仕組みがあり、前科が消えると訳されることもあるため、在留にも影響しないはずだと理解されている方が多いのです。

しかし、刑法上の効果と入管法上の扱いは同じ言葉で語れません。

刑法34条の2が定めていること

刑法34条の2は、拘禁刑以上の刑の執行を終わり、または執行の免除を得た者が、罰金以上の刑に処せられないで10年を経過したときに、刑の言渡しが効力を失うと定めています。罰金以下の刑については、その執行を終わり、または執行の免除を得た時から5年です。執行猶予については、猶予の期間を経過したときに刑の言渡しが効力を失うという定めが置かれています。

ここでいう効力を失うとは、その刑の言渡しを前提とする法律上の効果が、将来に向かって働かなくなるという意味です。それは法律効果の消滅であって、そうした裁判があったという事実の消去ではありません。

入管法との関係をどう考えるか

入管法の規定を読むと、退去強制事由も上陸拒否事由も、その多くは過去の事実に着目した書き方になっています。

刑法上の刑の消滅が生じれば入管法上の該当性も当然に失われるのか。実務上はそのようには扱われないという理解が一般的で、結論は事案により異なります。少なくとも、刑が消滅したのだから入管の審査でも問題にならないはずだ、という前提で行動することは危険です。

特に注意が必要なのが薬物関係です。入管法5条1項5号の上陸拒否事由には、退去強制歴を理由とする類型のような年限がありません。この類型で日本に入るには、入管法12条1項の上陸特別許可を求めるほかありません。

他方、在留期間の更新、在留資格の変更、永住許可、帰化などの判断には、素行に関する裁量的な評価が含まれます。刑の消滅を免罪符として使うのではなく、その期間に築いた生活実績を証拠として示すことが、実務上の正しい使い方になります。

申告のしかたを間違えないこと

査証申請、在留資格の各種申請、帰化申請などでは、賞罰や犯罪歴に関する記載を求められます。ここで、刑は消滅したのだから書かなくてよいと自己判断して記載を省略することは避けるべきです。偽りその他不正の手段によって在留資格を得たと評価されれば、在留資格の取消しや退去強制という別の入口が開きます。

そもそもの入口である刑事手続の流れ

刑の消滅を考える必要が生じるのは、有罪判決を受けたからです。逆に言えば、不起訴処分であればこの問題は生じません。

逮捕された場合、警察は48時間以内に検察官へ身柄を送致し、検察官は24時間以内に勾留請求の可否を決めます。この合計72時間で身柄拘束の枠組みが定まります。勾留は原則10日、延長で最大20日となり、その満了までに起訴か不起訴かが判断されます。

外国人事件に特有の入管上のリスク

入管法24条4号リは無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者ですが、但書により刑の全部の執行を猶予された方は除かれ、一部猶予でも実刑部分が1年以下なら除かれます。24条4号チは薬物関係の有罪で、罰金でも執行猶予でも刑の免除でも該当し、4号リとは別枠です。24条4号の2は危険運転致死傷などの列挙、24条3号の4の不法就労助長は行為のみで該当し刑事処罰を要しません。24条4号ロは不法残留、4号イは資格外活動の専従、4号ヘは資格外活動の罪により拘禁刑に処せられた場合です。

退去強制に至らない段階でも、入管法21条による在留期間更新の不許可、入管法22条の4による在留資格の取消しがあります。当事務所は、退去強制事由の該当性判断に故意・過失を要しないとされてきた実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を上訴審まで争ってきました。

不起訴処分の重要性

不起訴処分であれば、有罪判決を前提とする退去強制事由には立ちません。執行猶予判決を得ても、薬物関係のように有罪であること自体で該当する類型では在留の救いになりません。

検察官面談で処分の見込みと有利な事情を伝えること、被害者のいる事件では早期に示談を成立させること、証拠構造の弱点を整理した意見書を提出すること、身元引受けと生活基盤について客観資料を示すことが柱になります。

初動対応の3つのポイント

第一に黙秘権の行使です。前科前歴に関する質問にどう答えるかも含め、話す範囲を弁護人と決めてから取調べに臨んでください。

第二に早期の弁護人選任です。勾留決定までの72時間で動けるかどうかが、不起訴を目指せるかどうかを左右します。

第三に通訳の質です。捜査機関が指定する通訳人は捜査の場のために訳しますが、依頼者本人のために動く通訳は、制度の違いまで踏まえて正確に伝えます。

当事務所のご案内と解決事例

  • 特殊詐欺の受け子として複数回にわたり再逮捕された事案で、取調べ対応と主張立証を積み重ね、全件について不起訴処分を獲得しました。
  • 過去の逮捕報道や前科に関する報道について、削除に成功した事案があります。法律上の刑の消滅とは別に、事実上残り続ける記録が生活や就職に影響することがあり、その場面での対応です。
  • 観光目的で来日した後に在留資格を失い、不法滞在で起訴された事案では、婚姻と認知を成立させ、国籍国の公的書類がほとんど得られない状況下で有利な証拠を集め、1回の申請で在留特別許可を獲得しました。

松村大介弁護士が初動接見から公判結審まで全工程を直接担当し、事務員や若手弁護士による代行は行いません。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しています。提携行政書士による在留資格サポートにより、刑事手続の後の申請までワンストップで対応します。

結語

刑が消えるという言葉は、法律の世界では限定された意味しか持ちません。まずは、ご自身の処分がどの類型に当たるのかを確認するところから始めてください。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

執筆者

弁護士 松村大介。第一東京弁護士会所属、登録番号59077、2019年登録。舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田)。注力分野は外国人刑事弁護、入管(退去強制・在留特別許可)、行政訴訟です。最終更新:2026年8月。

舟渡国际法律事务所
网站:https://matsumura-lawoffice.jp/
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本記事の中国語版(简体字)はこちら

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